パーティー⑤
結局、ショコラは不敵な笑みを浮かべて手紙を持っていってしまった。まあいいか。当初の予定通りではあったし。でも、ちくしょう、失敗作とはなんだ。
僕はふて寝した。
そうして、ミント伯主催のパーティーが開かれるまで、僕はビスキュイ殿下の屋敷から出ずに過ごした。そう言えば、僕の立場ってなんなんだろう。執事だったのではないか。だったらどうしてショコラがご飯を運んできてくれるんだろう。なぜ僕はこうしてぐうたらしているんだろう。
……とは思ったが、気づかないふりでぐうたらしていた。気づかない方が、ぐうたらできて都合がよかったからだ。
このパーティーには、トアン卿とミント伯が出席する。ビスキュイ殿下はその場で、トアン卿の犯した罪を糾弾して、二度と貴族社会に返り咲けないよう叩き潰すつもりだ。
具体的にはどんな風にするつもりなんだろう。僕はそこら辺の計画については一切何も聞いていない。
パーティーには、トアン卿という黒幕と、その悪行の数々につきあわされていたミント伯がいるわけだから、なんとなく上手くいきそうな気はしていたけど、少し考えてみたらミント伯が公衆の面前で自らの罪も含めて白状するとは思えない。どうするつもりなのだろう。パーティーの直前にあの剣でまた刺して命令するつもりだろうか。
さすがに同じ手は二度は食わないと思うんだけど……。それとも他にまだ奥の手のようなものがあるということだろうか。腕輪にしろ、魔剣にしろ、ずいぶんとすごいアイテムの数々だ。まだあるかもしれない。
それとも、別の証人や証拠をつかんでいて、トアン卿が公に姿を現す瞬間を待っているのか。
……考えすぎか? ミント伯はどのみち死ぬのだからやぶれかぶれで自白するよう強要するつもりだろうか。結局これが一番しっくりくるような気はする。するのだが……どうも納得まではできない。要するにミント伯に任せるということじゃないか。自殺を強要して、自滅覚悟で証言させるなんて、なんというか結果が予測できなさすぎる。やぶれかぶれで、ビスキュイ殿下が黒幕だ、とかあることないこと言い出しやしないだろうか。
そんな自暴自棄にすぎる行動には出ないだろうが、しかし……。
そんな風なことを考えているうち、ついにパーティーの当日を迎えてしまったのだ。




