↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕はあなたをハッピーエンドへ連れていく  作者: 甲斐柄ほたて
ホィールオブフォーチューンの崩壊
271/275

反響する真実、7

 マリーナに憑依したミカエルは、僕に近づいてくると手をかざした。さっきまで僕の転移魔術を阻んでいた透明な壁のあったあたりだ。

 壊すつもりだろうか。


「貴様は転移魔術の使い手だそうだから、逃げられぬよう、虜(とりこ)にしてやろう」


 ハッとして逃げようとしたが、遅かった。また転移を妨げられた。

 ミカエルの触れた壁は、変形し、今度は僕を囲んだようだった。

 防壁(ガード)は作成した本人か、操り方を聞いたものなら動かすことができる。この壁も、防壁の一種ということだ。


 背後の壁を叩いた。やはり、ぶ厚い。僕は単純な力押しの魔術はあまり持っていない。転移魔術だったり、重力魔術だったり、相手の虚を突くような小手先のものばかりだ。火力という意味では紫電剣(ミョルニル)があるけれど、あれは電気なのでこういう物理的な壁にはあまり役立たない。

 魔力を大量に消費して壁をぶち抜く単純な魔術を使ってみるか……?


「あきらめた方がいい」


 ミカエルは壁を『すり抜けて』中に入ってきた。

 一応、抜け道はあるわけか。だけど、僕は高次元空間を知覚できる『目』は習得していない。戦いながら抜け道を探すのは無理だ。


「この壁は私の作ったものだ。貴様がどんな魔術を用いようとも、簡単には壊せない」


「簡単にって、どのくらい?」


「ううむ、人間にもわかる尺度で言えば……、レベル7か8相当の強度、といえば伝わるか? その程度の魔物を閉じこめることができる」


 ダメだ。どう考えても無理だ。それはたぶんミョルニルでも破壊できない強度だ。

 相手が人間なら、ハッタリという可能性もあるが、あいにくとこいつは天使だ。嘘はつかない。

 いや、ちょっと待て。


「そもそも、お前、誰だよ?」


「む? 天使ミカエルだ。名乗ったはずだが」


「違う。そういうことじゃなく……、僕の知っているキャラクターにお前たちはいなかったぞ。何者なんだよ」


「私たちは『追加キャラクター』だ」ミカエルは無表情でそう言った。

「フォルトゥーナ様がそうおっしゃった。『私が作ったゲームではないが』ともおっしゃっていたな。意味は知らん」


「なんだよ、それ」


「お前が『キャラクター』だの言いだしたら、こう言えと言われていたのだ」


 そうか。フォルトゥーナはゲームのことを知っているのか。やっぱり僕のことは完全にばれてるっぽいな。


 この天使に勝つこと自体は難しくない。逃げるのも、可能だろう。暁の聖剣《ザ・ソード・オブ・シャイン》を使えばいい。

 だが、僕はこいつ相手には聖剣を使わないつもりだ。理由は二つある。一つは魔力を消費しすぎるから。こいつは倒せても、その後がどうしようもなくなる。ビスキュイ殿下は僕を殺すつもりだ。だからこそのこいつなのだろう。僕に聖剣をつかわせて魔力切れになるのを期待しているのだ。そうはさせない。

 もう一つは、シャルロット様に聖剣を使っているところを見られたくないからだ。


 とはいえ、この局面は厳しい。

 どうやって、乗り切るか……。


 防壁がミシミシときしむ音がした。

 ミカエルがぎょっとした表情を浮かべている。

 それだけで僕には何が起きているか、だいたい察しがついた。

 直後、「バリン!」と大きな音がした。防壁が崩壊したのだ。


「手強そうな相手ね。助けが欲しいんじゃない?」


 僕の背後からシャルロット様の声が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。