付喪神5
主に5日毎に更新しています。
実際にはもっと先までアップしてあるのですが、なんというか、気分です。
次の日、エンラとチヨ、キビとリクに分かれそれぞれの目的地へ向かった。
キビとリクは長老と呼ばれる老人の屋敷へとやってきた。
年寄は朝が早い。
少しの時間のズレで話を聞くタイミングを逃しては意味がない。
齢百歳を越えるといわれる長老、村一番の博識者の話を聞く為にここへ来たのである。
今晩は生贄の件もありゴタゴタして話など聞けないかとも思ったが、案外すんなりと屋敷の中へと案内してくれた。
「さて、なんの話じゃったかな?」
白い顎髭を携えた老人が言った。
集会所で見たあの老人である。
とても百歳には見えないその人は自分でお茶を入れ自分で啜った。
キビが長い髪をかきあげた。
「この村には生贄を出す風習があるとお聞きしました」
長老はもう一度ゆっくりと茶を啜った。
「ある。わしが子供の頃、川が赤く染まってしな。その時も生贄を出して村を守ったんじゃ」
キビが一度リクを見てから言いにくそうに言葉を発した。
「その……生贄になった人たちはどうなるんですか?」
「わしにもわからん。わしは桜の元へ娘を連れて行くだけじゃから。きっと妖怪桜の養分なっとるんじゃないかと思うとる」
リクが声を出さずにガタガタと震えている。
早くここから立ち去りたい気持ちと姉を救うヒントを探したい気持ちとが頭の中でごちゃごちゃになっていた。
「なぜ妖怪桜の仕業だと?」
キビの問いかけに答える前に老人は煙草を手に取った。
「あの時もそうだったんじゃ。きっと人の味を覚えた妖怪桜が悪さをしとるんじゃ」
老人は煙草に火を点けた。
煙がスーッと天井へ登っていく。
「なんで……なんでねぇちゃんなんだよ……」
少年はその小さな身体を震わせ、苦しそうに言った。
その後の老人の言葉は少年の心を更に悲しみの渕へと追いやる。
「仕方ないんじゃ……」
リクは受け入れたくない現実にただただ泣き喚くばかりだった。
そろそろ真のオチを予想する人が出てきてるんじゃないかなぁ、と思ってます。




