第12話 王子としての立場
私の考えた設定を元にAIが考えた話になります。
・タイトル、あらすじ、タグ、投稿ルールなどもすべてAIまかせ
・設定も面白くなるならば変えて良い
との条件で書きなおしました。
ご興味があれば、ご一読ください。
↓私が自分で書いた方の話はこちら
【逃亡王子の放浪記 ~世界の果てを見に行く方法~】
https://ncode.syosetu.com/n2929ms/
旅の計画を書き始めてから、セイラスの机には紙が増え続けていた。
必要な道具、旅費の見積もり、訪れたい町の名前。母エリアが残した地図を参考に、屋敷から外へ出た場合の道筋も書き出している。
もっとも、計画はなかなか進まなかった。
「……食費って、こんなにかかるのか」
セイラスは計算表を見つめていた。
これまで食事は決まった時間に運ばれてきた。何をどれだけ食べるかを考える必要はあっても、食材の値段や調理にかかる費用を気にしたことはない。
宿泊費についても同じだった。
屋敷の外で暮らすなら、寝る場所にもお金がかかる。移動するための馬車や乗合馬車を利用する場合も、当然ながら運賃が必要になる。
「ねえ、ノエル。町では、毎日お金を払って食事をするんだよね?」
「そうだよ」
「宿に泊まるのにも?」
「もちろん」
「……大変だね」
「今さら?」
ノエルは呆れたように言った。
「セイラスは、もう少し外の暮らしを勉強した方がいいと思う」
「そうだね。僕もそう思う」
セイラスは素直に認めた。
知識を身につけることには慣れている。
だが、本に書かれた知識と、実際に生活するための知識は別物だった。
旅に出るなら、そうしたことも覚えなければならない。
セイラスは計算表の隅に、新しい項目を書き加えた。
『町での生活について学ぶ』
「これも必要だね」
「うん。あと、お金の使い方も」
「分かった」
セイラスは頷いた。
それから、ふと手を止めた。
「……その前に、解決しなきゃいけないことがある」
「何?」
「僕たちが、どうやって屋敷を出るかだよ」
ノエルの手も止まった。
二人は顔を見合わせた。
旅に必要なものをそろえることと、実際に旅へ出られるかどうかは、別の問題だった。
*
セイラスは、屋敷の外へ出ることを自由に許されていない。
それは、幼い頃から変わらないことだった。
庭を歩くことはできる。
屋敷の中を移動することもできる。
しかし、門の向こうへ出るとなると話は違った。
外出には許可が必要であり、行き先や目的を尋ねられる。護衛が同行することもある。
単に町を見て回りたいという理由で、好きなときに出かけられるわけではない。
セイラスは窓辺に立ち、庭の向こうに見える門を眺めていた。
「僕は、どうしてこんなに自由がないんだろうね」
「……王子だから?」
ノエルが答えた。
「そうだね。たぶん、それが理由なんだろう」
セイラスは机に戻り、紙を一枚取り出した。
そこには、これまで自分が知った王家についての情報が書かれている。
エルランド王国。
人間の領域の中央付近に位置する、歴史ある王国。
周囲の国々が魔物との戦いに苦しむ一方、王国の領土は比較的安定している。
そのため、国内では魔物への危機感が薄く、王族や貴族たちが国の内側の問題に多くの時間を費やしている。
そして、その王国には王族としての役目がある。
国を治めること。
領民の生活を守ること。
貴族や周辺諸国との関係を維持すること。
王族に生まれた者は、本人が望むかどうかにかかわらず、そうした役目と無縁ではいられない。
「ノエルは、王子ってどんな人だと思う?」
セイラスが尋ねた。
「えっ?」
「王子という言葉から、どんな人を想像する?」
ノエルは少し考えた。
「偉い人?」
「うん」
「お金持ちで、立派な服を着ていて、何でも持ってる人」
「なるほど」
「それから、国を守ったり、悪い人を捕まえたりするのかな」
「ずいぶん忙しそうだね」
「そうだね」
二人は顔を見合わせた。
セイラスは、机の上の紙を見下ろした。
王子という立場は、確かに多くのものを与えてくれる。
食事に困ることはない。
住む場所も、学ぶための本もある。
身の回りのことを世話してくれる人たちもいる。
けれど、その代わりに、自分の意思だけでは決められないことも多かった。
どこへ行くのか。
誰と会うのか。
何を学び、何をするのか。
それらの多くは、王族としての立場に左右される。
セイラスが望んでいるのは、王位でも、豪華な生活でもない。
まだ知らない町を歩き、見たことのない景色を見て、自分の目で確かめたものを記録することだ。
そのために、いつか世界の果てへ行きたい。
ただ、それだけだった。
「僕は、王子になりたかったわけじゃないんだ」
セイラスは静かに言った。
「生まれたときから王子だったんだから、仕方がないけどね」
「……王子じゃなかったら、よかった?」
「どうだろう」
セイラスは少し考えた。
「王子じゃなければ、もっと早く外へ出られたかもしれない。でも、母上が残してくれた本を読むことも、これほどたくさんのことを学ぶこともできなかったかもしれない」
屋敷で過ごした時間が、すべて無駄だったとは思わない。
母が残した本があったから、世界の広さを知った。
レナードの旅行記があったから、世界の果てを目指したいと思った。
そして、ノエルと出会った。
だからこそ、今の自分がある。
「ただ、これから先もずっと、この屋敷にいなければならないのなら……僕は、それを受け入れられないと思う」
セイラスは窓の外を見た。
「王子として生きることが、僕の人生のすべてじゃないから」
ノエルは、しばらく何も言わなかった。
やがて、机の上に置かれた旅の計画書を手に取った。
「じゃあ、行こう」
「うん」
「どうやって出るかは、これから考えればいいよ」
「そうだね」
「セイラスが王子でも、そうじゃなくても、私は一緒に行くから」
セイラスはノエルを見た。
「……ありがとう」
「お礼は、旅に出てからでいいよ」
「それはどういう意味?」
「旅に出たら、私が知らないことをたくさん教えてもらうから」
「分かった。勉強しておくよ」
「私も、セイラスが知らないことを教えてあげる」
「それは楽しみだね」
二人は再び計画書に向き直った。
屋敷を出る方法は、まだ見つかっていない。
それでも、旅を諦めるつもりはなかった。
*
数日後。
セイラスは、いつものように書庫で本を読んでいた。
窓から差し込む午後の日差しが、床の上に長い四角形を作っている。
書棚には、歴代の王や貴族について書かれた記録が並んでいた。
普段なら手に取らない種類の本だったが、旅に出る方法を考えるうえで、王家の仕組みを知っておく必要があると思ったのだ。
セイラスは一冊の記録を開いた。
そこには、王位継承の仕組みや、王族が果たすべき役割について記されていた。
王の子として生まれた者は、王位を継ぐ可能性がある。
たとえ本人が望んでいなくても、王位継承の順位に名前がある限り、政治と無関係ではいられない。
国に何かが起きれば、王族の存在そのものが政治的な意味を持つ。
セイラスはページをめくった。
そして、ある箇所で手を止めた。
歴代の王族の名前が、一覧になっている。
その中に、自分の名前もあった。
第二王子、セイラス。
その文字を見つめる。
自分の名前が、個人を示すものではなく、王家の一員として記録されている。
それ自体は当たり前のことだった。
けれど、そこには自分が何を望み、何をしたいのかという情報は、どこにも書かれていない。
王子であること。
それが、セイラスを説明する最初の言葉だった。
セイラスは本を閉じた。
「……僕は、僕なんだけどな」
誰に聞かせるでもなく、呟いた。
王子としての自分と、旅に出たい自分。
どちらかが偽物というわけではない。
ただ、両方を同時に満たすことが難しいのだ。
旅に出るためには、王子としての立場をどうにかしなければならない。
けれど、王子であることを簡単に捨てられるとも思えなかった。
自分がいなくなれば、周囲の人々に迷惑がかかるかもしれない。
国にとって、第二王子が姿を消すことは小さな問題ではないだろう。
それでも、ここに残り続けるつもりはなかった。
セイラスは本を棚へ戻した。
そのとき、廊下から足音が聞こえてきた。
「セイラス殿下」
扉の向こうから、侍従の声がした。
「少々、お話ししたいことがございます」
「何?」
「王都から、書状が届いております」
セイラスは振り返った。
「王都から?」
「はい。殿下に関することで、確認したい事項があるとのことです」
侍従は扉の向こうで、一度言葉を切った。
「後日、王都より使者が参る予定となっております」
書庫の中に、静けさが戻った。
セイラスは、閉じたばかりの本に目を向けた。
王子としての立場は、自分が望むかどうかにかかわらず、そこにある。
そして今、その立場が、王都からの使者という形で動き始めようとしていた。




