第200想 共闘戦線
――豪華客船テティス。
船内上層部の空調ダクト内を、燈也達は敵に見つからないよう慎重に移動していた。
身体の小さなリエラが先行し、燈也と怜花が後に続く。
その時だった、リエラがぴたりと動きを止める。
「……燈也くん」
「どうした?」
「誰かいます」
リエラの声に緊張が混じり、燈也の表情も引き締まる。
「敵ですか……?」
怜花が恐る恐る尋ねる。
「分からない、でも近いわ。」
リエラが周囲を見回す。
次の瞬間、ダクトの奥の影が揺れ生物のように動く。
「――っ」
燈也が身構える。
「おいおい、待てって」
聞き覚えのある声が響いた。
影の中から現れたのは、黒いマントを羽織い角が生えた赤髪の青年、
白虎魔法アカデミーの”ベルガ・ダークネス”だった。
「ベルガか」
燈也が肩の力を抜く。
「なんだよ、その反応」
「いや、生きてたんだなと思ってな。」
「そりゃこっちの台詞だ。まぁ、お前なら何とかしてるとは思ったけどよ」
ベルガが苦笑する。
怜花もほっとしたように息を吐いた。
「よかったです……」
「そっちも無事だったか。」
ベルガは頷く。
そして周囲を確認してから声を落とした。
「時間がない。続きは移動しながら話そうぜ。」
「ああ」
4人は再びダクト内を進み始めた。
少し進んだところで、燈也が口を開く。
「それにしても良く見つからなかったな。」
「俺の魔法は影を操る術だからな。
敵に見つかずに移動するぐらい朝飯前だぜ。だが…」
「……どうした?」
「俺の仲間は皆、捕まっちまった…」
ベルガが悔しそうに拳を握る。
「……場所は分かるか?」
ベルガは頷いた。
「ああ、大ホールだ。人質はそこに集められてる。」
燈也が呟く。
「先生達も?」
「ああ、教師も生徒もまとめて拘束されてて、敵の本体らしき連中が守ってる」
ベルガが答える。
「それじゃあ、直ぐには救助出来ないな。」
「ああ…」
ベルガは苦い顔をしながら、続ける。
「それと敵の目的も聞いた。
連中は人質を利用して各国を揺さぶって戦争を起こしたいらしい」
「戦争を起こすなんて…許せないわ。」
リエラが手を握る。
「本当にです……」
怜花も顔を曇らせた。
「全く…迷惑な話だ。なんとしてでも奴らの目的を潰さねえとな。」
燈也もため息を吐く。
「そこで、本題だ。」
ベルガが真剣な表情で話す。
「俺はさっき敵を追跡してたんだが、通信班のリーダーらしき人物を見つけた。」
「なるほど、指揮系統の中継役か」
燈也も理解する。
「それじゃあ、それを倒せれば…」
リエラが続く。
「ああ。敵の連携が乱れる。少なくとも今よりは動きにくくなるはずだ」
ベルガが即答した。
燈也は少し考える、確かに悪くない。
むしろ現状ではかなり有効な一手だ。
「問題は?」
「護衛が何人かいる。俺一人じゃキツい」
ベルガが肩を竦めた。
「だから…俺と共闘しねぇか?」
ベルガが燈也を見る。
「お前がいれば成功率はぐんと跳ね上がる。」
「買い被りだ」
「いや、お前ならやってくれる、そんな気がするぜ。」
ベルガは笑った。
「……」
「それに…」
ベルガは怜花とリエラを見る。
「そっちも優秀そうだしな。」
「ありがとうございます」
怜花が少し頭を下げる。
「もちろんよ。ワタシは優秀だしね。」
リエラは胸を張った。
「自分で言うなよ…」
燈也が即座に突っ込む。
「事実でしょ?」
「…否定はしねぇけどよ。」
そんな二人の様子に空気が少し和む。
そしてベルガが改めて手を差し出した。
「それじゃあ、しばらくの間よろしく頼むぜ、相棒。」
その言葉に燈也の脳裏にかつての友人の姿が浮かんだ。
(……相棒か。)
「ああ、……よろしくな!」
過去を振り払うように一瞬目を閉じ、強くその手を握る。
こうして、燈也達は心強い仲間を得たのだった。
次回 『第201想 通信室攻略!!共闘の狼煙』
帝国軍残党に占拠された豪華客船テティス。
燈也は白虎魔法アカデミーのエース”ベルガ・ダークネス”と手を組み反撃作戦に挑む。
反撃の鍵は、敵通信室の制圧――
だがそこで待ち受けていたのは、帝国に全てを捧げる屈強なる軍人。
静かなる反撃が、幕を開ける!




