第17話 ギルドの愉快な仲間たち
次回は少し戦闘を挟みます。
今回は女の子たちの百合をメインに書きました!(大嘘)
とりあえず、それぞれの自己紹介が終わった私達は、テーブルを6人で囲って座ることにした。
ちなみに、それぞれの人の前には熱い湯気を立てる紅茶が置いてある。ゲーム内ではあるが、娯楽の範疇として料理もあるよ、というのはセレネさんの言葉だ。
ここまで会話してわかったことだが、眼鏡の女性、セレネさんはゲーム内情報に耳ざとい、私が知らなかったことをどんどん教えてくれる。
どうやらメアリーもこの人に教えてもらっていたようだ。
そして、情報といえば、
「あ、そうだ。昨日ね、ガチ勢のギルド『ゴースト・ドレイク』のロングソード使い、ゼイドが新人にやられたらしいのよ。それも双剣使いの」
「ぶふぅ!」
思わず、紅茶を吹き出してしまう。ま、まさかそこまで有名になるとは思わなかった。
とはいえ、流石バーチャル、紅茶は誰にかかるというわけでもなく、いつのまにか消えた。
しかし、この行為自体は隠し通せたわけではないので、はっと、気づいたようにメアリーが、
「そういえば、シオンは双剣使いだよね!今の反応的にもシオンが倒したの!?」
と、非常に興奮した様子で聞いてくる。まあ、別に隠すことでもないかと思い、
「まあ、そうだけど.....」
若干小声になりながら返す。すると、ギルド内で窓が割れんばかりの驚愕の声が響いた。
「ごめんなさい、取り乱しちゃいました。」
セレネさんがコホンと、咳払いをして言ってから、私を見つめてくる。どうしたんですか?と、言おうとした瞬間に、
「シオンさん、もしかしなくても、あなたにはこれから、ギルドの誘いが大量に来ると思います。」
私に先んじて、彼女がそう言って来る。意図を測りかねて、視線で先を促すと、彼女はうなづいてから、
「まだ、これをやったのが貴方だと知られていないから、何もありませんが、もし知られたらそうなるという話です。なんと言っても今はギルドという制度が出来上がったばかりですからね、どこも戦力増強という意味では初心者でも欲しいところなんですよ。あ、もちろん私たちはそういう目的ではないので悪しからず。」
そこまで、言って、彼女は一息つくと、極めて冷静に言い放つ。
「さて、そんな時に、突然貴方が現れた。それもガチ勢のメンバーを1対1で倒すほどの強者である。さて、どうなると思いますか?」
聞いた瞬間、頭から冷水をかけられた気分になった。まあ、よくよく考えてみればわからないことじゃなかったのだが......少し、いやかなりめんどくさい事態になりそうだが、自分で蒔いた種なので、仕方がない。
無言で固まってしまった私を見て、彼女はフッと微笑むと、
「すいません、意地悪が過ぎましたね。全然いいんですよ、ゲームなんですから他人に迷惑をかけない限りはやりたいことをやってナンボです。だから、もしめんどくさく感じたのなら、私はすでにギルドに入っているので、と言ってしまってもいいんですよ」
と、慈愛に満ちた優しい声音で言って来る。
私も思わず笑って、
「セレネさんっていい人ですけど、優しくはないですよね」
軽口で返す。セレネさんも笑いながら、
「いいんですよ、ライオンは子を谷に落として育てるものなんです。」
と、返してきた。
♦︎
「まあ、ギルドを断ったとしてもガチ勢、というか、攻略勢に入るのは避けられませんけどね」
「というか、入るとどうなるんですか?」
「レイドボスとか、エリアボスの討伐に駆り出されるんですよ、それと新しいマップの整理とかにも、私もやらせられたことありますけど、めんどくさいですよ」
私はその話を聞いて、思わず苦笑いをしてしまう。ゲームなのに、縛られて仕事させられるとか.....
一人でげんなりしていると、
「まあ、正直めんどくさいと思ったら無視しちまっても良いと思うっすよ。ね!セレさん?」
アカネちゃんがセレネさんに意味ありげな視線を向けて、私に言うと、ソラさんもその言葉を引き継いで、
「事実、セレネが仕事に行ったことなんて、1回だけ、それも途中で抜け出してる。」
セレネさんを口撃しだす。セレネさんは非常に狼狽した様子で、
「いいんですよ!ゲームなのに仕事とか言う方がおかしいんです!」
苦しい言い訳をしだす。私と同じような言い訳をしてるなぁ、とみんなと一緒に笑いながら見ていると、いつの間にやらクローネさんが隣に来ている。そして、
「シオンさん!もう一回、こう、ぎゅーってしてもいいですか!」
さっき土下座したのだが、懲りずにこんなことを言って来る。いや、了承を得ようとしてるだけ、まだ反省しているのだろうが.....
「なんでするんですか?」
「シオンさんは私のこう第六感にビビッと来るんですよ!」
こいつ、だめだ。早くなんとかしないと.....
そんなことを考えていると、最早、我慢ならないと言った様子で、
「はい!ギューッ!」
「ひゃあ!?」
野獣の如く飛びついてくる。ちょっ、ステータス強い!私の筋力だと引き剥がせない!?
セレネさんが二人にからかわれ、私がクローネさんに襲われている。そんなカオスな様相になって来たギルドのリビングに台所から、新たに淹れ直した湯気立つ紅茶を持ってメアリーがやって来る。
そして、その様相を見て、一言。
「シオンもみんなと仲良くなれそうでよかったよー」
「どこが!?」




