表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/20

第9話:「東国総督・徳川家康の誕生と、井伊谷の女地頭」

1. 安土近代的政庁の建設と、義弟への罠


二条御所の一室で、信長は明智光秀や竹中半兵衛、そして紀伊より帰還した柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益らを前に、次なる『お膝元(本拠)の移転』の命を下していた。朝廷の膝元である京都に武の拠点をいつまでも置くのは、銭と物資による近代的内政の運用において政治的な摩擦を生むだけである。


「先般、朝敵の指定を恐れて無血降伏した六角の旧領・南近江の『安土』。あの地に、世界大戦を指揮する新たなる中央政府庁舎(新政庁)を築く。物見櫓を中心とした、機能美溢れる広大な官庁街とするのだ。長秀を建築総奉行、勝家を常備軍総監に据える」


信長が冷然と告げると、半兵衛は「京都から距離を置きつつ、琵琶湖の水運を握る完璧な布陣……」と深く感じ入った。だが、信長の内心は冷や汗で一杯だった。


(いつまでも京に居座ってたら、朝廷の面倒くさい政治闘争に巻き込まれるし、接待費で国家予算が消えるわ! さっさと自分たちのオフィスビルを建てて引っ越すに限る。天守閣みたいな金のかかる無駄なシンボルは建てずに、機能性重視の21世紀型総合庁舎にするぞ!)


さらに信長は、妹のお市を輿入れさせている北近江の浅井長政を呼び寄せ、破格の貿易利権を提示した。敦賀より入る日本海の物資を安土・京都へ運ぶ、『北近江の琵琶湖港湾(塩津・大浦など)の差配権、並びに極大の通行税利権』である。


(史実みたいに朝倉の情に流されて背後から裏切られたら、余の命がいくつあっても足りん! だったら朝倉を救う気が失せるくらいの『琵琶湖・日本海ルートの莫大な利権』をお市と長政の夫婦に丸ごとプレゼントして、経済的に織田政府から離れられなくしてやるわ! 銭の魔力には勝てまい!)


長政は「義兄上、この長政、織田政府の北の盾として生涯忠節を尽くしましょう」と涙を流して感服した。

裏切りの可能性は、利権の塊の前に一瞬で消滅したのである。



2. 徳川家康の驚愕と、関東大開発


東国の平定へ向け、信長は三河の徳川家康を京都へと呼び出した。

家康は「ついに三河を奪われ、処刑か流罪か」と青い顔で平伏していたが、信長がその前に広げた和紙の手控え(図面)を見て、その眼を見開いた。


「家康殿、三河や遠江の狭い土地で燻る時代は終わった。貴殿を『東国開発総督』に据え、関東二百万石の大地へと移す。利根川の流れを変え、広大な湿地を掘割と強固な堤防で埋め尽くし、万国に並ぶもののない大都たいとを切り拓くのだ」


それは21世紀の治水・都市計画ノウハウを詰め込んだ、未来の「江戸大都市計画図」であった。さらに信長は、武田や北条に対して「南蛮貿易の交易権」や「国際貿易港の共同経営権」を与えて経済的に飼い殺しにする策を明かし、関東での戦を完全に封殺すると告げた。


「……川の流れを変え、これほどの都を築く……。織田上総介様は、神か、未来の天魔か……!」

家康は、その常識を超えた統治思想とスケールの前にガタガタと震え、死に物狂いでこの『江戸プロジェクト』を全うすることを誓った。


(史実のタヌキ親父を敵に回して、のちに泥沼をやられたらたまったもんじゃない! だったら最初から戦国最強の内政チート能力をフル活用してもらって、大人しく関東に行って死ぬ気で土木工事してもらったほうが、余の寿命が30年は伸びるわ! タヌキ親父、頼むから大人しく関東で大開発リーダーをやってくれ!)


覇王の冷徹な笑みの裏で、信長は心底から胸を撫で下ろしていた。



3. 井伊谷の女地頭、女性躍進政府へ


家康の関東移封に伴い、織田政府の網に一人の特異な人物が掛かった。

遠江の井伊谷を女の身で率いる地頭、井伊直虎である。

「女の身で領地を奪われ、側室として弄ばれるのか」と悲壮な覚悟で出頭した直虎に対し、安土の新政庁で待っていたのは、信長、そして「少子化対策・女性躍進政府」の総裁である帰蝶であった。


「直虎、女の身で井伊谷を率いた貴殿の手腕、実に見事。その才、狭い井伊谷ではなく、帰蝶と共に『日の本の全ての女、子供を救う大仕事』に捧げよ。国営産院や女性キャリア支援を担う、政府の副総裁としてな」

信長が威厳に満ちた声で告げると、横に立つ帰蝶が優しく微笑み、近代的な育児手当や国営託児所の計画書を直虎に手渡した。


「この織田政府は、男たちの戦の時代を終わらせようとしている……!」

直虎は、そのあまりにも進歩的な思想と、自身を「一人の有能な官僚」として最高待遇で迎えてくれた織田政府の度量に、深く感動して平伏した。


(史実の井伊直政の養母じゃん! ガチ有能な女地頭じゃん! 下手に側室にして奥に閉じ込めるより、帰蝶の少子化対策プロジェクトの副総裁として実務を回してもらったほうが織田政府の生産性が爆発するわ! 決して下心じゃないからね帰蝶!? 怖い目で余を見るな!!)


信長が内心で必死に目を泳がせながら冷や汗を流していることなど露知らず、直虎の加入により、メガ・ニッポンへ向けた女性躍進内政は、いよいよ強固なものへと加速していく。


(地の文:家康の関東移封、武田・北条の経済的包囲、 そして直虎の参画。東国のスクラップ&ビルドは戦う前に完了した。だが、この規格外の変革に不穏な影を落とす、北の軍神が動き出そうとしていた――)


(第9.5話:「大坂の焦燥と、東国大開発の胎動」へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ