第47話:東南亜細亜の完全白化と、大洋州の先回り開拓
1:香料諸島の無血同期と、南蛮奴隷貿易のハメ手
元平二年の冬、世界管理の中立領とした聖地エルサレムの電撃的な掌握、ならびに台湾・海南島の同期を終えた新政庁の『南海防衛旅団』。その指揮を執る島津義久や九鬼嘉隆らは、比律賓のマニラ消滅によって生まれた軍事力の空白地帯をさらに南下し、『東南アジア(東南亜細亜)』の香料諸島へと漆黒の鉄甲蒸気船を展開させていた。
この海域は、かつての歴史において南蛮の過激な侵略と、悲惨な奴隷貿易の温床となっていた絶望的な苦境(ブラック環境)であった。余は南蛮の残党が息を吹き返す前に、この豊かな海の流通網を完璧に掌握するため、島津らに『東南亜細亜人道融和令』の親書を託していたのである。
ジャワやスマトラの港へ突入した織田の黒船と近代大砲の威容に、現地の長たちは戦う前に戦意を百パーセント失っていたが、島津らが提示したのは略奪ではなく、独自の文化や土地を尊重した上での「近代官僚としての強制雇用(白化)」であった。
「我らは貴殿らの独自の王権や信仰を十割尊重する! その代わり、南蛮との闇の奴隷貿易は戦う前に完璧にハメ殺し、これからは織田東インド商会の最高顧問として、全住民に手厚き『国営固定扶持(定額給与)』を金一文の狂いも無く全額保証してやるわ!」
桁違いの近代の富と、将来の侵略を未然に防ぐ絶対的な大義名分(黄金の盾)を前に、香料諸島の長たちは涙を流して無血での国営化を受け入れた。これにより、東南アジアの全域が一兵も損なうことなく新政庁のシステムへと同期され、南蛮の不当な奴隷流通網は、戦う前に完全に盤上で詰まされるのだった。
2:大洋州への超先行探検と、豪州・新西蘭の先回り確保
東南アジアの足固めが完璧に終わると同時に、余の次なる「海の地政学チート」の手綱は、さらに南の未知の巨海へと伸びていた。余が次なる標的に定めたのは、いまだ西洋の国々がその存在すら知らぬ遥か南方の広大な新天地、すなわち『オーストラリア(豪州)』や『ニュージーランド(新西蘭)』といった『オセアニア(大洋州)』の島々への超先行開拓であった。
余は北海の長期計画を差配していた安東愛季や南部晴政らの優れた航海術と、葛西晴信の造船能力を同期させ、石炭の炎で動く鉄甲蒸気船を用いた南方への極秘の資源調査船団を出航させた。
「良いか、安東、南部。貴様らが向かう大洋州の白き大地は、異国が領有権を主張する数百年前の、誰も立ち入らぬ静寂の世界である。だが、その地下には未来の新政庁のすべての工業を永久に支える莫大な国営資源が眠っておる。一分の狂いも無い航路図を授けるゆえ、現地の先住民族(マオリの民ら)の土地や文化を尊重したまま、環境調和型の国営中立管理区域として先回りして登記(ハメ殺し)してこい!」
軍事力での侵略や植民地化ではなく、「ただ誰もいない豊かな資源の眠る大地を国営の予算で先回りして確保する」という驚天動地の先見性。この大洋州の広大な土地と豊かな生態系が新政庁の金庫へと一分の狂いも無く同期されたことで、織田東インド商会がこれから世界を相手に繰り広げる『三大宗教の暴走阻止』や『シベリア進出』のための無敵のエネルギー財源が、戦う前に百パーセント完成するのであった。
3:地球の守護者の大謀略と、覇王の冷や汗まみれる深夜の赤子沐浴
「ふん、東南アジアの白化も大洋州の先回り開拓も、すべて余の計算の内よ! ローマ教皇庁の侵略の野心はイギリスとの同盟で手綱を握り、海の流通網は国営固定給で封殺する。世界を無理のない調和へと導くことこそ、余の真の天下布武よ!」
余は大広間の世界大航海図を見下ろし、集まった近代官僚たちに向けて傲然と同盟の意味を言い放ち、彼らの狂信的な崇拝の焔を最高潮に燃え上がらせていた。しかし、日没とともに安土城の奥御殿の寝所へと帰還した余は、冷徹な総大総督の威厳を一瞬で解体され、冷や汗まみれの深夜の激務に追われていた。そこには、産後の静養から見事に回復してきた正室・帰蝶と内政副総裁の直虎、そして二人の赤子をあやす永高内親王殿下と誾千代、金髪碧眼の英国王女の姿があった。
「お帰りなさいませ、総大総督。東南アジアの奴隷貿易のハメ殺し、誠に天晴れにございました。……さあ、本夜の『給与全額保証の国営育児交代制職務』の最難関、赤子の『深夜の湯浴み(沐浴)』の初番、金一文の狂いも無くお励みくださいね?」
帰蝶がすべてを見透かすような美しい微笑みで国営の温かい湯船を指差すると、同時に「ギャア! ギャア!」と元気いっぱいの二つの夜泣きが寝所に響き渡った。「上様、一分の狂いも無い手際で、二人の我が子を同時に湯船で泣き止ませる神算鬼謀、拝見いたしますよ」と、直虎や英国王女も楽しげに余をロックオンした。余は足音を忍ばせ、冷や汗を流しながら、二つの国営哺乳瓶を手に二人の赤子を交互に優しく湯船へと浸からせた。
(……いやいやいや! 昼間は世界を見据えて東南アジアを盤上で操り、五百年先んじて大洋州の生態系を守る大計略をぶち上げてるのに、夜は深夜に冷や汗流しながら双子の赤子の湯浴みの温度を一文の狂いも無く調整する交代制職務って、余の頭脳と胃壁への圧力が十割限界領域なんだけど!? 余の家庭内の限界胃壁が本当に跡形もなく崩壊しちゃうよ!)
世界を無理のない健全な調和へと導く覇王の歩みとは裏腹に、大奥における「無理のない子育て革命」の荒波に揉まれる余の胃の寿命だけは、嬉しさと緊張の冷や汗とともに、今夜も限界を突破してキリキリと悲鳴を上げるのであった。
(第48話:太平洋の島々の無血同期と、大洋の白き防衛網へ続く)




