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リアルRPG  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二ステージ 幻想の現実
20/44

初めての道具屋

 病院が開くまで、病院の前で負傷者たちにまぎれて座り、二人の子供を見る。

 歩いている間に名前を聞いた。

 高杉啓介と暦。女の子の方は暦と書いて【こよみ】と呼ぶらしい。


 啓介と暦の両親はというと、父親の方は昨日の昼間、病院で見た時、既に亡くなっている。

 母親は聞いた限りでは彼らを捨ててどこかに行ってしまったらしい。

 夫を弔うと言っていたのを暦が聞いていた。


 ようするに二人は、このゲームに参加したせいで両親を失った。

 だから二人で生きるためにルール違反になるらしい万引きをしたようだ。

 説明屋に寄った啓介たちの話ではこのゲームにもこまごまとしたルールは存在するそうだ。


 例えば街での禁止事項。

 黒服に危害を加えてはならない。

 店の商品には必ずお金を支払うこと。

 建物の破壊の禁止。


 これらの禁を犯した場合命の保障はできない。

 先ほどのように黒服に追われることになる。

 例え何人かで徒党を組もうとどんな武器を持っているか分からない黒服軍団が相手ではプレイヤー側に勝つ見込みは無いだろう。


「なんで、こんなゲームに来ちゃったんだろ……」


 啓介は三角座りで小さくなっていた。

 隣に座っていたバッタが困ったような顔をしている。


「始めは、お父さんとお母さんに仲直りして欲しくて参加したんだよ。なのにどうしてこうなっちゃうんだよ」


 暦も泣きそうな顔をしている。

 堰を切る直前をなんとか保っているものの、何時泣いてもおかしくは無かった。


「環架さん、その、この二人……」


「あ、ああ、そうだな」


 バッタが何を言おうとしたのかすぐに分かった。

 彼女の言いたいことはたぶん、この二人を連れて行こうということだ。

 何もしなければ恐らく死を迎えるだろう二人。

 出会ってしまった以上見捨てる奴は勇者だなんて呼ばれるワケが無い。


「なぁ、お前らさ、行くとこないなら付いてくるか?」


 先に反応したのは暦の方だった。

 泣きそうな顔のまま俺を見つめてくる。


「フィールドに出たりするから危険はあるけどさ、ここで盗みとかして無駄に殺されたり二人だけでフィールド出るよりは安全だと思うんだ」


「そ、それは……でも兄ちゃん。俺達なんかいても足手まといだよ。父さんだって俺を守ろうとして……死んじゃったんだし」


 啓介がさらに身を縮ませる。

 俺は立ち上がり、啓介の前に歩み寄る。

 普段なら絶対に吐かない言葉だが、俺はここでは英雄になると決めた。

 だから、遠慮なくクサい言葉も言える。いや、言ってみせる。


「大丈夫だ。俺達だって死ぬ気はない。お前らを守るけど、俺達だって生き残ってやる。それに、仲間は多い方がいいだろ、啓介。RPGの基本は仲間との助け合いだ」


「あ……」


 ポンと頭に手を置いて撫でてやる。

 啓介から涙が零れるのが見えたが、すぐに気づいた啓介は顔を伏せて隠し、肩を震わせ嬉し泣きをしていた。


 兄妹二人だけで不安だったのだろう。

 不幸な現実を目の当たりにするには幼すぎると思う。

 俺だって身近な誰かが死んじまったりしたら……身近な……か。

 そういや、あいつらどうしてっかな。


 西の町に向かったという和則一行に思いを馳せる。

 ムカツク奴らではあったけど、俺が学校でうっかり招待状を見せてなけりゃここには絶対に来ないはずだった奴らだ。

 広く言えば俺のせいで危険な目に会っているかもしれない三人。


 ま、考えてもしゃーないか。運がよけりゃ生き残ってるし悪けりゃ……待て、今の考えはなんだ?

 今、俺は死んでても生きててもどうでもいいとか思ったか?

 仮にもクラスメイトだぞ! いやいや、それより人間なんだぞ?

 死んでてもしゃーないって……


 思考がゲーム感覚に入り込みすぎて現実感を喪失しだしていることに愕然とした。

 非常にマズい状況だ。現実感が麻痺している。

 俺がそうだということは別の奴らも同じように……たった一日で現実感を喪失し、家の中でゲームをしているのと変わらない感覚になっているのではないだろうか?


 だからこの二人も盗みなんてしてしまったわけでは……

 バッタは十日ぐらいでこの街が惨状になるといったが割合早く起こるのかもしれない。




 病院が開き、意識の回復していた雄一からIDカードを奪い取り、換金した俺たちはその足で道具屋へ向かった。

 雄一が文句をたれていたが治療費の3000円分は遠慮なく使わせて貰うこととする。


 ちなみに、バッタは病院に着いて早々真っ赤に染まったバッタスーツを着てしまった。

 可愛い素顔が見れないのは残念だが、お互い顔を合わせると赤面してしまうので助かるといえば助かった。


 道具屋【品蟻】に辿り着くと、カウンターにはあの黒服が立っていた。

 手に銃器こそ持ってはいないものの、姿形は容易に本人だと分かった。

 黒服にもやはり個人差というものはあるらしい。


「そら、持って来たぞ」


「2000L丁度ですね。確かに受け取りました」


 そういえば道具屋には一度も入ってなかったな。

 薬草とかどうせ殆ど効かないと思って寄らなかったんだが……

 店の商品を見て回る。

 お、薬草発見。ってこれ、ヨモギじゃないか?


 ガスマスク普通に売ってるし……うん、ギャグ用品として買おう。

 ビタミンCの錠剤や、優しさ50%の塗り薬などもある。

 別のコーナーには食料品や携帯食料が置かれ、RPG用の装飾品もあった。


 ペンダントにブレスレット、魔除けのアンクルなどもあるが、残念ながら俺達の持ち金では買えるものが殆ど無かった。

 毒消し用の血清とかあったけど使い方分からないし……

 ガスマスク以外買うものは無いな。干し肉くらい買っとくか。

 30Lならなんとか……ん?


「バッタ、何それ?」


 バッタは丸い球状の物体を持っていた。掌サイズのそれは導火線がついている。


「爆弾ならあるだろ、ファイヤーボール」


『あ、いえ、これは煙球です。逃避用アイテム。使えるかどうかは分かりませんけど』


 逃避用アイテムか、確かに子供連れて行くなら必要かもしれないな。

 バッタとの協議の結果、煙球二個と干し肉十個を買うことにした。

 久我山環架

装備:ショートソード、皮の鎧、皮のベルト

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、ガスマスク、煙球

魔法:爆裂魔法(手榴弾)

所持金:160L - 20L =140L


 保科雄一

クラス:重戦士

状態:重傷? 入院中

装備:錆びた斧、壊れた鎧

所持アイテム:火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖

所持金:400L + 2300 - 2700 = 0L


 バッタ

クラス:マルチウエポン

装備:ナイフ×2、臭いロングソード、小型のボウガン、ショートソード、タンクトップ

所持アイテム:バッタのキグルミ、火炎の杖、氷結の杖、雷鳴の杖、煙玉

       組み立て式・鉄塊、ハリセン、着替え、干し肉×10

所持金:4810L - 300 = 4510L


 高杉啓介

クラス:騎士

装備:ショートソード、ショートソード、レザーアーマー

所持アイテム:薬草×5、血清×2

所持金:0L


 高杉暦

クラス:槍兵

装備:鉄穂の槍、レザーベスト

所持アイテム:火炎の杖、雷鳴の杖

所持金:0L


 ガスマスク  700L

 煙球      10L

 干し肉     30L

 薬草      10L

 血清     100L

 鉄穂の槍  2000L

 レザーベスト 800L

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