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第44.5話:幕間・満州に響く忍びの足音と南海の白き夜明け

1:南海の旭日と、国営扶持に震える旧名門(毛利・島津視点)


比律賓フィリピンの南蛮艦隊が消滅した軍事力の空白地帯を突き進み、台湾と海南島の無血国営化を成し遂げた『南海防衛旅団』。その指揮を執る毛利輝元と島津義久は、常夏の海の防衛拠点に翻る織田新政庁の御旗を見上げながら、かつてない時代の激変に魂を十割すべて震わせていた。


かつて彼らは、自身の領地や掠奪のために、数え切れぬほどの兵の血を流して不毛な戦を続けていた。

それが、正一位・太政大臣にして葦原中国総大総督たる織田信長の人道ハメ手の前に強制雇用されてからは、世界が一変したのである。

新政庁から金一文の狂いも無く口座へ全額保証される『国営固定扶持』の富は、戦うことがアホらしくなるほどに莫大で、無理のない健全な労働環境(完全白化)の豊かさを名門の家臣一同に骨の髄まで実感させていた。


「帆も無いのに黒煙を上げて爆走する鉄甲蒸気船の近代火力と、この桁違いの定額給与……。上様の天下布武とは、現世に現れた神仏の如き大慈悲の知恵にございますな」


島津義久が平伏し、毛利輝元も深く頷く。独自の武力という金食い虫を解体され、新政庁の近代官僚となった彼らは、海の絶対防衛圏を守るという国家の公務(仕事)に、今やかつてない誇りと狂信的な崇拝の焔を燃やし、邁進することを誓い合うのであった。



2:霧の都の驚異と、極東への輿入れの決意(英国王女・本国視点)


大英帝国イギリスのエリザベス一世の代理(養女)として、海の果てから安土城へと上陸した英国王女は、奥御殿の寝所にて、自身の胸の奥に広がる温かき幸福感に包まれていた。


嫁入りの前、本国では「極東の島国に、南蛮艦隊を一瞬でハメ殺す漆黒の黒船を操る、野蛮で恐ろしい魔王が現れた」と噂されていた。破門されて孤立無援だった英国を救うための不滅の秘密同盟とはいえ、王女は命を捨てる覚悟で日の本へ赴いたのである。

しかし、彼女が大奥で目撃したのは、理不尽な雑務や過酷な徹夜を十割排除した、世界一無理のない健全な楽園であった。さらに、懐妊中だった帰蝶や直虎の出産に際し、正一位の夫(信長)が自ら深夜に冷や汗を流して交代制の職務(交代制シフト)に奔走し、赤子の離乳食の湯加減を調整する温かき家庭の姿に、王女は激しい衝撃と大感動を覚えていた。


「上様が敷かれたこの完全白化の精神こそ、世界を南蛮の魔手から救う真の知恵。これほど美しい組織論と無理のない愛に満ちた国なら、私は喜んでこの命の絆となりましょう」


王女は美しい瞳を輝かせ、織田新政庁の規律を十割お体に同期させる覚悟を固めた極東の覇王が放つ地球規模の地政学チートの威光は、海の果ての王室をも完璧に魅了し、共生への道を確固たるものにしていた。



3:満州の雪原と、極東から届いた謎の鉄砲(女真族視点)


日の本全土が平定され、海の防衛網が十割完成したその遥か北方。シベリアの資源地帯の南に位置する、冷たい風が吹き荒れる陸の満州の雪原にて、のちに清朝を築くこととなる若き『女真族じょしんぞく』のヌルハチらは、驚愕のあまり腰を抜かしていた。


彼らの部族は当時、巨大な中国大陸の王朝(明国)からの激しい圧迫に喘ぎ、不毛な内紛の中で飢えに苦しんでいた。

そこへ、安東愛季らの『北海開発総局』の手引きにより、新政庁の国家情報省(伊賀の忍び)が闇に紛れて極秘接触を仕掛けてきたのである。忍びが彼らの前に並べたのは、国友鍛冶のからくり技術の粋を尽くした、桁外れの連射威力を誇る近代火器(鉄砲)と、新政庁が全額保証する莫大な国営資金という、破格の極秘支援であった。


「……信じられぬ。海の果ての織田信長という覇王が、なぜ我ら満州の困窮を先回りして知り、これほどの富を無償で与えてくださるのだ?」


震える女真族の長に対し、伊賀の忍びは信長からの冷徹なる「未来のハメ手(不滅の密約)」を厳かに突きつけた。


「条件はただ一つ。将来、この近代兵器で部族を統一し、明国を滅ぼして中国大陸を統一した際、チベットやウイグルといった少数民族の完全独立を永久に許可すること。これに一文の狂いも無く署名せよ」


将来、中国が巨大化しすぎる悲惨な未来の歴史を五百年先んじて未然にハメ殺すための、神仏の如き地政学チート。独自の武力を近代化され、戦う前に完璧に盤上で救い上げられた女真族の長は、畏怖と感涙のうちに密約へ署名するのだった。


(第45話:蝦夷地の大開拓長期計画と、氷海の黒き財源へ続く)

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