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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四ステージ 英雄の役割
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オーク大量発生イベント5

 三日後、俺はナスカと連れ立って病院を後にした。

 啓介も比較的軽症で、自分もバッタを倒すと息巻いていたが、さすがに完治したかどうか分からない子供を連れて行く訳にも行かず、今回はバッタを殺すことが目的でもないので、彼は雄一と留守番だ。


 暦の傍で彼女を見といてやってくれと頼んでおいた。

 啓介も暦のことは心配なんだろう。

 頭を掻きながら仕方ないかと納得してくれた。

 ただ、せめて武器だけでも、と二本の剣を渡してきた。


 暦も傷はそれほど深くは無いらしい。

 突き傷こそ残るだろうが、もう傷は塞がっているとのことで、後は目を覚ませばいいだけらしい。

 雄一の話ではバッタは誰かと会話していたらしい。


 やっぱり上からの圧力が掛かっていて、バッタは従わざるをえなかったんじゃないかと思う。

 少し冷静になってみると、皆が死んでいないのはバッタが手加減したからだと気付けるし、彼女が助けを待っているのは、俺の思い違いじゃないはずだ。


 彼女を助けられるか、助けた後どうなるのか、その選択が正しいのか? そんなもの全部わからない。

 だってここは現実世界、ゲームのように攻略本なんてありはしないのだ。

 俺はすぐ横のナスカを見る。


 穴の開いた制服を全て処分し、この街で買い揃えた白のタンクトップと半ズボンを装備していた。

 動きやすい服装ではあるが防御面で言えば装備などないのと同じだ。


「あまり無理すんなよ」


「だいじょぶだいじょぶ。もう殆ど痛み無いし」


 強がって見せる彼女は、まだ本調子とは言いがたい。

 きっとまだ痛みがあるのだろう。


「さぁ、オーク軍団バンバン狩るわよ」


 刀を鞘から抜き放ち俺にウインクを見せてくる。


「あのなぁ、オーク軍団は前座だぞ」


「分かってるわよ。囚われのお姫さま助けに行くんでしょ」


「……まぁ囚われてるかどうかは疑問だがな……でもいいのか?」


 俺の質問に、刀をしまった彼女はキョトンとした顔で「何が?」と聞いてきた。


「だって、バッタはお前を刺したわけだろ?」


「でもさ、それってイベントだったんでしょ、NPCがそれに逆らったら司会者側から何されるかわかんないじゃん。私たち生かしてるだけでも彼女にとっては冒険だと思うよ」


 町外れまで来るとナスカは足を止め、真剣な顔で俺に振り向いた。


「バッタちゃん。私にね、ゴメンって呟いたの。微かにしか聞こえなかったけど、きっと嫌々刺したんだと思う。だからさ、助けられるなら、助け出してあげたいじゃん。私、あの子のこと疑ってたけどさ、刺された時憤慨するより……道場で先輩にボコボコにされた時のこと思い出してた。なんかね、自分じゃ敵わない何かに抗えないでいるんだなって……同情心沸いたんだよね」


「悪いな、ナスカには迷惑ばっかかけてる気がする」


「いいわよ別に。頼られるの好きだし」


 ウインク一つ決めて指定の場所に辿り着く。

 二人で周りを見渡してみると、まだ和則たちは来ていないようだ。


「まだゆっくりしてるみたいね」


「まぁ用意したりしなきゃならないしな」


「実は二人でイイコトしてて時間忘れてるとか」


「美織さんなら強引に行きそうだけど和則に関してはそういう余裕はないんじゃないか」


「ふふ。だったらさ、待ってる間に……私たちも遊んどく?」


 ふっと俺の傍まで来ると、視線がくっつきそうなほど近づくナスカは妖艶な瞳で誘惑する。


「ちょ、ナス……」


「こら、そこのアバズレとエロ男。誰が強引に行きそうだって?」


 鼻先まで来たナスカの香りに思わず赤面していると、真後ろから不機嫌な声がかけられた。


「う、うわっ」


「なんだ……もう来たのね」


 青のセーラー服に身を包んだ美織早百合とシルバーアーマーに身を包んだ和則がいた。


「って、なんでお前ら外から……」


「ああ、病み上がりがてらオーク相手に運動をね」


 あのオークが相手ならなんとかなりそうだと和則は俺に屈託の無い笑みを見せる。早百合が複雑な表情をしていたが、やがてふぅと息を吐き俺に向き直る。


「正直あの数はないって思ったけど、重鈍な相手みたいだし和則と二人で闘ってみただけでも百体は倒せたわ」


「不意な一撃さえ貰わなきゃ目的地まではつけそうだ。秘密兵器もあるんだろ環架」


「秘密兵器っつってもパイナップル弾だけどな。威力は保障する」


 そらっと和則に手榴弾を投げ渡す。

 思わず受け取った和則は手にしたそいつを見て驚く。


「ズシリと来たぞ!? どうすんだよこれ!?」


「お守りだよ。和則たちも持ってた方がいい」


 和則と早百合、そしてナスカにも幾つか渡す。


「正直ゲームじゃバグみたいなもんだから使いたくないんだけどね……」


 本人不承不承といった様子で一つ二つと手榴弾を胸元へとしまっていく。

 彼らに手榴弾を与えても俺の分は余裕がある。なにせ14500Lの大金を全て手榴弾に回せば483個、全員に30ずつ渡したので手元に残るのは393個の計算となる。

 と言っても、皆の食事代とかに消えた金額もあるので実質200個位になってしまったが、亨のいない穴を埋める意味でも十分だと思われる。


「手榴弾なんて初めて使うぞ」


「学校通うだけだったら絶対に触ることの無い物体よね」


 和則と早百合も手にしたソレに感心しながら真後ろで待機しているオークたちに振り返る。


「たった四人でこの中に突っ込むのか……」


「大丈夫、動きは物凄く鈍いから、躓いたりバカなことしなきゃまず傷は負わないわ」


「ええ。それはさっき試してみたわ。確かにあの速度なら斧が当てられる前に倒せるし、和則が守ってくれるもの」


「ああ、お互い死なないよう頑張ろう早百合」


 ……くそっ。このラブラブバカップルめ。

 なんだかこの辺りだけ熱帯地方に瞬間移動したようだ。

 ナスカも見詰め合う二人に耐えかねたのか顔の手前で団扇代わりに手を振っている。


 やる気をなくした顔なのはたぶん俺と同じ思いだからだろう。

 俺だってバッタが居れば……

 ……大丈夫だろうか? 本当にバッタを説得なんて出来るんだろうか? 

 本当に俺はバッタの彼氏になってるんだって自信持って助けに行っていいのだろうか?


 不安はずっと続いていた。

 この三日、その疑問ばかりを思っていた。皆を傷つけたことは許せないけど、それでも俺は……

 オークに遮られ、今はまだ欠片すら見えない祭壇へと視線を向ける。


 バッタは必ずあそこに居る。

 問題はたった一つ。バッタが話を聞くかどうか。

 今はただ、亨を信じるほかは無い。

 久我山環架

装備:スラッシュソード、厚革の鎧、皮のベルト

所持アイテム:ショートソード、ショートソード、火炎の杖、氷結の杖

       雷鳴の杖、ガスマスク、煙球、万能回復薬

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 213

所持金:20L


 緋織ナスカ

クラス:侍

装備:刀、鞘、タンクトップ、半ズボン

所持アイテム:着替え、干し肉×2

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 30

所持金:0L


 大島和則

クラス:勇者

装備:シルバーソード、シルバーアーマー、勇者のサークレット

所持アイテム:勇者の証、雷神剣、栄養剤 × 10

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 30

所持金:10L


 美織早百合

クラス:弓術師

装備:金箔の弓、軽鉄のブラ、軽鉄のショーツ、防刃ベスト

所持アイテム:鉄の矢 × 30、木の矢 × 100、鏑矢 × 3

       爆裂矢 × 10、栄養剤 × 10

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 30

所持金:60L

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