第210想 鋼鉄の拳!三人の共闘
――帝国残党軍の幹部”鬼堂”は燈也達を前に嬉々として首を鳴らす。
「さぁ、どこからでもかかって来い!!」
鬼堂の背後で、肩部のブースターと強化外骨格が唸る。
「一気に攻める!!」
燈也は小さく息を吐き、足元へ魔法陣が展開される。
≪補助魔法加速強化!!≫
淡い光が身体を包み込み、燈也の姿が掻き消えた。
「ほう、そうこなくっちゃな!」
鬼堂は笑う。
≪攪乱魔法 アンチ・ヘイズ!!≫
それに加え残像を展開し、鬼堂の側面を狙う。
「残像か…だが関係ねぇ。全部まとめてぶん殴るだけだ!」
鬼堂が豪快に笑い、巨大な拳が横薙ぎに振るわれる。
ドォォォン!!
衝撃だけで、残像が一気に掻き消えた。
だが――
「本物はこっちだ!」
既に燈也は鬼堂の懐へ潜り込んでいた。
「何だと…!?」
燈也の右腕へ魔力が収束し刃の形を取る。
≪魔斬!!≫
一直線に鬼堂の胸元へ振り下ろされた。
斬れたのは胸そのものではない、
胸部装甲の表面を走っていた魔力駆動の補助回路だった。
鬼堂の装甲の出力が落ちる。
「……っ。」
鬼堂が目を細める。
「今のは、駆動を切ったか……。」
「ああ、魔法じゃなくても、魔力で動く機械なら止められる。」
燈也が言う。
「面白ぇ。だが、止まるのは一瞬だ。」
鬼堂は口元を吊り上げ、左腕が唸る。
前腕部の衝撃杭が展開し、燈也の腹へ突き出された。
燈也は紙一重で躱す。
ドガァン!!
杭は床を穿ち、鋼鉄を容易く砕いた。
「危ねぇ……一発でも食らえば終わりだな。」
燈也が距離を取る。
「なら、俺の出番だ!」
ベルガが前へ飛び出し、黒い魔力が床へ広がる。
『闇よ縛れ。魔神の枷となれ!』
≪悪魔黒鎖!!≫
無数の黒い鎖が鬼堂へ襲い掛かり、拘束する。
「今だ!」
ベルガが叫ぶ。
「分かっていますわ。」
紅音は静かに右手を掲げる。
『焼き尽くせ!紅蓮の炎!』
≪Lv2 中級火魔法 メガ・イグニ!!≫
巨大な火球が一直線に飛び爆炎が鬼堂を包み込んだ。
熱風が通路を駆け抜け、リエラが思わず声を上げる。
「やったわね!あれなら例え幹部でも…」
「いや……まだですわ。」
紅音は首を横へ振る。
「ハハハハハッ!…その通りだ。」
炎の中から笑い声が響く。
鎖が音を立てて千切れ、鬼堂が炎を突き破った。
身体の装甲は赤熱し、肩の放熱板が開き、熱を逃がしながら前へ出てくる。
それでも、その歩みは止まらない。
「中々、良い火力だ!……だが足りねぇ!」
「ちっ…化け物め!……なら、これならどうだ!!」
ベルガが叫ぶ。
「闇よ集え。魔神の刃となり、我が敵を断ち切れ!」
≪魔神影刃!!≫
巨大な影の刃が鬼堂の背中へ叩き込まれる。
ガァァァン!!
鈍い衝撃で鬼堂が前へ数歩よろめいた。
「ふぅ…今のは効いたぜ。」
振り返る鬼堂、その顔には笑みが浮かんでいた。
「だから……礼だ。」
鬼堂が腰のユニットを叩く。
足元のブースターが噴き上がり、衝撃波のような踏み込みが発生する。
「食らいやがれェェ!!!」
ドォォォン!!
床が砕け、ベルガの身体が吹き飛ばされた。
「ぐあっ!」
壁へ叩きつけられ、ベルガが苦しそうに息を吐く。
「ベルガァァ!!」
燈也が駆ける。
「余所見してる暇はねぇぞ?」
鬼堂の拳が今度は燈也へ迫る。
「…まずい!!」
燈也は咄嗟に障壁を展開する。
≪魔法障壁展開!!≫
しかし、バキィィィン!!
「なっ……!」
鬼堂の拳が障壁ごと粉砕し燈也は衝撃で吹き飛ばされる。
「燈也くん!!」
「…ハァハァ。だっ…大丈夫だ。」
床を何度も転がりながら、それでも燈也が立ち上がる。
「…強敵ですわね。私も少し本気でいきますわ。」
紅音が静かに闘志を燃やす。
足元に二重の魔法陣が展開し、
通路の温度が、一気に上昇していく。
「魔法重唱……二重。」
「さっきよりも強力な魔力……それがお前の能力ってわけか……面白い!!」
鬼堂は逃げる様子もなく、真っ向から迎え撃つかのように静かに構える。
「受けて立ってやる!!来い、ガキ共!!」
次回 『第211想 最後の仕事だ』
第二幹部の鬼堂を追い詰めた燈也たち。
だが勝利を確信したその瞬間、鬼堂が最後の切り札を起動する。
迫る大爆発を前に、三人はこの危機を乗り越えられるのか――。




