付喪神9
付喪神解答編の要です。
今回までの話で全ての情報が出揃います。
キビたちと一緒に付喪神の正体、真実と想いを追求してみてください。
「山が噴火した!早く逃げろ!!」
「どこへ逃げるっていうんだ!?もう手遅れだ!村ごとみんな死ぬんだ!!」
「向こうで火の手が!」
「もう終わりだ……」
「こんな山奥じゃ救助だって間に合わない……」
「死ぬしかないのか?」
「少し行ったところに御神木……」
「そうだ!御神木なら」
「無駄だ!ただの桜じゃないか!」
「どうせ死ぬなら神頼みも……」
「生贄だ!御神木に生贄を!」
「誰が生贄になるんだ!?」
「どうせみんな死ぬなら誰が行っても同じだろ!」
「でももし生き残れたら……」
「誰かいないのか!?」
「生贄を!」
「生贄を!」
「……私が行きます……」
「え?ねぇちゃん!?」
「私が生贄になります。ですから……もし皆さんが生き残れたら……この子をお願いします」
「なんでねぇちゃんが!?」
「行ってくれるか!」
「村の命運はお前にかかっている!」
「ねぇちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
チヨが目を開けるとそこは森の中だった。
虫の声がして木々が揺れる音がした。
パチパチと音を立てる焚き火の明かりが眩しかった。
「目が覚めた?」
女の声がした。
チヨがゆっくりと目線を動かすと、そこにはエンラとキビがいた。
近くにリクの姿も見えた。
眠っている様だった。
「長い年月、大切に扱われた物は魂が宿り付喪神となる。今から何十年か前、山が噴火し村を襲った。そこで村は御神木に生贄を捧げ村を守ってもらったんだ」
エンラが特に表情も変えずに言った。
キビが目を細め焚き火に木の枝を放り込んだ。
「桜は確かに付喪神として、御神木としての力を宿していた。だが山の噴火を治めるには力が足りなかった。生贄の力を借りて山の噴火を一時的に抑え込んだ。人々は喜び、桜を崇め地蔵を建てた」
「夢で見ました」
「そうか」
チヨは焚き火を見つめた。
揺れ動く炎は儚く、悲しげだった。
「一人の犠牲により助かった村は一人の少年の心を壊してしまった。少年は物として生き、心には村への恨みつらみが重なっていった。それが付喪神の真実」
エンラは表情を変えない。
だがどこか悲しさを感じさせる声だった。
「復讐……ですか」
チヨには腑に落ちない事があった。
「付喪神は……長老様は何故こんな回りくどい事をしたのでしょう……。村を襲うなりすれば簡単だったのに……」
「桜に……もう一匹の付喪神へのメッセージだったんじゃないかな」
「メッセージ?」
「ああ、お前は村娘一人救う事は出来ないんだ、ってな」
終わりと見せかけてもう少しだけ続きます。




