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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三ステージ 裏切りのPK
30/44

洞窟の罠

 洞窟も松明が必要らしい。

 目の前に口を開いた洞窟は森よりもさらに暗く、俺たちを誘っているようだった。

 ヒカリゴケでもあれば儲けものなのだが、残念ながらそういった類のものは生息していなかった。


「結構広い洞窟だな」


「こ、ここに入るんだよね……」


 手にした槍をぎゅっと握り締め、暦は身震いする。


「い、行こうお兄ちゃん」


「よし、和則探すか」


 しかし、果たして和則は無傷でいるだろうか?

 いや、無傷だと言うのならもう帰ってきているはずでは?

 嫌な予感を覚えつつ俺は暦とともに洞窟へと足を踏み出した。


 洞窟というのは外よりもひんやりとしている。これは空気が滞っているからということだろうか?

 しばらく歩いて行くと、前方に光が見えた。

 淡く光を放つ青白いそれは、どうやら生物らしい。


 サッカーボール大の丸い体躯に足の生えた体躯と、頭の中心に飛び出た提灯鮟鱇のような光る触角を生やしていた。

 瞳がつぶらなのでちょっと可愛らしい化け物だ。

 ガチガチに緊張していた暦も、この愛らしい化け物を見たことで幾分緊張が解けたらしい。


 不用意に近づきこそしなかったが、抱きしめたそうに目を輝かせていた。

 俺はそーっと近づき剣先を化け物の目の前に持って行く。

 化け物は珍しそうに剣を眺めた後、大きく口を開いてパクリと剣に噛み付いた。


 すぐに力を入れてソイツごと剣を壁に叩きつける。

 グチャリと音を立てて潰れた。

 さすがに暦に見せるべきじゃなかったので彼女の目線だけは防いで置いた。


「あ~、抱きつくの禁止な」


「は、はい……」


 少し残念そうだったが命には代えられない。今度ペット屋でも探してやろう。

 洞窟の中はどうやらこのアンコウモドキの巣だったらしい。

 最初の一匹以降、すでに九匹倒し、別のルートに歩いていく所を見たのを合わせると二十匹は出会った計算になる。


 耐久力はないので比較的ザコの部類だが、群れてこられるとちょっと危険だ。

 とはいえ、どうやら視界に入りさえしなければ襲ってくることはないらしい。


 ちなみに一匹捕まえて生態観察中。

 視線の先にさえ入らなければ食いついてこないのと、暦が不意をつかれ噛まれたとき噛む力が意外に弱く歯型が付くか付かないか程度だったため、結局暦がペットにしてしまったのだ。


 噛まれても触角を握れば離すので喰われる心配もない。

 変な病気を持ってないことだけを切に祈る。

 でも、もしここに和則がいるとすれば、こいつらに殺されるはずも無し、生存の可能性は高まるわけだけど……


「お兄ちゃん、あれっ」


 アンコウモドキを抱いたまま、暦が前方を指す。

 すでに俺たちは松明を使っていなかった。

 それはひとえにアンコウモドキの光だけで十分に辺りを見回せるからで、不意を突かれてもアンコウモドキが相手ならそれほど危険はないと判断したからでもある。

 暦がコイツを抱えたから持てなかったということはたぶん理由じゃないはずだ。


 さて、と暦が指した方向を見る。

 まだ光の届く範囲には入っていないが、なんとなく輪郭だけは浮かび上がっている何かが見える。

 通路から壁にかけて長細く横たわっているいるのでアンコウモドキでは決してない。なら新種の化け物か、倒れている人間か……


 動く気配はないので化け物ではないと思う。

 それでも一応危険があってはいけないと、警戒しながらゆっくりと近づいていく。

 人だ。間違いなく人間だ。

 ぐったりと壁に背もたれ、死んだように動かない。

 見覚えのあるアーマーを着て、近くに剣が落ちている。


「和則っ!」


 おもわず駆け寄った。離された暦が慌てて後を追ってくる。


「おい、無事……!?」


 思わず力が抜けてその場にへたり込む。

 和則は……和則はもう……

 それはもう、こちらの緊張が緩むほど無防備に眠っていた。


「寝てんのかよっ!?」


 へたり込んだままついつい暦にツッコむ。

 何故自分に振られたのかと驚き慌てる暦を無視して、俺は天井を見上げた。

 今、物凄く気分がいい。

 クラスメイトの安全が分かったせいで緊張が解けたのだろう。

 じめじめした洞窟で、あまりいい状況とも言えないが、とても安心して嬉しくて、無性に心地よく眠気が……あれ? なんで眠気なんて……


 ドサリ


 どこか遠くで誰かの倒れる音がした。

 あ、立ってるヤツなんて暦くらい……

 なんで倒れた? いや、もう、なんか……考えるのも億劫で……

 眠……い……


 カプッ


「ぬあぁっ!?」


 突然の刺激に一気に眠気が吹き飛んだ。

 慌てて飛びあがると腕に何かぶら下がっている。


「うおっ!? アンコウモドキ!?」


 そうか、暦が眠ったんで解放されて食いついてきたのか。

 アンコウモドキの触覚を反対の手で握って離す。

 途端に襲ってくる強烈な睡魔に慌てて息を止め撤退した。


 一応、眠気覚ましにアンコウモドキをもう一度腕に噛ませて眠気が来なくなるまで入口向けて俺は逃走する。

 何が起こったのかは分からない。


 そもそも俺の思考が上手く回って無いから今は何も考えず走った方がいい。

 腕に噛みついたままのアンコウモドキに感謝しながら、俺はただ一人、洞窟入り口付近まで退散したのだった。

 久我山環架

装備:ショートソード、皮の鎧、皮のベルト

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、ガスマスク、煙球

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 10

所持金:4630L


 高杉暦

クラス:槍兵

装備:鉄穂の槍、レザーベスト

所持アイテム:火炎の杖、雷鳴の杖

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 3

所持金:0L


松明 × 8

シウレスの森地図 × 1


テイムモンスター?

 アンコウモドキ(仮) × 1

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