第22話 決戦
みんなが唖然とした表情で見てると、イクサスはムクリと起き上がり、
「お嬢さん、合格だ。あと28人だな。いやーにしても、サマーソルトくらわせた時はもう勝ったと思ったんだけどなー」
と、笑って言った。
よかったー、一発で終わりって言ってたから、連撃全部当てたの怒ってると思ってた。てか、あの時の攻撃はサマーソルトだったのか....
安心しながら、みんなのところまで戻ると、セレネさんが
「お疲れ様ですシオン、完璧ですよ」
と、微笑みながら言ってくる。けれど、私はどうにも釈然としない表情でどうもと返す。
それを気にしたセレネに聞かれると、
「だって、あの人私の『リーヴァ・レイド』の剣筋、完全に見切った上でわざと攻撃食らったじゃ無いですか」
と、返すとセレネさんは驚いた表情を作り、
「あの戦闘中によくそこまでわかりましたね。確かに、イクサスだったら、ステータス任せに避けることも出来ましたけど、それを踏まえてもあなたは合格基準の戦闘を見せたのです。だから、今はそれでいいんですよ。どうしてもというのなら、後でイクサスに勝負を申し込めばいいのです。」
などと、言って私を説得する。まあ、別に合格したのなら、それでいいので、それ以上は何も言わずに私はテストの観戦をすることにした。
結果としては、『ガールズ・オウス』のメンバーは予定が合わないとのことでテスト自体受けなかったメアリー以外は全員合格した。
♦︎
テストが終わってから、暫くは各自、熟練度上げや、全員での連携の相談など、色々なことをして、すぐに時間が過ぎていく。
お母さん達が帰ってきたこともあって、長時間のログインはできなかったけど、なんとか、討伐の日に長時間ログインしても良いという約束を取り付けて、私は討伐作戦の当日を迎えた。
ログインしてみれば、既に始まりの街にメンバー全員が揃っていた。どうやら私待ちだったらしい。
「ごめん、遅かった?」
「いえ、全然大丈夫ですよ、むしろみんなが早すぎなのです。」
そう言いつつもめっちゃ早くからログインしてそうなセレネさんに軽くジト目を向けていると、イクサスが、
「じゃあ、これから討伐作戦を結構する。みんな、道中のmobは全部狩っていく。余計な邪魔が入っても困るしな。」
返事は無いが、全員わかっているといった表情で頷く。それを確認してから、イクサスが行くぞと、一声かけて、全員で『始まりの庭』へと出て、東の方へと走り出す。
AGIが高い私は自然と先頭集団まで来るので、道中のmobは私も倒すことになる。そうして、何体か、倒したところでついに私たちは『始まりの庭』の東に存在する、『翠帝の祭壇』まで来た。
けれど、私が遠くから視認したことがある巨大mobの姿が見えない。
それはメンバー全員も思っていることのようで、あたりをキョロキョロと見回す。
そうして、私たちが気を緩めかけた瞬間、『それ』はやってくる。最初に気づいたきっかけはVR特有のサーバーへの負荷によるグラフィックの崩れ、一瞬だが、ぼやけた草のそれを確認すると同時に、一人のプレイヤーが叫んだ。
「祭壇が!」
私がその声につられて祭壇の方を見た瞬間、『それ』は、咆哮と共に、その存在を全員に刻みつける。
鈍く金色に輝く鱗、VRでも原初の恐怖を煽るかのような鋭い牙と爪、軽く羽ばたくだけで風圧を作り出す巨大な翼、私の『危機察知』スキルで見えるオーラは殆ど黒に染まっている。
そして、ボス特有の現象なのか、名前が私の視界に映る。
その名は『ancient wald dragon』
VRですらはっきりと伝わってくる恐怖が私の足を動かなくしていた。
♦︎
「行くぞ!」
イクサスが、先陣を切る。ドラゴンは煩わしいとばかりに手を振り下ろすが、そんな攻撃は当たらない。移動距離のロスをなくすためにあえて、ギリギリで避け、その顔面に片手剣闘技の中でも最強の攻撃力を誇る、片手剣熟練度1000ボーナス技、『ヴァリアブル・ゼロ・ラジエイション』を放つ。
その効果は一発ごとに違う属性を、宿す7連撃だ。
炎、雷、氷、風、土、光、闇の全属性のエフェクトを撒き散らしながら、ドラゴンの顔を斬りつけると、同時に離脱して、
「炎が弱点だ!魔法の援護よろしく!」
と、全員に指示を伝える。そこまで確認したところでようやく私も体を動かせるようになってきた。
よし、炎なら、私もやれる!私のレベル4に上がった『属性付与』で!
「『属性付与・二重』
『業炎』
炎を両手に纏って、私は走り出した。
ついにこのエリアでの最終決戦です!
知らない技とかバンバン使いますけどそこは気にしたら負けということでお願いします!




