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労働の話④

 僕の生活は完結した。

 毎日が同じ生活なのだ。

 まだ夜のうちに目を覚まし、工房をリズと一緒に掃除。

 朝食を作って、食べる。

 工房でリズを手伝いながらハンマーを作る。

 昼食を作って、食べる。

 昼寝。

 工房でリズを手伝いながらハンマーを作る。

 夕食を作って、食べる。

 寝る。


 合間に洗濯などの家事や、お風呂が入ったりするが、時々だ。基本的にはこの形で、完成している。平日や休日の概念はない。毎日毎日、ひたすら同じリズムで回り続ける。ぐるぐるぐるぐる……。


 そんな生活を何週間も続ける羽目になった。我ながらよく耐えたものだと思う。なんせ、いきなり、望みもしないのに放り込まれたわけだから。訳も分からず仕事をしていたけれど、ある日僕は思い出した。


 僕には使命がある。シャルロット様に幸福な結末をもたらす、という崇高な使命だ。そのためにはとにもかくにも力が必要だ。なんせシャルロット様は勇者と敵対するのだ。そうならないように全力は尽くすが、最悪の場合、勇者と戦う可能性はある。そのとき勇者を返り討ちに……するのは無理でも、時間稼ぎしたり、シャルロット様を強制的に離脱させるだけの能力とかは欲しい。そのためにはやはり魔術の修行をしたい。


 こんなところで油を売っている暇はないんだ。


 ここでの生活にも慣れた。そろそろ二人も、僕が大人しい子供だと油断する頃だろう。

 そろそろ脱出するための作戦を立てよう。これ以上ここにいたら、心身ともに疲弊していくばかりだ。





 ***





 この家を脱出する。

 そう決意したのはいいが、問題は一向に片付いていない。

 僕の首輪が外れていないのだ。これでは「帰り道がわからない」呪いのせいで、帰ることなどできはしない。


 まずは首輪をどうにかしなければならないが……。いきなり難問というか、ぶっちゃけ問題はこれだけだ。これさえどうにかなれば帰れる。他に問題はない。

 ざっと思いつく解決法を並べてみる。


 ①首輪の呪いは真実ではない。案外帰っているうちに思い出せたりするかもしれない。

 ②ダヴィを信頼させて、首輪を外してもらう。

 ③リズを懐柔して、首輪を外してもらう。

 ④自力で首輪を外す。


 こんなところだろうか。ひどいものだ。

 どれもこれも解決策とは言えない。①は完全に博打だし、②③は時間がかかり過ぎるし、④は現実的ではない、というか、何の糸口も見えていない。

 脱出すると決意した以上、なにかアクションは起こしたい……。起こしたいが、どうにもならない、という気になってくるな。


 うーん……。


 そう考えて首輪にふれた。首輪は触れられる。「外そう」と思うと触れることはできないが、ただ触るだけならできると後でわかった。おそらく、「外そう」とする意思に反応しているのだろう。もちろん、触れてから外そうとしたり壊そうとすると、手が離れてしまうわけだが。

 ともかく、首輪に触れたところ、なにやら穴のようなものがあることに気づいた。


「……」


 僕は数分かけて仮想物体イマジナリーの鏡を生成し、窓際に移動した。月明かりが出ているから、少し明るい。

 鏡に映った首輪には、たしかに穴があった。

 鍵穴だ。


 鍵。鍵か。

 鍵なら、どうにかなるかもしれない。


 外そうという意志をもって首輪に触れられないため、上手くいくかはわからないが、ただの④に比べればずっとマシだ。

 さて、次の問題は鍵を「探す」か「作る」かだけど……。ひとまず探すか。鍵の仕組みについては僕はあまり詳しくない。一般的に鍵がどういうメカニズムで開けたり閉めたりしているかとか、そう言ったことに対して漠然とした知識しかない。いくつか方式があるということを知っている程度だ。

 そんな知識でテキトーに鍵なんか作ったら、最悪鍵穴を壊しかねない。そうなれば万事休すだ。ダヴィにすら外せなくなる恐れもある。まあ、最後の手段だろう。


 よし。

 鍵を探そう。

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