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妖魔事件簿   作者: 山原 水鶏
船幽霊
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船幽霊6

船幽霊とは?

雨女とは?

 船幽霊。

 海で無念の死を迎えた魂は船幽霊となり永遠に海を彷徨うのだという。

 そして船乗りの前に現れては柄杓を要求するのである。

 驚いた船乗りが柄杓を渡すと船幽霊は海水をその柄杓ですくい、船の中へ。

 気づいた時にはもう遅い。

 船は海の底へと沈められてしまうのである。

 だから船乗りたちは底板の無い柄杓を用意し、船に乗せておくのである。

「彼は船幽霊になってしまったのかもしれないな」

 女は男の話に耳を傾けなかった。

「やれやれ、すっかり嫌われちまったもんだ」

 男は雨で濡れた頭をポリポリとかいた。

「俺はもうちょっとのんびりやろうかと思ってたんだが、そろそろ帰ってこいって秘書がうるさくてな」

 おんなはゆっくりと口を開いた。

「必要とされてるんですね。よかったじゃないですか。私はてっきり仕事なくなった人の暇つぶしかと思ってました」

「なかなか言うようになったじゃないか」

 淡々とやりとりをしているが、女の表情は笑っていない。

「もう一度確認しておきたいんだが、海の底に沈んだのは本当にアンタの彼だったのかい?」

 女が恐ろしい目で男を睨みつけた。

「何が言いたいんですか?」

 右目が充血している。

 いや、充血しているというより黒かった。

 夜の闇よりももっと深く、塗料などのようには鮮やかではない、そんな黒。

 雨が激しくなる。

 風も強くなってきた。

 嵐が来る。

「激しい雨でこれだけ世界が見えなくなるんだ。あの事故の時、これよりも雨が酷かったはずだ。ここからじゃとても現場は確認できない。あんたはどうやって彼だと確認したんだ?」

 女は黒い右目を自らの手で覆った。

「彼の水死体はあがっていない。何故彼だと思うんだ?」

 右目を覆う女は苦しそうだった。

シリーズの流れ的に女がアレで男がアレってのは皆さん最初からわかってたと思いますので今更今更。

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