まさかのまさか
「初めまして。けやき坂女学院から来ました、エリシアと申します。よろしくお願いし
ます。」
教卓の前に立ち自己紹介をする。
そうだよな。そうだよな。どう見ても、エリシアだ。ばれないようにした。顔を隠すが
不可能だった……先生の一言で。
「あそこの空いている席に座ってくれ」
「はい」
ばか、ばか、ばか。先生のば――――か。この学校は二つの席を合わせる珍しい形だ。
話してて気づかなかったが、一番後ろの俺は席が一つだったのに、今日は2つある。お
願いだから余計なことしないでくれよ。
「お願いします。」
ごく普通に挨拶してくる。返事はしない。
「大丈夫ですか、具合でも悪いんですか? せんせー」
「なんだいもん?」
先生のギャグにクラスの大半が笑にはしる。その調子。
*ここで学ぼう! 黙る、時には逆効果だぞ、俺!
「この子大丈夫ですか!」
言ったそばから。先生もまじめに受け取るんじゃねえぞ。俺が、具合悪くしたことある
か? それも無駄か。
「大丈夫なはずんだもち……。おい、快斗。大丈夫か? 助け――」
その言葉を遮り
「快斗君――? 快斗君なんだよね。そうだよね?」
あーぁ。最悪の事態が起きちゃった。顔があった瞬間抱き付いてきたのだ。体にやわら
かいものが二つ当たる。もちろん周りから、迷惑な目線が飛んでくる。
「エリシア、周りを見ろ」
「なになにぃ?」
キャラ崩壊? エリシアこそ大丈夫かよ。
「エリシアさん」
先生の一言でやっと抱き付くのをやめ静かになり補習が始まった。めんどくさい2時間
が始まる。この学校は現役進学率99.9パーセントの超進学校だ。そのうち40パー
セントは国立大学へ! 素晴らしすぎる大学である。でも、俺にとっちゃ補習なんて必
要ない。なんせ、総合成績学年2位だから。1位は同じクラスの奴だ。成績での俺の勝
率は0.2ぐらいだ。それはいいけど……ちょっかい出してくるエリシア。
「聞かなくていいのか?」
「心配ご無用だよ」
なんて言う。けやき坂女学院の生徒とゆう時点もですごいが、超進学校のこの学校は小
学校からのエスカレーター式だ。そこの高等部に転向できてしまうなんてすごいのか…
…。
俺は集中する必要もあまりないし、そもそも集中できるはずもなかった。彼女が隣にい
るのだから。今はこの進学校ですら。いや、進学校だからか補習なんて名前だけ。ほぼ
強制だ。そのおかげで退屈せずに済んだが。
キーンコーンカーンコーン――――キン――――――ン。定番のチャイムで補習も終
わった。
「次のテストは来週の金曜だぞ。頑張れよー」
誰も聞いてないが先生がそんなことをゆっていた。
*矛盾してるぞ! 誰も聞いて無くないだろ。聞いてる人がいるだろ……それも、俺。
この学校の夏休みは1ヶ月ちょっとぐらい。その代り2週目にテストがある。それが終
われば自由だが。
今にも絡まれそうなところを、俺はエリシアの手を引き急いで教室を出た。絡むのは今
度にしてくれ! 友よぉ~、すまん。
「て……手、急にどうしたの?」
「エリシア。ここから家まではどれぐらいだ?」
「10分くらいかな?」
時間的には俺と同じぐらいか。それぐらいなら反対方向でも送って行ってあげられるし、
せっかくなら
「うちに寄ってけよ。今後、現実でどうするか決めないとだしな」
「いいの! やったぁ…………」
んっ……? なんで黙ったんだ。俺、悪いこと言った? 怒らせた――
「無視すんなぁァアアアアア」
幸い周りに人が居なくてよかったが、俺が質問に答えなかったことを気にしていた?
みたいだ。時々、キャラホ(キャラ崩壊 略してキャラホ)するエリシアを俺のうちに
呼ぶことにした。
「お邪魔しま~す。綺麗だね」
「片づけは大事だぞ」
・家の黒歴史
俺が10歳の時。割と物が散らかっていた。野球を好きだった俺は素振りをしようとし
た。別に野球をやりたいとは思わないけど。
「おとーさん。素振りしたいからサウンドバック借りるね!」
「おう!」
いまどき新聞とゆうものがはやり懐かしいとお父さんも読んでいる。
家には25メートルプール位の中庭がある。そこの一角にはストレス発散などの目的に
サウンドバックがある。それをよく打っているのだ。今日も硬式用木製バットを倉庫か
ら出し素振りをする。
「パキーン」
「……んっ? なんか音した?」
独り言は気のせいか。もう一度
「パキーン」
うん! 気のせいみたいじゃないようだ。下の方を打つと明らかに戸がした。何だろう?
好奇心の俺が立ってると
「快、どうかした?」
「おかあさ~ん。このサウンドバックから変な音がするよぉ~」
「なんだろなぁ。確かめてみるね」
目の前で、つるしてあるサウンドバック(重さ100キログラム)を軽々と持ち上げ確
認し始める、と。
「快~。もう……」
「おとーさん。どうしたの?」
顔色がおかしかったのだ。
反対側にはお母さんも
数日後……
「おかあさ~ん。この前の何だったの?」
「お父さんが隠してたんだよ」
「なにが~?」
「近いうちに快も分かると思うよ」
子供の俺には言えない「あれ」を部屋のあちこちに隠していたようだ。それで、今後隠
しても異変に気付けるようにって家の中は綺麗にするようになった。
ぐぅうう。俺の腹が無く。時刻はすでに12時30分を過ぎている。
「食事ってどうするの?」
「家に帰ってから食べるかな……お腹すいてないし」
「よかったら食ってかないか」
「じゃ! 遠慮なく」
エリシアの両親はどちらもなかなか家に快ら内装で連絡もいらないみたいだ。自分の部
屋に上げ私服に着替えた。
「制服志和つくし着替えろよ。ほら」
「変趣味?」
「いや」
勿論すぎるのできっぱり断る。渡したのは妹用に「ウニクロ」で買ったルームウェアー
だ。上下グレーの地味な奴だ。
見てわかる、定番の奴やん。
ってところだ。でも、エリシアは嬉しいみたいだ。
「ありがとね。お昼は買に行くの?」
「そうだなぁ~。ちょっと待っててくれ」




