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Himeyuri ―魔法を嫌う元学園最強の主人公ー  作者: 小鳥遊 千夜
第六章 マジック・ウィザード・トーナメント前夜祭――魔導客船テティス編

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第228想 限界突破!

 

 ――仲間達がそれぞれ戦う中、簡易に作られた指令室では

 敵の総帥であるヴォルフと燈也の戦いが始まろうとしていた。


 ブゥゥゥン……

 ヴォルフの高出力エネルギー軍刀を構え

 対する燈也は右腕へ魔力を集中させ、青白い刃を作り上げる。



「行くぞ!」 

「《補助魔法!加速強化(アクセル・ブースト)》!!」

 燈也は魔法で身体能力を上げて、一気にヴォルフの死角へと回り込む。


「そこだ!」

魔断(マギ・ブレイク)!!≫

 魔力刃を横から叩き込む。


 だが、ヴォルフは振り向きもせずに光刃で受け止めた。


 ギギィン!!


「嘘だろ……見もせずに止めるなんて!」

 燈也の目が見開かれる。


「速度は大したものだが、動きが単調だ。」

 ヴォルフが静かに答える。


「次はこちらから行くぞ。」


≪帝国式剣術 鉄血葬送(てっけつそうそう)!!≫

 連続する斬撃が、燈也を逃がさない。


「くッ……っ!」

 燈也が歯を食いしばる。


 ≪魔法障壁展開(プロテクション)!!≫

 障壁を貼って防ぐが刃がぶつかるたび、壁は削られ衝撃が燈也を襲う。


「ぐあっ…!」

 防ぎ切れず衝撃で燈也が吹き飛ばされる。


「この程度か?」

 ヴォルフが静かに告げる。


「まだだ……!」

 燈也は立ち上がり、再び拳に魔力刃を形成する。


「良い闘志だ。」

 ヴォルフは冷静な口調で光刀を構える。


「だが…」


 ブゥゥン……

 軍刀の高出力エネルギーが一段と強まっていく。


「気持ちだけでは、私には届かん!」

 再びヴォルフが踏み込む。


「っ!」

 燈也は咄嗟に身体を引き、魔力刃を盾のように変化させ攻撃を防ごうと構える。


 だが――


「防ぐつもりのようだが、無駄だ。」


≪帝国式剣術 鉄血連斬(てっけつれんざん)!!≫


 ブゥン!!ブゥン!!ブゥゥゥン!!

 光刃の残撃が連なり、燈也の防御を潰していく。


「くそ、このままじゃ……!」

 燈也は≪加速強化(プロテクション)≫を重ね、

 身体を無理やり横へ滑らせ、距離を取ると刃先が頬を掠めた。


「っ……!」

 鋭く、燃えるような痛みが頬に伝わるが、ヴォルフは追撃の手を緩めない。


「防戦一方では勝てんぞ?」


「うるせぇ……!」

 燈也は魔力を両腕へ流し込み、青白い刃が再び膨らむ。


「言われなくても分かってんだよ!」

 右足を踏み込み、真正面から突っ込んだ。


「おらあっ!!」


 ヴォルフの胸元へ、渾身の一閃。

魔断(マギ・ブレイク)!!≫


 しかしヴォルフは光刃を軽く返しただけで、その斬撃を外へ逃がし

 そのまま、高出力エネルギー軍刀が燈也の懐へ滑り込む。


≪帝国式剣術 鋼鉄返し(こうてつがえし)!!≫


「なっ……!…魔法障壁!」

 咄嗟に展開するが、障壁ごと砕かれる。


「ぐああっ!」

 衝撃で壁に叩きつけられ、肺の空気が一気に押し出される。


「くそ。……化け物かよ。」

 燈也の攻撃はヴォルフに完全に読まれている。


「戦場ではそれが普通だ。」


「普通じゃねぇだろ……!」

 燈也が睨み返す。


(…だが、どうする。正面からはまた見切られて終わりだ。…だったら)


≪攪乱魔法 アンチ・ヘイズ!!≫

 燈也の姿が揺らぎ何体者の残像が現れる。


「ほう…残像か。」

 ヴォルフの目が僅かに動いた。


 どれが本物か、普通なら判断に迷う――だが


「――そこか。」

 ヴォルフは残像に見向きもせずに、真っ直ぐ本体へ迫る。


「何故ッ…!?」


「確かに良く出来ている。だが、本物は殺気が違う――

 残像程度で、私の目を欺けると思うな。」


「終わりだ!」

 ヴォルフの刃が迫る。


「……それはこっちの台詞だ!」

 燈也が左手を突き出す。


魔斬(マギ・ブレイク)!!≫

 狙いはヴォルフではなく、ヴォルフの持つ高出力エネルギー軍刀だ。


「何っ……!」

 魔導回路が弾け、ヴォルフの刀身が一瞬だけ揺らいだ隙をついたのだ。

 燈也の魔力刃が振り抜かれ、ヴォルフの肩口から血が飛ぶ。


「……。」

 ヴォルフが自分の肩を見る。


「……浅かったか…だがやっと届いた。」

 燈也の口元が僅かに緩む。


「……初めからこれが狙いだったのか。」

 ヴォルフは傷を確認すると、静かに燈也を見た。


「ああ、アンタ程の相手なら俺の残像は見破られる、

 だからそれを逆手に取らせて貰った。」


「なるほど、大したヤツだ。

 だが、一度見た手は、二度は通じんぞ。」

 ヴォルフが光刃を構え直す。


「ああ……そうだろうな!」

 燈也が構える。


「次は手加減は無しだ。」

 ヴォルフの足が沈む。


≪帝国式剣術 皇狼牙(こうろうが)!!≫


「速――!」

 言葉が最後まで出なかった。


 獣のような鋭い踏み込みで、一瞬で迫るヴォルフ。

 燈也は両腕へ力を込め、魔力刃を盾状に変え斬撃を防ごうとするが、

 ヴォルフは止まらない。


「くっ…まずい。」

 ≪魔法障壁(プロテクション)!!≫

  更にその上から障壁を重ねる。


「――甘い。」


 障壁を滑るように光刃の軌道を変え、ヴォルフが燈也の懐へ潜り込み

 そのまま肩から体当たりを当てる。


「な……!」

 燈也の身体が浮き、背中から床へ叩きつけられた。


「かはっ……!」

 肺から空気が抜け視界が揺れる。


「まだ、やるか?」

 ヴォルフの声。


「……っ。」

 燈也が痛みに耐えながら片膝をつく。


「やるに……決まってんだろ……。」


 爆弾のタイムリミットまで半分を切っている。


 ここでヴォルフに敗れれば、爆弾は解除出来ない。

 ……そうなったら船も仲間も全部終わりだ。

 

 (…時間が無い。

 まだ完全に制御出来てるわけじゃないが、あれを使うしかない。)


「ならば、……立て。それが出来なければこの船も終わりだ。」

 ヴォルフが刀を向ける。


「……分かってる。」

 燈也は拳を握り立ち上がる。


『術式展開――魔力、最大解放ッッ!!!』

 燈也の身体から魔力が溢れ、黒い魔力を纏う。


「なるほど、それが切り札か……その雄姿を称え、私も全力でキミを討たせて貰う。」

 ヴォルフも高出力エネルギー軍刀のリミッターを解放させ構える。


「ああ……来やがれ。」

 燈也も先程よりも更に巨大に強力になった魔力刃を構える。


次回予告 『第229想 決着目前!雪村、最後の一太刀』


 命を燃やし、最後の一太刀を放った雪村。

 鉄景と凛もまた、全力でその刃を迎え撃つ。


 激突の果て、最後まで立っていたのは――。


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