第9話 母が隠した部屋
私の考えた設定を元にAIが考えた話になります。
・タイトル、あらすじ、タグ、投稿ルールなどもすべてAIまかせ
・設定も面白くなるならば変えて良い
との条件で書きなおしました。
ご興味があれば、ご一読ください。
↓私が自分で書いた方の話はこちら
【逃亡王子の放浪記 ~世界の果てを見に行く方法~】
https://ncode.syosetu.com/n2929ms/
翌朝。
セイラスは、屋敷の見取り図を机いっぱいに広げていた。
紙の端には、古い染みがいくつも残っている。何度も折り畳まれた跡もあり、ずいぶん昔に作られたものらしい。
セイラスはその上に別の紙を重ね、部屋の位置を確かめていた。
「ここが食堂で、こっちが厨房。僕たちの部屋はこの辺り」
指先で線をたどりながら、屋敷の構造を整理していく。
ノエルは机の向かい側で、見取り図を覗き込んでいた。
「こんなもの、どこにあったの?」
「書庫の隅にあったよ。古い書類に紛れていた」
「よく見つけたね」
「書庫の本は、だいたい背表紙を覚えているから」
「本当に?」
「うん」
「じゃあ、あの棚の上から三番目、右から五冊目の本は?」
「『王国北部の農業史』」
「……本当に覚えてるんだ」
「何年もここで過ごしているからね」
セイラスは見取り図に目を戻した。
「ただ、この図面には気になるところがある」
「どこ?」
「母上の書斎」
セイラスは屋敷の中央付近を指した。
書斎は二階にある。
広さも位置も、現在の部屋とほぼ一致している。しかし、その下の一階部分を見ると、妙な空白があった。
「ここ、何も書いてないね」
ノエルが言った。
「そう。ほかの場所には、廊下や部屋の配置が細かく描かれているのに、ここだけ空白になっている」
「ただの壁じゃないの?」
「その可能性もある」
「じゃあ、どうするの?」
「調べる」
セイラスは見取り図を畳んだ。
「まずは一階から」
*
二人は、母の書斎の真下にあたる一階の部屋を調べ始めた。
そこは普段、使われていない物置だった。
壁際には古い家具が並び、布をかぶせられた箱がいくつも積み上げられている。窓は小さく、昼間でも部屋の隅には濃い影が残っていた。
長い間、人が立ち入っていなかったのだろう。
床には薄く埃が積もり、棚の上には蜘蛛の巣が張っている。
「何から調べる?」
ノエルが尋ねた。
「壁と床」
「全部?」
「全部」
「……大変そう」
「二人でやれば、少しは早いよ」
「セイラスは壁を調べて。私は床を調べる」
「分かった」
ノエルは床に置かれた箱を持ち上げた。
以前なら両手で抱えなければ動かせなかった大きさだが、今では片手でも持ち上げられる。
箱を部屋の隅へ移動させ、床板を確かめる。
一方のセイラスは、壁を指で叩いていた。
コン、コン。
場所を変えて、また叩く。
音の響きに大きな違いはない。
「こっちは普通の壁だね」
「こっちも」
ノエルは床板を押したり、隙間を覗いたりしていた。
「何もないよ」
「まだ分からない」
「全部調べるんでしょ?」
「うん」
「じゃあ、時間がかかりそうだね」
「そうだね」
セイラスは壁際の棚を見た。
その棚は、部屋の中でも妙な位置に置かれていた。
ほかの家具が壁に沿って並べられているのに対し、その棚だけは壁から少し離れている。
「ノエル、ちょっと手伝って」
「今度は何?」
「この棚を動かしたい」
二人で棚を押す。
重い木製の棚は、床を擦る音を立てながら少しずつ動いた。
その後ろから、壁が現れた。
見た目は普通の壁だった。
ただ、中央付近に細い線が縦に走っている。
「……扉?」
ノエルが呟いた。
「そうかもしれない」
セイラスは壁に近づいた。
縦の線を指でなぞる。
扉の縁らしきものはあるが、取っ手も鍵穴も見当たらない。
「どうやって開けるの?」
「それを調べてる」
セイラスは壁の両側を調べた。
指で押してみる。
何も起きない。
横へ動かそうとしても、びくともしない。
しばらくして、ノエルが声を上げた。
「ねえ、ここ!」
彼女が指差したのは、扉の右下だった。
壁の一部に、小さな金属の突起が埋め込まれている。
埃に覆われていたため、近くで見なければ気づかなかっただろう。
セイラスは袖で埃を拭き取った。
金属の表面には、細かな模様が刻まれている。
「ボタンかな?」
「押してみる?」
「待って」
セイラスは突起の周囲を調べた。
装飾に見えた模様は、一定の間隔で並んでいる。
その配置には、見覚えがあった。
「……エーテル石の蓄積器官に似ている」
「何それ?」
「エーテルを蓄えるための構造だよ。魔物のエーテル石も、似たような仕組みを持っている」
「これにもエーテルが入ってるの?」
「分からない。でも、普通の金属じゃなさそうだ」
セイラスは突起へ手を伸ばした。
指先が触れた瞬間、わずかな違和感が走った。
古い壁。
冷たい石。
長い年月を経た木材。
そして、誰かがこの場所で扉を開けた記憶。
セイラスの意識に、断片的な光景が流れ込んだ。
女性の手。
机の上に置かれた書類。
壁の前に立つ、母エリアの姿。
彼女は突起に触れ、何かを確かめるように壁を見つめていた。
次の瞬間、壁の向こうから低い音が響いた。
記憶はそこで途切れた。
「セイラス?」
ノエルの声で、セイラスは我に返った。
「……大丈夫?」
「うん」
セイラスは突起から手を離した。
今の光景は、この場所に残された情報を読み取ったものだろう。
けれど、見えたものはあまりにも短かった。
「母上が使っていたみたいだ」
「じゃあ、開け方を知ってるの?」
「たぶん」
セイラスは突起をもう一度見た。
そして、指で軽く押した。
カチリ。
小さな音がした。
壁の奥で、何かが動く。
ゴゴゴ……。
重い石が擦れるような音とともに、壁の一部がゆっくりと奥へ引き込まれていった。
やがて、人一人が通れるほどの隙間が開いた。
その先には、下へ続く階段があった。
「……地下室?」
ノエルが目を見開く。
「そうみたい」
セイラスは入口の前に立った。
階段の先は暗く、奥の様子は分からない。
冷たい空気が、地下から流れ出してくる。
「入るの?」
「もちろん」
「暗いよ」
「分かってる」
「何があるか分からないよ」
「だから調べるんだよ」
セイラスは近くにあった燭台を手に取り、火を灯した。
蝋燭の明かりが、石造りの階段を照らす。
「ノエル、ついてきて」
「うん」
二人は慎重に階段を下りていった。
*
地下室は、想像していたよりも広かった。
壁は石で造られ、天井には一定の間隔で梁が渡されている。
部屋の中央には大きな机があり、その上には何冊もの本と書類が並んでいた。
壁際には棚が設置され、古い箱や筒状の容器が整然と置かれている。
さらに奥には、地図を広げるための大きな台があった。
「……すごい」
ノエルが呟いた。
セイラスは燭台を持ち上げ、部屋全体を見渡した。
埃は積もっているものの、書物や資料が乱雑に放置されているわけではない。
むしろ、必要なものをすぐ取り出せるよう、種類ごとに整理されているようだった。
「母上は、ここで何をしていたんだろう」
「本を読んでたんじゃない?」
「それだけなら、書斎で十分だよ」
セイラスは机に近づいた。
最も上に置かれていた紙には、いくつもの地名が書かれている。
その隣には、細かな数字と日付。
さらに別の紙には、魔物の種類や出現場所と思われる記録が並んでいた。
「これ……」
セイラスは紙を持ち上げた。
古い地図だった。
人間の領域を描いたものだが、普通の地図とは違う。
国境線や街道だけでなく、過去に人間が暮らしていた地域まで記されている。
失われた町。
放棄された街道。
魔物の領域に呑み込まれた土地。
それらが、年代ごとに色分けされていた。
「ノエル、これを見て」
「何?」
「この地図、今の地図じゃないんだ」
セイラスは別の地図を広げた。
現在の人間の領域を描いた地図と重ね合わせる。
すると、失われた土地の範囲がはっきりと浮かび上がった。
「ここも、ここも……」
ノエルは地図の上に指を滑らせた。
「こんなに広かったんだ」
「うん」
セイラスは二枚の地図を見比べた。
人間の領域は、ただ広い場所と狭い場所があるというだけではない。
長い時間をかけて、確実に形を変えている。
そして、その変化は決して人間にとって都合のいいものではなかった。
「母上は、これを調べていたんだ」
セイラスは呟いた。
机の上には、まだ大量の資料が残っている。
魔物の生態。
失われた町の記録。
辺境の集落から届いた報告。
そして、各地の旅行記。
セイラスはその中から、一冊の本を手に取った。
表紙には、見慣れた名前が記されていた。
レナード。
これまで何度も読んできた旅行記の著者だった。
ただし、書名は知らないものだった。
『未踏地域調査記録』
その下には、小さな文字でこう書かれていた。
『エリア殿へ』
セイラスは本を開こうとした。
しかし、最初のページには短い注意書きが記されていた。
『この記録を読む者へ』
『地図に記された境界を、世界の終わりだと思ってはならない』
セイラスの手が止まった。
蝋燭の炎が、静かに揺れる。
地下室の奥には、まだ多くの資料が残されていた。
それらが何を意味するのか。
母が何を知り、何を調べようとしていたのか。
その答えは、まだ分からない。
けれど、セイラスは確信していた。
この地下室には、自分が知りたかった世界の秘密につながる何かがある。
そして、それはきっと。
自分が目指す「世界の果て」とも、無関係ではないはずだった。




