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Himeyuri ―魔法を嫌う元学園最強の主人公ー  作者: 小鳥遊 千夜
第六章 マジック・ウィザード・トーナメント前夜祭――魔導客船テティス編

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第188想 もう一つの四大魔法学校!白虎魔法アカデミー、参上

 

――朱雀魔導学院との邂逅を終えた後、

 郷夜が頭の後ろで手を組む。


「しかし、あんな可愛い子がSランクとはなぁ…」


「世界は広いってことよ。見た目だけで判断しないことね。」

 流水(るみ)が肩を竦める。


「はっ!?ってことは美女でSランクもいるかもしれないってことか!?」


「アンタねぇ……」


 呆れた視線が飛ぶ。


 そんな時だった――何か巨大なものが近くを通った。


「ん?」

 燈也(ともや)が振り向くとそこには、身長二メートル近い大男がいる。


 灰色の肌に巨大な牙、筋肉の塊みたいな体。


「でっか!?すげぇなあの人!」

 郷夜(ごうや)が思わず叫ぶ。


「周りにいる人達も凄そうな人達ばかりですね。」

 怜花(れいか)も驚いたような表情をしている。


 その隣には、翼を持つ女子生徒や角の生えた赤髪の男子生徒などがいた。


「おお?」


 赤髪の男子生徒がこちらを見ると、目を輝かす。


「お前、不知火燈也だよな!?」


「……そうだが?」

 燈也が答えると、少年は満面の笑みを浮かべた。


「会いたかったぜ!!俺はベルガ・ダークネス!!」


 勢いよく親指を立てる。


「白虎魔法アカデミー代表だ!」


「確か、四大魔法学校の……?」

 癒水が反応する。


「おう!去年ベスト4だ!」

 ベルガが豪快に笑う。


「今年は優勝するけどな!!」

 自信満々な表情を浮かべる。

 だが、どこか憎めない。


「ベルガ、…あんまり騒がない」


 ベルガの横から翼の生えた女子生徒が冷たい声をかける。

 ”百井(ももい)もず”――灰色と黒の美しい羽をもつ鳥人だ。


「うるせぇな、もず」


「あんたはいつもそうなんだから。」

 もずがため息を吐き、燈也を見る。


「フーン。この人がSランクの…。飛べない人間にしては強そうね」


「今さらっと失礼なこと言わなかったか?」

 郷夜が反応する。


「事実でしょ。翼が無い時点で不利なんだから」


「うわぁ、こいつ結構辛辣だな」


「こういう性格なんでな。許してやってくれ!」

 ベルガが笑う。


「別に許されるようなことは言ってない」


「もず!?」


 その後ろからおどおどした少女が声を上げる。


「ひっ……」


 同じく白虎魔法アカデミーの代表選手の”ルイン”。

 ハーフエルフらしく長い耳を震わせている。


「に、人間……いっぱい……」


「大丈夫か?」

 燈也が思わず声を掛ける。


「ひゃっ!?」

 ルインが飛び上がる。


「ち、近い……!」

 そしてベルガの後ろへ隠れた。


「なんか嫌われるようなことしたか、俺?」

 燈也が首を傾げる。


「そうじゃない。ただルインは人間が苦手なだけ」

 ルインの代わりにもずが答える。


「そうなのか。」


「昔、いろいろあった…。」


「もず!?」


「あの、言わなくていいです……」

 ルインが涙目になる。


 そこへ、今度は豪快な笑い声が響く。

「パオーン!!お前ら面白いなぁ!」


 先程の巨大な獣人、牙王キバナが地面が揺れそうな勢いで笑う。


「俺は牙王キバナ!よろしくな!」


 握手を求める。


「お、おう」

 燈也も手を出す。


 瞬間、ミシッ。


「ぐっ……!」


「おっと、すまんすまん。力加減が苦手でな」

 キバナが慌てて離した。


「いや、なんつう怪力だよ!?」

 燈也がツッコむ。


 そこに今度は、角を生やした鬼の男子生徒が現れる。


「へぇー。青龍学園って女の子のレベル高いじゃん。」


 最初に見たのは、燈也ではない――流水だった。


「お姉さん、名前は何?」


「は?」


「連絡先交換しない?」


「しないわよ!」


「即答!?傷付くなー」

 男子生徒が大袈裟に胸を押さえる。


「初対面でいきなり何言ってるんですか…」

 リエラが呆れる。


「おっと、そうだった。俺は”鬼塚虎太郎(おにづかこたろう)”!」


 親指を立てる。


「好きなものは、可愛い女の子!」


「最低だな」

 燈也が言う。


「違う違う。美しいものを愛する紳士だよ!」


「お前、分かってる奴だな?」

 郷夜が話題に入る。


「いい女を見つけたら声を掛ける派か!?」


「当たり前だろ!!人生ってのは出会いだからな!」


「分かるぜぇぇ!!オレ様は郷夜。風間郷夜だ。」


「お前とは話が合いそうだ。よろしくな同志よ!」

 そう言って二人が熱い握手を交わす。


 騒がしい光景――だが、不思議と嫌な感じはしなかった。


 そして、ベルガが再び燈也を見る。


「トーナメントで当たったらよ。本気でやろう!」


 ベルガが拳を握り、魔力が微かに漏れる。


「ずっと楽しみにしてたんだ。Sランクと戦うの」


 その言葉に嘘は無い――勝ちたい、強くなりたい。


 ただそれだけの純粋な闘志。


 燈也は少し笑う。


「ああ、望むところだ」


「おう!!約束だぜ!!」


 ベルガが笑い拳を突き出す。


 燈也も苦笑しながら拳を合わせた。



「ベルガ、…嬉しそう」

 もずが小さく呟く。


「当たり前だろ!強い奴と戦えるんだぜ!」


「ほんと……馬鹿なんだから。」

 その笑顔を見て、もずは小さく視線を逸らし、

 誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた。



次回 『第189想 王者、玄武魔法館!』


 四大魔法学校最後の一角。

 昨年度王者にして大会最多優勝校――”玄武魔法館”。


 燈也の前に現れたのは、かつて競い合った宿敵――黒鉄鉄景。


「俺はあの日、お前に勝てなかった」


「だから今度こそ決着をつける」


 王者の誇りと最強の称号、それぞれの想いが交差する。

 

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