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第43話:英国王女の安土上陸と、南シナ海の軍事空白

1:金髪碧眼の王女上陸と、大奥の完全白化な洗礼


元平げんぺい二年の盛夏、新政庁の本拠たる安土の城下町は、海の果てから訪れた前代未聞の美しき来訪者に、ひっくり返るほどの騒ぎに包まれていた。

明智光秀の漆黒の『鉄甲蒸気船』に護衛され、イングランド女王エリザベス一世の代理(養女)として織田家へ輿入れしてきた英国王女が、ついに安土城へ上陸したのである。


金髪碧眼に気品溢れる異国の衣装を纏った王女は、バチカンのローマ教皇庁を戦う前にハメ殺すための「不滅の血縁同盟」の証であった。だが、覇王の仮面を被って大広間で厳かに彼女を迎えた余の背中からは、早くも滝のような冷や汗が吹き出ていた。余の傍らには、臨月を迎えて『国営産褥休暇』中の帰蝶と直虎、臨時の総裁代行たる永高内親王殿下と誾千代が、一文の狂いも無い笑顔で並んでいたからである。


「ようこそ日の本へ、異国の王女殿下。我が夫の新政庁は無理のない健全な労働環境を重んじる国にございます。……なれば、王家のお姫様とて大奥へ入るからには例外は認めませぬ。まずは私が定めた『給与全額保証の国営育児交代制職務』を一から完璧に学んで同期してもらいますよ?」


帰蝶が、すべてを見透かすような絶対零度の美しい微笑みで大奥の交代表を差し出すと、直虎も「夜泣き対応の深夜番や赤子の離乳食の火加減など、一分の狂いも無い規律を十割お体に教え込んで差し上げます」と、算盤を弾く誾千代と共にバチバチの視線の火花(世界大戦級の女の陣)を浴びせた。


異国の王女は、極東の近代化された大奥のあまりの熱量と、覇王の正妻たちが放つチート官僚の如き威圧感に戦う前に圧倒され、言葉も無く平伏するしかなかった。余は内心で「王女殿下、我が家の交代制職務は世界一ホワイトだけど、心理的な圧力だけは十割限界領域(ブラック環境)だから頑張ってね!」と冷や汗を流し、自身の胃壁の無事を祈るばかりであった。



2:南海防衛旅団の電撃展開と、台湾・海南島のハメ手


英国との血縁同盟という世界規模の足固めが完了したその瞬間、余の脳裏にある天才的な「地政学チート」の次なる一手が、寸分の狂いも無く発動していた。光秀の黒船艦隊が比律賓フィリピンのマニラ沖で南蛮のガレオン船を十割すべて海の藻屑へと変えたため、現在、南シナ海の海域には巨大な『軍事力の空白地帯』が生まれていたのである。南蛮が体制を立て直す前に、この海の流通網を完璧に掌握せねば、未来の海洋帝国のグランドデザインが詰んでしまう。


余は即座に、安土に控えていた毛利輝元や島津義久らの『南海防衛旅団』に対し、漆黒の鉄甲蒸気船を用いた電撃的な南下命令を発令した。


「輝元、義久! 南蛮の残党が動く前に、その足で『台湾』ならびに『海南島』へ鉄甲蒸気船の艦隊を急速展開させよ! 目的は武力による侵略にあらず、戦う前に完璧にハメ殺す人道国営化よ。現地の長たちに対し、独自の文化や土地を百パーセント尊重したまま、新政庁の最高顧問として手厚き『国営固定扶持』で強制雇用する予算書を突きつけてこい!」


西洋の国々のように銃火で掠奪して植民地にするのではなく、新政庁が全額保証する近代の富の分配によって、先回りして絶対防衛圏(中立領)へ同期させる驚天動地の計略。明国(中国大陸)や朝鮮半島には絶対に手出しをしない(十割スルー)という厳格な規律を守るからこそ、この台湾と海南島という海の拠点を押さえることは、将来的に大陸の巨大王朝が海の覇権を求めて言いがかりをつけてきても、戦う前に大義名分(黄金の盾)で完璧に詰ませるための、不滅のハメ手となるのであった。



3:世界戦略の裏側と、覇王の冷や汗まみれる深夜の産褥看護


「ふん、南シナ海の掌握もすべて余の計算の内よ。海の防衛網を敷いた後は、安東らの北海開発総局の手引きにより、陸の満州にいる『女真族じょしんぞく』への極秘支援も動き出させるわ! 将来、彼らが中国大陸の巨大王朝(明国)を揺るがす際、引き換えに少数民族の完全独立を永久に許可させる不滅の密約を結び、大陸が大きくなりすぎる悲惨な未来を五百年先んじて未未然にハメ殺してやるわ!」


余は大広間の巨大な世界大航海図を指差しながら、集まった新政庁の近代官僚たちに向けて傲然と言い放った。三大宗教の暴走阻止から、大陸巨大化の未然防止、そしてハワイや台湾の完全国営化まで、一分の狂いも無い地政学チートの全貌に、官僚たちは「やはり上様は神仏の化身か……!」と狂信的な崇拝の焔を燃え上がらせて平伏していた。


地球規模の盤上を冷徹に操り、圧倒的な爽快感とともに新章の火蓋を切った覇王たる余。だが、日没とともに安土城の奥御殿の寝所へと帰還した余は、傲然たる威厳を一瞬で解体され、冷や汗まみれの深夜の激務に追われていた。そこには、いよいよ出産の間近に迫り、大きな腹部を抱えて静かに息を整える身重の帰蝶と井伊直虎の姿があった。余は足音を忍ばせ、自身が制定した『給与全額保証の国営育児交代制職務』の深夜の看護番として、一分の狂いも無い湯加減で薬湯を調合していた。


(……いやいやいや! 昼間は世界を見据えて女真族をハメ殺す密約を企てたり、台湾へ黒船を飛ばす冷徹な総大総督をやってるのに、夜は深夜に冷や汗流しながら奥方たちの産褥の火加減(薬湯の温度)を一文の狂いも無く調整する交代制職務って、余の頭脳と胃壁への圧力が十割限界領域なんだけど!? 来月子供が生まれたら、余の家庭内の限界胃壁が本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよ!)


世界を無理のない調和へと導く覇王の歩みとは裏腹に、家庭内における「無理のない命がけの出産革命」の最高責任者に指名された余の胃の寿命だけは、嬉しさと緊張の冷や汗とともに、今夜も限界を突破してキリキリと悲鳴を上げるのであった。


(第44話:南海防衛の十割同期と、安土大奥の未来誕へ続く)

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