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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四ステージ 英雄の役割
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オーク大量発生イベント7

「こらリーダー。何休んでんのよ!」


「こっちだって一杯一杯なんだ。休むには早いだろ環架っ」


 と、両脇を捕まれ無理矢理立ち上がらされる。

 オークの攻撃を受けながら、和則とナスカが横から俺を抱えてくれていた。


「わ、悪い……」


 気持ちは彼らと一緒に闘う気だが、肝心の身体が追いつかない。

まるで糸が切れた操り人形のように、自力で動くことが出来ない。

 下手に動けばすぐにくず折れる。


「クソッ、あと一息なのに……」


 毒づく俺の言葉はオークどもの鳴き声にかき消され、絶体絶命かと思った瞬間だった。


「見えた! 見えたわ祭壇ッ!」


 早百合の弾んだ声が響いた。


「よし! あと少しなら何とかなりそうだ」


 和則の声も希望を含み、俺を支えたまま祭壇向けて動きを早める。


「和則君、早百合さん! あそこまでなら全員の手榴弾使えばすぐよ!」


「了解っ!」


 ナスカの言葉に早百合が即座に手榴弾を放り投げる。

爆炎が吹き上がり何体ものオークが吹き飛ぶ。

 こちらに飛んできたオークをナスカが切り倒し、開いたスペースに強引に割り込む。

さらに和則が手榴弾を投げ込み、ようやく祭壇が足元にやってきた。


「環架、あと少しだぞ、頑張れ!」


「分かってる! 分かってるけど……」


「ここまで何日も連戦してたんでしょ? ここ三日だってろくに寝てないしっ」


 ナスカの言うとおり、ナスカたちと詳細な打ち合わせを行ったり、最短ルーツを見付けたり、やるべきことが多かった。正直今まで自堕落に生きていた分多く動いていた気さえする。

 そのツケが、今来てしまっている。


「普段大して運動してないからそういうことになるのよ。今は休んでなさい!」


 無理に戦闘に参加しようとしていた俺に、早百合がたしなめてくる。

 少しきつめの口調だったが、彼女も俺を心配してくれてるんだと思うと、なんだか嬉しかった。


「祭壇を越えた先に地下への階段があるんだ。階段を下りさえすればオークたちは寄ってこない」


「ゴールは目の前ね」


 ナスカも手榴弾を歯で掴み、安全ピンを外す。

 眼前のオーク集団に投げ入れ、数秒。

 轟音とともに飛び散るオークたちの中心に、ついに目的のゴールが顔を出す。


「よし、殿は任せて、ナスカさんは環架を!」


「おっけー。早百合さん援護お願い。環架、ちょっと背負うわよ。あと、これ、最後の一個」


 ナスカが和則に最後の手榴弾を渡す。早百合も同じように渡すと、残りの手榴弾を全て使い和則は殿を行い始めた。

 連携の取れた行動力に、リーダー要らないんじゃないかと思える団結力。各々が自分がすべき役割を懸命にこなしている。

彼らの頑張りに感謝して、何も出来ずに居る俺は、自分の不甲斐無さに泣きそうになった。

英雄をロールプレイするためには、俺はまだまだ未熟すぎた。




 ナスカに背負われたまま梯子を下る。

 少し前に早百合から顔を上に向けるなとのお達しがあったので、今はナスカのうなじを見たり、気恥ずかしさから斜め下に視線を落としたりしている。


 男なのに女性に背負われるなんて、不甲斐無さすぎにも程がある。

 でも、さらに許せないのはそんな状態でありながら、ナスカの体温にこのまま抱きしめたい衝動に駆られている俺自身だった。

 ナスカに申し訳なくて、バッタにも申し訳なくて、バカ野郎すぎる自分を殴り飛ばしたくてたまらない。


「ねぇ環架……」


 ふと、ナスカの声に我に返った。


「な、何?」


 慌てて答えると、ナスカが艶かしい悲鳴と共に身体を硬直させる。


「ちょ、ちょっと待って、首筋に声が当たって……」


「わ、悪い」


 ナスカから顔を逸らし、彼女が落ち着くまで待つ。


「その、ね。あんまし無理はしないでよ。私たちだっていつでも手伝えるとは限んないしさ。死んだりしたら、それこそつまんないでしょ」


「分かってるよ……」


「君が私たちのリーダーなんだ。だけど気負いすぎちゃダメ。せっかく頑張っても、こんな身体の状態じゃ、助けられるものも助けらんないじゃん」


 梯子を下りきったナスカは、周囲に敵がいないのを確かめると、俺を背中から下ろして壁際に座らせる。


「今度はガス欠になる前にちゃんと言ってよ。私たちだってフォローくらいするんだからさ。一人で大群を相手にしてるんじゃないんだよ」


「全くだわ。戦場で倒れられる方が迷惑よ」


 ナスカに続き、地下へと到着した早百合。

 もう疲れた。とでもいうようにナスカの横に来ると寝転がる。

 女性がするにはあまりにもはしたない寝姿だった。


「ああ……ごめん」


 二人に謝り、しかし、胸中を占めた思いは言葉とは裏腹のものだった。


「でも、ここまで来りゃフォローは充分だ」


「ち、ちょっ、充分って何よ! 今の話聞いてた?」


「今更こんなこというのはダメなんだろうけどさ、バッタとは二人きりで会わせてくれないかな。絶対、連れてくるから」


 なおも食い下がろうとするナスカに俺は首だけ向けて頼む。


「そ、そう言われても……」


「ようするに、決着だけは自分で付けたいって奴だろ」


 遅れて降りてきた和則が助け舟を寄越してくれた。和則の無事に早百合が歓喜の声を出す。


「無事だったか和則」


「ああ、お前のくれたお守りのおかげでな。そんかわり全部使ったけど」


「いいさ、帰りは皆で何とかできるだろ。俺も手持ちはもう一つだ」


「それはいい。でも今は休め環架。そんな身体じゃ戦えるものも戦えないだろ」


「わかってるけど、バッタが何時まで生かされているかわからないし、食料も干し肉だけだ。まったりしてる余裕がないんだよ」


 さすがに、今すぐ向かうわけにはいかないが、身体が動くようになればすぐにでも向かう気だった。


「ほれ、栄養剤だ。少しは回復しやすいだろ」


 和則が投げ寄越してきた物体。ビンに入った漢方ドリンクだ。

 しかし、俺は受けきれずに落としてしまう。

 割れるかと思ったが、地面に付く前にソレを拾ったナスカが、蓋を開けて飲ませてくれた。


「正直、一人で向かわせるなんてできるわけないんだけど……思い入れは一番だもんね。いいわ。だけど、ちゃんと身体が動くまではここにいること」


「ああ。そうするよ」


 俺の言葉にナスカは微笑む。「うん」と頷くと和則たちに視線を向けた。


「と、我らがリーダーは言っておりますが、そちらの二人はどうすんの?」


「任せるよ。俺たちは今回環架のフォローに来たんだ」


「和則が賛成なら私も賛成」


 全員一致。俺が休め次第一人バッタへと迎えることになった。

 皆の期待と思いを託されたんだ。絶対に、バッタを連れ帰らなきゃな。

 久我山環架

装備:スラッシュソード、厚革の鎧、皮のベルト

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 1

所持金:20L


 緋織ナスカ

クラス:侍

装備:ショートソード、鞘、タンクトップ、半ズボン

所持アイテム:着替え、干し肉×2、ショートソード

       ガスマスク、煙球、万能回復薬

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 0

所持金:0L


 大島和則

クラス:勇者

装備:シルバーソード、シルバーアーマー、勇者のサークレット

所持アイテム:勇者の証、雷神剣、栄養剤 × 10

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 0

所持金:10L


 美織早百合

クラス:弓術師

装備:金箔の弓、軽鉄のブラ、軽鉄のショーツ、防刃ベスト

所持アイテム:鉄の矢 × 16、木の矢 × 0、鏑矢 × 3

       爆裂矢 × 5、栄養剤 × 10

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 0

所持金:60L


 未収討伐金

 オーク一体 50L

 環架  625体

 ナスカ 508体

 暦   87体

 和則  588体

 早百合 379体

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