第61話:父の宣告と絶望の記憶
◇◇◇
#1 父の冷酷な目的
ルシェル
「終わらない命ほど、残酷な刑罰はない。
魂が輪廻へ帰れず、時間だけを失っていく……君の母も、それを悔いた」
蒼真(心の声):
「(ルシェルも、那美さんも……永瑠を“殺すこと”が救いだと思ってる……?)」
ルシェル
「私の手で、君に“安息”を与える。」
永瑠は、その言葉を理解した。
“父の手によって殺される”という未来を。
永瑠
「ふざけないで……!」
◇◇◇
#2 圧倒的な力の証明
蒼真は即座に叫ぶ。
蒼真
「ノア!永瑠を下がらせろ!」
蒼真は刀《焔生》を抜き放ち、瞬間加速でルシェルへ。
蒼真
「っ……!」
未来予測が示す、ただ一つの隙へ。
だが――
ルシェルはまったく動いていない。
刀が届く直前、彼は首を“ほんの少し傾けただけ”。
ルシェル
「遅い」
カンッ――!
指一本で刀を弾かれた衝撃で、蒼真は十数メートル吹き飛んだ。
蒼真
「ぐっ……!」
ルシェル
「少年。永瑠の終わりを邪魔するな」
◇◇◇
#3 永瑠の暴走とノアの決断
父の殺意。
“死ぬべき存在”という宣告。
永瑠の魂が軋む。
永瑠
「嫌……だ……!」
黒い魔力が暴走し、背中に漆黒の翼を展開。
瞳が血のような赤に染まる。
ノア
「永瑠の魔力、制御不能!
空間が崩壊します、このままでは――!」
蒼真は永瑠へ飛び込もうとするが間に合わない。
ノアの目が、状況の全てを観測した。
ノア
「……これしか、ない」
白銀の杖を掲げる。
◇◇◇
#4 強制的な撤退
ノア
「《空間魔法》――領域転移!!」
空間がガラスのように歪む。
音が消え、すべてが光に吸い込まれる。
ルシェル
「……時間制御の亜種か。小娘が……」
動こうとした瞬間、白光が爆発した。
次の瞬間。
蒼真・永瑠・ノア、そして自衛隊数名は、数キロ離れた廃ビルの屋上へ転移していた。
◇◇◇
#5 蒼真の決意
永瑠は放心したまま黒翼を収束し、崩れ落ちる。
ノアは膝をつき、魔力を使い果たしていた。
蒼真は拳を握り締める。
蒼真(心の声):
「(ルシェルは永瑠の父……
なのに、永遠の苦しみから“殺して救う”つもりだ……
誰がそんな救いを望むんだよ……)」
蒼真は永瑠の肩にそっと手を置く。
蒼真
「……誰にも、永瑠の命を終わらせる権利なんてない」
蒼真は立ち上がり、ノアに言う。
蒼真
「ノア。俺は決めた。
ルシェルの言う“解放”は、救いじゃない。
俺は永瑠の“永遠”を……孤独じゃないものに変える」
ノアは息を整えながら微笑んだ。
ノア
「……観測完了です。蒼真さん。あなたの“選択”が、未来を変えます」
蒼真の瞳には、もう迷いはなかった。
永瑠の未来を、奪わせはしない。




