初の試練に向けて
心地よい風が吹く中辿り着いたテヘランは、灰色の建物や高層物が並び、市内地にはカ
ジノと思われる建物。まるで「百万ドルの夜景」のようだ。もしかしたら、再現されて
いるのではと思ってしまうほど美しい。
でも、アルティ地区と違うのは、周りにエメラルドの海があり、カジノを守るかのよ
うに巨大な門があり、門より内側で転移魔法が使えない様になっていて、見回りの兵士
が今は衰弱した様子で歩いているところだ。
俺たちは、門を潜り街に入っていく。
前には綺麗な景色、後ろからは爽やかな風が吹き人々を迎えている。
周りを見るからに数日、ろくな食事もしていないように見える。すこしあるくと、正面
には町と違って、一際大きく真っ白な王宮らしき建物がある。夜にもかかわらず、町の
夜景と海の底に沈む〈緑光石〉で海までライトアップされているかの様だ。
「……ん。綺麗な都」
「そうだな」
思わずエリシアの口から感想が漏れた。俺も同感だった。フォードは「この国の自慢の
1つでもあるからな」なんて呟いているが、この景色はほんとに素晴らしい。
「だが、活気がないな。」
俺の言葉で現実に戻ってくる2人。普段は、観光、カジノで大盛況なはずなのだが……
今は、部屋でゆっくりしているのか住人の人があまり見られない。まるで、水を打った
かのように静まり返っている。
「父上!」
「救難信号の件については心配かけたな……。心配するな」
「今回もまた駄目だったのですか?」
「ああ、でも大丈夫だよ。心配ない」
どうゆうことですか? と、子供なのにしっかりした子供が見つめてる
フォードのよって、彼の奥さんにも紹介された。救難信号が出て探していたら、その信
号は宙に浮いている(飛行機に乗っていた)ままここにきて、目の前にさっと洗われて
びっくりしているのか。先入観だな。
ここは国の玄関。どうやらみんなでお迎えに来たところなのだろう。俺たちはホールへ
と通された。
俺は一連の事を説明して、国に全員の食事を作り始めた。食事と言っても料理は多国
籍文化の国にとっては危険なのでオーソドックスにパンにした。執事たちが手で何往
復もして材料をもって来る。その間、巨大なボールと混ぜる機械を作る。機械に材料を
入れたのと同じぐらいのタイミングで、材料を混ぜたパン生地がまん丸で出てくる。そ
れをどんどん広げ、エリシアが炎属性の魔法で焼いていく。職人以上だ。そのため数分
で終わってしまった。
俺たちが集会室に向かう中、使いの人たちやメイドは国中にパンを配るために準備している。
集会室は意外と質素なところで、教会のようなステンドグラスの光が差すきれいな部屋
だ。物は、椅子、机、ドリンクコーナースペースぐらいしかない。
デカいテーブルの端に5人が座ってる。俺たちに関係ないが端にも数人いる。
「貴殿らにはどれだけの礼をすれば良いか。一生持っても返しきれない」
「私からもお礼を」「僕からも」
残りの二人は息子の「ブノン」と奥さんの「ミライ」である。
「そんなことは心配するな。取りあえず、滞在費を肩代わりしてくれるだけでよい」
「それだけでは返しきれん。本当にどうすれば……。 そういえば、快斗様。お金の方
も問題ないと言っておられましたが……。国の総ポイントは総資産で払える方などおら
れませんが」
「俺らがここに来たのは観光でも商売でもない。試練に来たのだ。仕事が一つ増えるぐ
らい、今更問題でもない」
フォードも家族も、そこにいる他のものまでが「ポカンと……」と口が開いている。ま
だ、1度も言ってなかったんだっけ?
まさか、試練をけるものが出てくるなんて思っているはずもない。かつて存在した勇者
様でする、話によると「適合者」を与えてもらえず終わったのだから。実は、この国の
国王達はゲーム側の「超高性能AI」なのだ。AIだが、人間の脳波をデータ化してい
るため「感情」を普通に持っている。この国で2000年は、プレイヤーにとって短い
ものである。=国王達はそんな短い期間で「消滅」しなければならない。
その時は人間と同じく、多大な「感情」を持つ。とても辛く、悲しく……。それが今、
目の前の勇者によって、何億年ぶりに神に対抗し、この世界に希望を与える者が現れた
のだ。
「遂に現れたんだな……。」
「あなた」「国王様、時は来たのですね」
そんな声も聞こえてくる。
「詳しく説明するとしよう」
「お願いします」
それは俺たちが知らないことだった。
4つの試練中に8つの試練があった。それは全て受けるのではなく、1つ受ければよい
そうだ。ただ受けるだけでなく、脱出するだけでなく「適合者」の証をもらわなければ
ならない。その条件は分からない。全て受けなければならない思っていたから、気は楽
になった。でも、これを受けれるチャンスは1回。失敗すれば、希望に溢れたこの世界
も、また……。
この先は言わなくてもわかるだろう。
「どの国の王室にもこれだけの情報しか与えられていない。大変申し訳ないがそれだけ
しか伝えられない。」
「感謝するよ。滞在中の部屋は王室が開いてないか? 2部屋。」
すぐメイドに確認を取らせ、返ってきた答えは「来客用のダブルベットのお部屋がおひ
とつしか空いておりません……」だった。今は、この国で国王会が開かれていて部屋が
空いていないのだという。流石に精神的な面で、二人で一緒にはねれない。
…………シャイニングハート。
俺が床で寝て、エリシアにベットで寝てもらえばよいか……?
「あのぅ。フォードさん。別にその部屋でいいですよ。二人で寝ますので。」
「よろしいのですか! すぐ手配させます。」
ずっとエリシアが静かにしていたと思ったら、急にそんなことを言い出した。
周りの者が「そのようなご関係なのでしたか!」「よい旦那様ですね」なんて目で見てく
る。男達なんか「同性同士その気持ちわかるぞ」「遣るのですか……」そんな、有り難く
ない勘違いをしてくれている。
いいか、俺は「童貞」「彼女いた歴なし」の二つ名持ちだぞ。そんな場面、精神崩壊する
ぞって……。もう遅いみたいだ。心は顔に現れる。
「快斗君。顔赤くなってるよ。今日は一緒に寝ようね」
「う、うん」
「可愛い」
馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿…………。返事までしちゃったよ。女子ってみんなずるい! な
に? 可愛く接すれば男を簡単に落として。
しかも、かわいいって最悪。断るにも断りずらいし。でも、異性「美女と一緒に寝たい
よね?」っていうし。こうなったら、正直に告白すべきだよな。
「エリシア。あの」
「準備が出来ましたよ。ご案内します」
あーぁ。結局伝えることはできなかった。
案内された部屋は王宮の寝室は、教室位の広さがあり内装が豪華だ。お風呂とトイレは、
日本式のようだ。問題のベットも普通のシングルベットの3倍はある。一緒に寝れるか
な? エリシアの事も気になり、気が変わり始めていた。
「エリシア、ベットどうする?」
「う~ん。一緒じゃ嫌だ? 私は寂しいから一緒に寝たいいんだけど。」
結局、エリシアが「寂しい」って言ったから許可したって嘘ついたけど、すぐに「快斗
君は分かりやすいんだから」って、バレバレだった。
明日には「適合者」の資格をかけて、試練に挑む。体を休めるためにも、風呂に入り、
ベットに入った。
「――お風――あ―いい匂い――だな……」
「ふぇ。快斗君、口に出てるよ」
何もなかったかのように静かにしていた。でも、エリシアがこっちを向いて手を握って
きて体も動かせなかった。優しくて、甘い香りに、目の前には美少女。すでに、顔も真
っ赤になっていた。少し大人になったけど、二つ名が無くなることはなかった。
*SISUKON 最高~~、俺。
夜は、ほんのひと会話だけ。
「「おやすみ」」
「二人方おはようございます」
「「おはようございます。」」
朝飯は、「国王だけが美味しいものを食べている訳にいかない」という、国王の意見を尊
重し、俺達も質素なものにしてもらった。食事も済ませれば、いよいよ「試練」の為に
出発である。
この国に属するのは【エイルン】と【デュアル】の二つだ。【デュアル】はここから数
日の水上地帯にあり、エイルンよりは楽と言われいてる。エイルンは、ここから数時間
の砂漠地帯にあり、難しめではある。でもその前に、「適合者」の試練も受けなければな
らないのかぁ……。先は長い。
*そんなところで溜息ついてどうするんだよ。自信を持てよ、俺。
「どうする?」
「私は、試練をクリアしたいから……。能力上げと実力試しも考えてエイルンがいいか
な? 快斗君は。」
「同じだ」
とゆうことで、早速向かうことになった。この試練では何が「条件」となるかがわから
ない。二人の、あくまでも憶測だが「連携を取りクリアする」なのではないかと思う。
それなら、時の勇者が与えられなかった理由も説明できるし、「強敵には連携を」何てい
う言葉も納得できる。どちらにしても、体が、引き締まる……。
「お二人方。どうか、よろしくお願い致します。」
「大丈夫だ。心配なんていらない」
「大丈夫ですよ。フォードさん。」
俺達が返事する中、この試練をクリアしなければいけないもう一つの理由をおもい出す。




