第63話:七日間の訓練
◇◇◇
#1 机の前に到着
ノアから「残り数時間」と告げられ、絶望的なタイムリミットを突きつけられた直後、三人はノアの領域転移によって蒼真う
の部屋に移動してきた。
蒼真:
「なぁノア、なんで急に俺の部屋?」
ノアは机の引き出しを指さし、真剣な表情で言う。
ノア:
「蒼真さん、引き出しゲートを使います。
向こうの世界は時間の流れが違います。
現代の数時間で“七日間の訓練”が可能です」
蒼真:
「いや、いろんなアニメから設定引っ張ってくんなよっ!!」
ノアは引き出しを開ける。
ガラッ。
金属が擦れる鈍い音に続き、銀紫の粒子が渦巻き、異世界へ続く穴が現れる。
永瑠:
「机から異世界行くって……シュール過ぎるわ……」
蒼真:
「この物語のジャンル何だよ!」
ノア:
「シリアス、サスペンス、コメディ全部盛りです。では行きましょう!」
◇◇◇
#2 引き出しダイブ → ノアの世界・お城倉庫
三人は光の渦へ引き込まれ、
次の瞬間、石造りの巨大な“プリン倉庫ホール”に着地した。
蒼真:
「……相変わらずここ広いな。
机の引き出しの先がこれってどういう理屈なんだよ」
ノア:
「魂リンクと異世界プリン倉庫の“信頼同期”です!」
永瑠:
「その説明、一度も理解できた試しがないわ」
ノアは倉庫の扉を開き、街へ続く廊下へ歩き出す。
ノア:
「ではまず、“冒険者ギルド”へ向かいます!」
蒼真:
「なんで訓練じゃなくてギルド!?」
ノア:
「訓練施設を使うには、ステータスカードが必要です!」
蒼真:
「出たよ!異世界テンプレ!!」
永瑠:
「文句言ってるけど楽しそうよ?」
◇◇◇
#3 冒険者ギルド到着
街へ出ると、懐かしい空気と活気が広がっていた。
ギルドの扉を開けると、カウンターの人物が顔を上げ、
その表情が一瞬で固まった。
冒険者ギルド長。
レイ・ハルド。
レイ:
「…………は?
蒼真、お前帰ったんじゃなかったのか?」
蒼真:
「いや俺もそう思ってたんだけど……
引き出しから戻ってきた」
レイ:
「いや説明になってねぇよ!!」
ノアは前に出て手を挙げる。
ノア:
「レイさん!蒼真さんの冒険者登録をお願いします!」
レイ:
「お前ら相変わらず情報量が暴力だな……」
◇◇◇
#4 レイの告げる“ルシェル”の正体
レイは書類を机に置き、真剣な表情で蒼真を見た。
レイ:
「……で。さっき聞こえたが、そっちの世界に“ルシェル”が現れたんだな?」
蒼真:
「知ってるんですか?」
レイは小さく息を吐き、目を伏せる。
レイ:
「ああ……昔、色々あってな。
アイツは、“ヴァンパイア”と“聖女”の再生の力から生まれた存在だ」
永瑠がピタリと動きを止めた。
レイ
「本来なら生まれるはずのない存在だ」
「ヴァンパイアと、 聖女の再生が融合してしまった結果生まれた異常種――」
「それがネオヴァンパイアだ」
蒼真:
「……ネオヴァンパイア……」
レイ:
「ああ。分類名は“ネオヴァンパイア”。
普通のヴァンパイアって言やぁ、日光に当たると灰になるが、アイツにはそれが無い。
魔法に強く、肉体は再生し、心までも“固定化”されている厄介な種族だ」
蒼真:
「固定化?」
レイ:
「感情のブレが少ない。
判断も狂わない。
一度決めた“正義”は揺らがない。
……つまり、最悪の敵だ」
永瑠は唇をかみ、その瞳に影を落とす。
永瑠:
「……私を殺すって……本気なんだね」
レイ:
「アイツは“使命”に忠実だ。
永瑠が“不死であること”を止めなきゃならないと決めたなら、
必ず来る。ぜったいにだ」
蒼真は拳を強く握った。
蒼真:
「……だからこそ、七日間で強くなる。
ここで諦めてたまるかよ」
レイは蒼真を見て、小さく笑った。
レイ:
「……いい目してんな。
登録はすぐ終わる。行ってこい、蒼真」
ノア:
「はい!七日間の修羅訓練、始めましょう!」
蒼真:
「よし……やるしかねぇな」
こうして――
蒼真の異世界訓練編が始まる。




