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妖魔事件簿   作者: 山原 水鶏
船幽霊
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15/19

船幽霊5

先日ある人と話をしていて、恋愛って難しいねって話題になりました。

恋愛物語ってどーやって書くの?

「なかなか止まないな」

 今日も男は女のところへ来ていた。

 特になんの進展もなく、ただ挨拶を交わしただけ。

「よく飽きもせず、よく毎日毎日来られますね」

 男は水平線の方、海の彼方に視線を移した。

「ほら、彼も成仏できなくて可哀想だろ?なんとかしてやらなきゃって」

 女も同じ方を見る。

 つい先日、奇怪なモノを見た辺り、彼が海に沈んだ辺りである。

「あの日豪雨以来、あの近くを通ると突然雨が強くなり全てを飲み込むそうだ。おかげで沈んだ船を引き上げることすらできないでいる」

 女は一切の反応を示さなかった。

 男は淡々と話を続ける。

「男の死体が上がったって話もないから、きっとまだ海の底なんだろ。誰にも近づけない棺桶ってわけだ」

 俯いた女の頬を雨が滑り砂浜へと落ちる。

「ところで、数日前にここから5kmほど離れた岩場で水死体があがったって知ってるかい?」

 突然女が男の方を見た。

 その顔は今までとはまるで違う、鬼の様な形相であった。

 男は話を続ける。

「水死体は女だった。つまりアンタの彼じゃない。だが時期からいってその女は、彼と同じ船に乗っていたんじゃないかと思ってる」

 女は男を凝視したままピクリとも動かない。

 その恐ろしい視線は蛇が蛙を睨むというより、人間の狂気の部分が露呈しているかのようだった。

「あそこの彼は……」

 男が海を指差す。

 そこには先日同様、醜い肉らしきモノがいた。

「海の底に沈んだのは、彼だったのかい?」

 突然雨が激しくなった。

 ザーザーと音を立て降ってくる雨が辺りの景色をも歪めてしまう程だった。

 男はゆっくりと歩き始めた。

 女から遠ざかっていく。

「また来るよ」

 女と、海の向こうのモノを残し男は雨の中へ消えていった。

そろそろいろんなピースが揃ってきたんじゃないかと思います。

男と女、恋の行方…なんて無いですね

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