表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三ステージ 裏切りのPK
29/44

シウレスの森

 シウレスの森は不気味なほどに光が差し込んでいなかった。

 暦ばかりか俺ですら一歩踏み出すのを躊躇うほどに恐怖感を湧き起こす。

 それでも入らなければ進まないので、亀が這うような速度で進んでいく。


 森の中には奇怪な泣き声の生物が幾つも存在していた。

 目に見える範囲に生物は現れていないが、その分恐怖が二割り増しに募ってくる。

 森の中のせいか、気温が一段階下がった様な薄ら寒さを感じる。


 迷わないようにと木の枝を折ったり石で地面に印をつけたりしてみたが、果たしてどれだけ効果があるだろうか?

 虫も結構飛んでいるので虫さされが怖い。

 マラリア媒介してる蚊とかいないよな?


 昼間なのに松明の明かりがいる。

 不測の事態に対応できるように暦に明かりを持たせ、俺は周囲を警戒する。

 よくジャングルにいる光に飛び込んでくる甲虫や海で光に飛び込んでくるダツなどの魚が居ないことを願いたいが、もし居たとしたら真っ先に暦が危険に曝される。

 自分の命優先だが、余裕のあるうちは暦を守ろうと思う。


 ちなみに、この松明はクエスト受注により10本渡されたモノである。大したものではないが、これから冒険の際にも必要なるかもしれないので懐中電灯か何かがあれば買い込んでおこう。


 敵が来る……

 ソレが分かったのは周囲から怪しい泣き声が途絶えたからだった。

 すぐに暦を背後に隠し、頼りないショートソードを両手で握る。


 暗い森の中、やがて現れるシルエット。

 二メートルはある巨大なそいつは真紅の瞳をギョロつかせ、俺たちを見つけると咆哮をあげた。


 巨大な口を開き牙を煌かせ、猿のように長い手足を振り乱しながら涎振り撒き襲い掛かる。

 顔だけの丸い図体に四肢をくっつけたような化け物。

 大きな口を開けばもはや体全体が隠れてしまう。


 ショートソードではそのまま丸呑みにされると判断し、手榴弾を放り投げ暦を連れて横に飛ぶ。

 手榴弾を飲み込んだ化け物は周囲の木々を爆砕して通り過ぎ、すぐに引き返し大きな口をひら……


 瞬間、化け物は内側から爆音響かせ弾け飛んだ。

 余りの衝撃で鳥が飛び立ち、小動物が逃げ惑う。

 化け物は完全に沈黙したようだ。

 はは、一撃死だよ。どれだけチートだよ手榴弾。


 もう、俺は手榴弾なしでは生きていけなそうだ。

 この破壊力、癖になりそう。

 ちょっと安全ピン外すのが力いるけど、その手間を踏まえても普通に戦うより断然安全な攻撃方法だ。


 これなら補充屋で補充を終えてからくればよかった。

 途中で無くなったらと思うと怖くなってくる。

 これからは余剰と思われても常に切らさないように常時10個は常備しておくべきだろう。


 バッタやナスカにも渡しておくべきだろうか?

 いや、でもまだ仲間になって一日も経っていないナスカにはまだ早いか。

 多分大丈夫だろうけどさ。


 がたがたと震える暦の頭に手を置いて安心させ、周囲に視線を走らす。

 先程の爆音のおかげか、襲ってくる敵はいないようだ。

 敵もさすがに危険を感じて逃げ出したか?

 かといって冒険してる人間もやってくる気配が無い。


 再び鳴き声が聞こえ始める。

 危機は去ったと森の住人達が喜んでいるようだった。

 あ、猿がいる。

 アイアイみたいに目玉の大きな猿が頭上の木々を渡っている。

 俺たちに気付くと一瞬立ち止まって視線を合わせ、すぐに逃げるように去っていった。


「どうする暦? 帰るなら今のうちだぞ?」


 最後の選択とばかりに聞いてみるが、暦は頭を横に振り、俺の袖をしっかりと握り締める。

 俺も腹を決めていかないといけないらしい。

 しかし、この広くて視界も悪い森の中で人一人見つけるっていうのは少々骨だな。

 何か分かりやすい道標でも置いててくれりゃあな。


「マップに何か描かれてないか? 洞窟とか」


「え? ちょ、ちょっと待ってください」


 自信なさそうに地図を見直す暦。

 しばらく見回した後、申し訳なさそうな顔で俺を見上げてきた。


「ありました、洞窟……」


 暦の言葉に地図を覗き込む。

 なるほど、森の中心部に洞窟の入り口が書かれている。

 見落としていたとなるとこれはもう致命的だ。

 怒られても仕方の無いことだ。


 でも俺は怒らなかった。むしろよく見つけてくれたと感謝する。

 別に格好つけようとしてのことじゃない。ただ素直に喜んだだけだ。

 まさかきょとんとした後嬉しそうな笑顔で泣きだすとは思わなかったけど。


 俺たちは森の中を慎重に進む。

 時折獣の気配がしたり、鈍く光る瞳がこちらを見つめてくるが、なぜか近づいては来なかった。


 魔物ではないただの野生動物なのか、それともパイナップル弾による硝煙の臭いが俺たちに付いていて怪しんでいるのかは分からないが、魔物が襲ってこないのならばそれはそれでいい。


 最初の敵に遭遇した以外は、蜘蛛の巣に引っ掛かったくらいで平穏に洞窟前へと辿りつけた。

 途中蛇に遭遇したこともあるが、これはこちらに気付くことなく去っていったので遭遇というほどではないだろう。


 おそらくだけど、ここでのエンカウント率は低めに設定されているのだろう。ただ運が良かっただけという事もあり得るけど。

 敵に出会わないに越したことはない。

 久我山環架

装備:ショートソード、皮の鎧、皮のベルト

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、ガスマスク、煙球

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 10

所持金:4630L


 高杉暦

クラス:槍兵

装備:鉄穂の槍、レザーベスト

所持アイテム:火炎の杖、雷鳴の杖

魔法:爆裂魔法(手榴弾)× 3

所持金:0L


松明 × 9

シウレスの森地図 × 1

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ