色褪せた世界、6
その後、ベルさんと会って話したのだが、その時の会話はあまり記憶にない。ベルさんとは病状のことは話さなかった。医者によると本人への告知はまだらしい。シャルロット様はひとまず告知を保留にするよう指示していた。
「それで……」病院からの帰り道、シャルロット様は探るような口調でいった。「どうやってベルを助けるの?」
「……【未踏の紅】を攻略します」
「えっ? なんて?」
「スカーレットです。北の果てにある、未踏破のダンジョン」
「それは知ってるわよ。なぜ、スカーレットなの?」
「秘密です」
「出た」シャルロット様がからかうような口調でいった。
「なんですか?」僕がみると、シャルロット様はぷいと顔をそむけた。
「なんでもないわ。さすが秘密主義者って思っただけよ」
「なんでもなくないじゃないですか」
「可能なの?」
シャルロット様はよくみると心配そうな表情をうかべていた。
「さっき命に代えても、っていってたけど、本気じゃないわよね? 死ぬつもりはないわよね?」
「本気ですが、死ぬつもりはないです」
「私、そんなところで死なない自信ないんだけど」
「……ん?」
驚いて、シャルロット様の顔をみると、不安そうな表情を浮かべていた。
ひょっとして、一緒に行くつもりなのか。
たしかにシャルロット様ならそう思うかもしれないが、すっぽり想定から抜け落ちていた。僕はあわてて手をぶんぶんと振った。
「い、いいえ! ダメです! シャルロット様はついて来ちゃ、ダメです。ベルさんのそばにいてください」
「でも、一人では、ダンジョンは厳しいでしょ。いくらあなたでも……」
「いえ。一人で行くつもりはありません。未踏破のダンジョンですから、それなりのメンバーでいくつもりです」
「え、それって、まさか……」シャルロット様は眉をひそめた。
「はい」僕は笑った。「レオンハルトたちと一緒にいこうと思ってます!」
「ああ……!」シャルロット様はうめいて、空を見上げた。「それは、レオたち、ご愁傷様ね……」
「どういう意味ですか?」




