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Himeyuri ―魔法を嫌う元学園最強の主人公ー  作者: 小鳥遊 千夜
第六章 マジック・ウィザード・トーナメント前夜祭――魔導客船テティス編

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206/232

第205想 参戦!鳳凰紅音


 ――通路で帝国残党軍幹部の風谷と対峙する燈也(ともや)達。


 ベルガは拳を握り締める。

 その目には、恐れよりも闘志が宿っていた。


「俺はいつか魔王になる男だ。

 ここで逃げ腰になってちゃ話にならねぇ。」


 風谷は肩を揺らして笑う。


「ハハッ、いいじゃねぇか。そういうバカは嫌いじゃねぇ。」

 風谷は肩を揺らして笑う。


「行くぜ!」

 ベルガが床へ手をかざす。


 『逃がさない。闇よ縛れ…!』

悪魔(デモン・)黒鎖(ブラックチェイン)!≫


 黒い影が床を這い、一斉に風谷へ襲い掛かる。


「ハッ!またそれかよ!」

 風谷は壁を蹴り、天井へ飛ぶ。


 だが、影は一本ではなく何本にも分かれ、蛇のように軌道を変えながら追い掛ける。


「おっと!」

 風谷は空中で身体を捻り、手すりへ着地し躱していく。


「逃がすか!」

 ベルガの影が通路を埋め尽くしながら迫るのを

 風谷は笑みを浮かべながら駆け抜ける。


「良い拘束魔法だ!、だが俺を止めるにはまだ足りねぇ!」


 その一瞬だった。


「今だ!」


 燈也が床を蹴り、一直線に風谷へ肉薄する。


「甘いぜ!」


 風谷は拳銃で魔力の刃を受け流し甲高い金属音が響く。


「そんな真正面から――」


 言い掛けた、その時だった。


 燈也がニヤリと笑う。

「そんなのは、分かってたさ……。」


「……?」


 風谷の目が細くなる。


 燈也は風谷の横をすり抜け、そのまま非常用ハッチへ飛び込んだ。


「ベルガ!…皆」


「ああ!」

 ベルガも影を足場にして飛び退き、怜花とリエラも迷わず続く。


 ガシャン!!


 非常用ハッチが閉まる。


「しまっ――!」


 風谷はようやく燈也の狙いを理解した。


「最初から逃走経路を……!ちっ…」


 舌打ちしながら無線を取る。


『おい、第四部隊!非常用通路へ回れ!先回りして――』


 しかし。


『…………』


「……?」


 返事がない。


『おい。どうした、応答しろ。』


『…………』


 風谷の表情から笑みが消えた。

「…どうなっている!?」


 その時だった。


 ドゴォォォォン!!と通路の奥で爆炎が巻き起こり通路に風穴が空いた。


「ぎゃあああっ!!た、隊長!」


「助け……!」


 兵士達の悲鳴が響き渡る。


 炎の中から、一人、また一人と兵士達が吹き飛ばされていく。


「な……。」


 風谷が目を見開く。


 燃え盛る炎を背に、一人の少女がゆっくりと歩いてくる。


 燃えるような赤い髪に揺らめく紅蓮の魔力。


 燈也達もそれに気が付き空いた穴の向こうで小さく息を呑む。


「あれは……”鳳凰紅音(ほうおうあかね)”。」


「ははっ。今度はお前か。」

ベルガも口元を緩めた。


 紅音は二人へ一瞥だけ送り、そのまま風谷を見据える。

「随分と騒がしいと思えば、まだ終わっていなかったようですわね。」


 風谷は少女を見つめる。

 知らない顔…だがその身から溢れる魔力だけで理解した。

(こいつ……強い。しかも、とびきりだ。)


 思わず苦笑が漏れる。


「おいおい…今日は厄日だな。化け物クラスが、また一人増えやがった。」


 紅音は静かに右手を掲げ掌に紅蓮の炎が灯る。


「そこを退きなさい。邪魔よ。」



次回 『第206想 散り際の誇り』

 

 風谷との激戦、ついに決着。

 

 燈也、ベルガ、紅音。

 三人の実力者の連携で遊撃隊長を追い詰める。

 だが、その信念は、最後の一瞬まで揺らがない。


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