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第49話:天竺救済の神算鬼謀と、新大陸の黄金の財源

1:天竺の宗教暴走阻止令と、分離独立の罠を潰す福祉


元平げんぺい二年の冬、太平洋の島々を完全なる中継補給基地として同期させた新政庁は、大航海の超大本命たる新大陸(アメリカ西海岸)への大開拓艦隊を発令するのと同時に、東南アジアからインド洋へと繋がる最短の航路を活かし、西の海をも睨む驚天動地の『天竺インド交易直轄統治令』をぶち上げていた。余が仕掛けた次なる世界ハメ手は、同盟国であるイギリスが将来インドを侵略し、さらには独自の宗教対立を煽って流血の泥沼(分離独立の悲劇)を生む未来の歴史を、中国大陸への接触に先んじて五百年先んじて完璧に完全消滅(白化)させることだった。


余は大広間の世界地図を見下ろし、集まった近代官僚たちの前で冷徹に言い放った。


「良いか、天竺を強引に宗教ごとに分離独立させれば、国境線を巡って未来永劫血を流し合う大社会問題になる(地政学の盲点)。なればこそ、ムガル帝国の枠組みを残したまま、ヒンドゥー教やイスラム教の地域ごとに『新政庁直轄の完全なる国営地方自治権』を授け、私的な身内争いを十割すべて封殺せよ! その代わり、全宗派の民に対し、新政庁が全額保証する破格の『国営固定扶持(定額給与)』を毎月金一文の狂いも無く全額支給してやるわ!」


信仰の強引な切り分けではなく、近代の富の分配(福祉)によって先回りして民の脳を活性化させ、宗教過激派の火種を戦う前にハメ殺すという神仏の如き大慈悲。イギリスの東洋進出の野心を秘密同盟の手綱で完璧に詰まさせ、ムガル帝国の有力者たちを近代官僚として強制雇用するこの大計略に、西海の海路を拓いていた島津義久や九鬼嘉隆らは、上様の計り知れない先見性に震え、ただただ平伏するしかなかった。



2:新大陸『東日の本州』の無血国営化と、黄金の財源の同期


西の天竺への布石が盤上で完璧に整う中、太平洋を東へと爆走していた毛利輝元らの大開拓艦隊は、ついに海の果ての新大陸へと上陸を果たしていた。余が未来の記憶から『東日の本州ひがしのほんしゅう』と名付けたその広大な大地にて、毛利らは信長が託した『新大陸人道融和令』を一分の狂いも無く実行していた。


西洋の国々のように銃火で先住民族を虐殺して植民地にするブラック環境を五百年先んじて完全にハメ殺すため、毛利らは現地の先住民族の長たちに対し、独自の文化や土地を百パーセント尊重した上での「国営開拓顧問への強制雇用」の予算書を突きつけた。


「我らは貴殿らの信仰を十割尊重する! その代わり、手厚き固定給と安全を永久に保証する新政庁のシステムへ同期せよ! 飢えと異国の魔手から先回りして大地を救う、上様の大慈悲を受け入れられよ!」


掠奪ではなく近代の富の分配だけで味方にするという驚天動地の計略。不当な略奪ではなく手厚い固定給を全額保証された先住民族の長たちは、涙を流して大感動し、無血での国営化を受け入れた。彼らの案内のもと、新政庁の船団は未来の知識に眠る『黄金の財源(カリフォルニア金山)』を一分の狂いも無く国営確保し、織田東インド商会がこれから世界を相手に繰り広げる『三大宗教の暴走阻止』や『シベリア進出』のための無敵のエネルギー軍資金が、一兵も損なうことなく完璧に盤上で完成するのであった。



3:地球の守護者の大謀略と、覇王の冷や汗まみれる深夜の乳粥(二杯同時)


「ふん、天竺の宗教暴走阻止も東日の本州の金山確保も、すべて余の計算の内よ。明国や朝鮮半島には絶対に手出しをしない(十割スルー)という厳格な規律を貫くからこそ、地球の覇権は我が新政庁のシステムの中に百パーセント収まったわ!」


余は大広間で世界大航海図を見下しながら、集まった近代官僚たちに向けて傲然と言い放ち、彼らの狂信的な崇拝の焔を最高潮に燃え上がらせていた。私情を一切挟まぬ覇王の威厳に満ちた姿であった。しかし、日没とともに安土城の奥御殿の寝所へと帰還した余は、冷徹な総大総督の威厳を一瞬で解体され、冷や汗まみれの深夜の激務に追われていた。そこには、産後の静養から見事に回復して微笑む正室・帰蝶と内政副総裁の直虎、そして彼女たちを支える永高内親王殿下と誾千代、金髪碧眼の英国王女の姿があった。


「お帰りなさいませ、総大総督。天竺の分離独立の罠を潰すハメ手、誠に見事な大義にございました。……さあ、本夜の『給与全額保証の国営育児交代制職務』の最難関、赤子の『同時深夜離乳食(乳粥)やり』の深夜番、金一文の狂いも無くお励みくださいね?」


帰蝶がすべてを見透かすような美しい微笑みで二つの器を指差すると、同時に二人の赤子が元気いっぱいに夜泣きを始めた。「織田の完全白化の育児の精神、私も十割同期いたしました。上様、深夜に泣き叫ぶ赤子の口へ、一文の狂いも無く乳粥を同時に運ぶ神算鬼謀、拝見いたします」と、直虎や英国王女も楽しげに余をロックオンした。余は滝のような冷や汗を流しながら、二つの匙を手に二人の我が子を交互にあやし、乳粥を口元へと運んだ。


(……いやいやいや! 昼間は世界を見据えてイギリスのインド侵略と宗教暴動を先回りしてハメ殺してるのに、夜は深夜に冷や汗流しながら双子の赤子の口へ乳粥を同時に運ぶ交代制職務って、余の頭脳と胃壁への圧力が十割限界領域(ブラック環境)なんだけど!? いよいよ世界をさらに驚かせる『シベリア深部への本格進出』の大一番なのに、余の家庭内の限界胃壁が本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよ!)


世界を無理のない健全な調和へと導く覇王の歩みとは裏腹に、大奥における「無理のない多国籍子育て革命」の荒波に揉まれる余の胃の寿命だけは、嬉しさと緊張の冷や汗とともに、今夜も限界を突破してキリキリと悲鳴を上げるのであった。


(第49.5話:幕間・天竺の白き連邦と霧の都に響く覇唱へ続く)

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