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Himeyuri ―魔法を嫌う元学園最強の主人公ー  作者: 小鳥遊 千夜
第六章 マジック・ウィザード・トーナメント前夜祭――魔導客船テティス編

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第210想 鋼鉄の拳!三人の共闘

 

 ――帝国残党軍の幹部”鬼堂(きどう)”は燈也達を前に嬉々として首を鳴らす。


「さぁ、どこからでもかかって来い!!」

 鬼堂の背後で、肩部のブースターと強化外骨格が唸る。


「一気に攻める!!」

 燈也は小さく息を吐き、足元へ魔法陣が展開される。


補助魔法加速強化(アクセル・ブースト)!!≫


 淡い光が身体を包み込み、燈也の姿が掻き消えた。


「ほう、そうこなくっちゃな!」

 鬼堂は笑う。


≪攪乱魔法 アンチ・ヘイズ!!≫


 それに加え残像を展開し、鬼堂の側面を狙う。


「残像か…だが関係ねぇ。全部まとめてぶん殴るだけだ!」

 鬼堂が豪快に笑い、巨大な拳が横薙ぎに振るわれる。


 ドォォォン!!


 衝撃だけで、残像が一気に掻き消えた。


 だが――


「本物はこっちだ!」

 既に燈也は鬼堂の懐へ潜り込んでいた。


「何だと…!?」


 燈也の右腕へ魔力が収束し刃の形を取る。


魔斬(マギ・ブレイク)!!≫


 一直線に鬼堂の胸元へ振り下ろされた。


 斬れたのは胸そのものではない、

 胸部装甲の表面を走っていた魔力駆動の補助回路だった。


 鬼堂の装甲の出力が落ちる。


「……っ。」


 鬼堂が目を細める。

「今のは、駆動を切ったか……。」


「ああ、魔法じゃなくても、魔力で動く機械なら止められる。」

 燈也が言う。


「面白ぇ。だが、止まるのは一瞬だ。」

 鬼堂は口元を吊り上げ、左腕が唸る。


 前腕部の衝撃杭が展開し、燈也の腹へ突き出された。


 燈也は紙一重で躱す。


 ドガァン!!


 杭は床を穿(うが)ち、鋼鉄を容易く砕いた。


「危ねぇ……一発でも食らえば終わりだな。」

 燈也が距離を取る。


「なら、俺の出番だ!」

 ベルガが前へ飛び出し、黒い魔力が床へ広がる。


『闇よ縛れ。魔神の枷となれ!』

悪魔(デモン・)黒鎖(ブラックチェイン)!!≫


 無数の黒い鎖が鬼堂へ襲い掛かり、拘束する。


「今だ!」

 ベルガが叫ぶ。


「分かっていますわ。」

 紅音(あかね)は静かに右手を掲げる。


『焼き尽くせ!紅蓮の炎!』

≪Lv2 中級火魔法 メガ・イグニ!!≫


 巨大な火球が一直線に飛び爆炎が鬼堂を包み込んだ。


 熱風が通路を駆け抜け、リエラが思わず声を上げる。

「やったわね!あれなら例え幹部でも…」


「いや……まだですわ。」

 紅音は首を横へ振る。


「ハハハハハッ!…その通りだ。」

 炎の中から笑い声が響く。


 鎖が音を立てて千切れ、鬼堂が炎を突き破った。

 身体の装甲は赤熱し、肩の放熱板が開き、熱を逃がしながら前へ出てくる。


 それでも、その歩みは止まらない。


「中々、良い火力だ!……だが足りねぇ!」


「ちっ…化け物め!……なら、これならどうだ!!」

 ベルガが叫ぶ。


「闇よ集え。魔神の刃となり、我が敵を断ち切れ!」

魔神(ディアブロ・)影刃(シャドウエッジ)!!≫


 巨大な影の刃が鬼堂の背中へ叩き込まれる。


 ガァァァン!!


 鈍い衝撃で鬼堂が前へ数歩よろめいた。


「ふぅ…今のは効いたぜ。」

 振り返る鬼堂、その顔には笑みが浮かんでいた。


「だから……礼だ。」

 鬼堂が腰のユニットを叩く。

 足元のブースターが噴き上がり、衝撃波のような踏み込みが発生する。


「食らいやがれェェ!!!」


 ドォォォン!!

 床が砕け、ベルガの身体が吹き飛ばされた。


「ぐあっ!」

 壁へ叩きつけられ、ベルガが苦しそうに息を吐く。


「ベルガァァ!!」

 燈也が駆ける。


「余所見してる暇はねぇぞ?」

 鬼堂の拳が今度は燈也へ迫る。


「…まずい!!」

 燈也は咄嗟に障壁を展開する。


魔法障壁展開(プロテクション)!!≫


 しかし、バキィィィン!!


「なっ……!」


 鬼堂の拳が障壁ごと粉砕し燈也は衝撃で吹き飛ばされる。


「燈也くん!!」


「…ハァハァ。だっ…大丈夫だ。」

 床を何度も転がりながら、それでも燈也が立ち上がる。


「…強敵ですわね。私も少し本気でいきますわ。」

 紅音が静かに闘志を燃やす。


 足元に二重の魔法陣が展開し、

 通路の温度が、一気に上昇していく。


「魔法重唱……二重。」


「さっきよりも強力な魔力……それがお前の能力ってわけか……面白い!!」

 鬼堂は逃げる様子もなく、真っ向から迎え撃つかのように静かに構える。


「受けて立ってやる!!来い、ガキ共!!」



次回 『第211想 最後の仕事だ』


 第二幹部の鬼堂を追い詰めた燈也たち。

 だが勝利を確信したその瞬間、鬼堂が最後の切り札を起動する。

 迫る大爆発を前に、三人はこの危機を乗り越えられるのか――。

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