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学校では無口な彼女と学校でもイチャイチャする話  作者: ウパ戌


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顔合わせにて

 俺たち三人は今、俺の実家の玄関の前にいた。インターホンは鳴らしていない。


「ねぇ、そろそろ行かない?」

「ごめん京ちゃん。もうちょっとだけ待って」


 七海はスマホを取り出して、カメラを起動する。内カメにして自分の前髪を整えているのが分かる。


「髪型変じゃない? 大丈夫?」

「大丈夫だよ。かわいい」

「ほんとに?」

「うん」


 七海はもう一度スマホを見て髪型の確認をすると、両手を広げて息を吸い込んだ。


「よし! 行こう!」


 インターホンを押そうと七海は手を伸ばす。


「いや、おねぇ。合鍵持ってるから」

「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。父さんたちも今日七海が来ること知ってるしさ」

「そんなこと言いつつ、おにぃも緊張してるんじゃない?」

「おい、ほっとけって」

「え? なになに? 明人も緊張してるの?」

「……そりゃするでしょ。自分の彼女を家族に紹介するんだから」


 ニヤニヤと笑ってくる。どうやら緊張は解けたようだ。


「へー、へー。ふふ。そうなんだ」

「てか二人ともさー、あたしのお祝いなんだけど」

「分かってるよ」

「んあっ」


 少し不貞腐れている京の頭を雑に撫でる。


「……ねぇ、あたしはおねぇじゃないからこんなので喜ばないんだけど」

「はいはい」

「むむっ」

「よしもう行こうか」

「ねね! あきと、わたしもわたしも」


 七海は頭をこちらに傾けてくる。「はいはい」とぐりぐり頭を撫でたらすぐにご機嫌になって、頭をより強く押し付けてきた。さっき整えたのにいいのだろうか。


「おしまい。ほら、行くよ」

「はーい」


 鍵を鍵穴に差し、回す。


「ただいまー」


 その声と同時にドアを開けた。すると、ドアが完全に開く前に


「おかえりなさい」


 と声が聞こえた。ドアを開けた先には、すでに玄関に父さんと母さんが二人立っていた。


「なんで玄関いんの?」

「いやー、お父さんがずっとそわそわしててうざかったから、そんなに気になるなら玄関にでも行って待ってたらっていったら本気にしちゃって。あ、みっちゃん、改めて合格おめでとう。よく頑張ったわね」

「うん。ありがとう」

「そっちの子が連絡くれた明人の彼女さん? めっちゃ可愛いわね。ほらこっちおいで」

「は、はい!」

「んー、かわいいー」

「えっと、あちがとうございまふ……」


 母さんは息継ぐ暇もなく七海を撫で始める。


「あ、あのいつまで……あう……」


 七海はあわあわと落ち着かない感じだ。母さんはいつもそんな感じなんだ。諦めてくれ。


「てかお父さんも何か言いなさいよ」


 撫でている手を止めて母さんは言った。腕を組む無駄に威厳だけはある父さんはその場で固まって動かない。七海はそんな父さんを見て一緒になって固まっている。京も母さんも何を考えているのか分からないが、一緒になって黙っている。


「……」

「……」


 謎の沈黙が流れる。父さんは「ごほんっ」と咳払いをした。


「えっと、なんだ。京合格おめでとう。高校も明人の家から通うのか?」

「うん。そのつもり」

「そうか……」

「後、明人の彼女さん」

「はい!」

「愚息は迷惑をかけていませんか?」

「え? いや、むしろ私の方が迷惑をかけてるぐらいで」

「そうですか。……できればこれからもよろしくお願いします」

「こちらこそです」


 父さんが頭を下げるのと同時に、七海はおずおずとペコリと頭を下げる。


「ほらほら、かたっくるしいのはここまでにして、入って入ってー」


 そう言ってこの気まずい雰囲気を割るように、母さんは父さんと七海を押し、家に入るように促した。


「お、お邪魔します」

「うん!」


 俺と京もその後に付いて行った。

 

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