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第4話:刀と吸血鬼と、会話できない俺たち

◇◇◇



#1 刀と高校生の深夜の脳内会議


戦闘から一夜明けた深夜。

神楽市は異様な冷気に包まれ、月明かりだけが不気味に街路を照らしていた。


蒼真は布団の上で正座し、妖刀〈焔生ほむすび〉を真剣に見つめながら内心で問いかけていた。


蒼真

(……昨日お前、勝手に動いたよな?

なぁ、その……俺、なんで戦えたの?

説明……してほしいんだけど)


刀はもちろん無言だった。しかし蒼真にはわかった――この刀は確かに意思を持っている。


蒼真

(絶対聞こえてるだろ……

お前、昨日俺の身体を勝手に……)


《……視えた。敵。》


蒼真

「えっ!?ガチしゃべった!?刀ってしゃべるの!?」


《……視えた。記憶が。魂が。

我は“魂環たまわの記録”。

汝の内に……共鳴した。》


蒼真

(え……いや……説明雑すぎない?

俺、普通の高校生なんだけど?)


刀は微かに赤い輝きを放ち、さらに言葉を続ける。


《……汝、ひとりでは死ぬ。》


蒼真

(こわっ!!!)


《……ゆえに、選んだ。共鳴する魂を。》


蒼真

(うわあああああああ!!!

選ばれた系!?中二病イベント!?)


その時――


コンッ


窓に小石が当たる音。


蒼真

(え、こんな深夜に……誰!?)


カーテンの隙間から覗くと、

街灯の下に立つ冬崎ふゆざき 永瑠えるの姿。


無表情。

無感情。

月光に照らされ、なお一層“夜の住人”のように美しい。


蒼真

(なんで……俺の家を……!?なんで来るの!?)



◇◇◇



#2 夜道に響く会話不能の二人


蒼真は慌ててパーカーを羽織り、外へ出た。


永瑠は腕を組んで待っていた。その姿は、まるで最初からそこに立っていたかのようだ。


永瑠

「……来たのね。」


蒼真

「え、あ……うん……」


(お、落ち着け……落ち着け蒼真……

昨日より自然に話せ……!)


永瑠

「あなたの家、モンスターの痕跡が残っていた。」

「それに……あなたから妙な“気配”がする。」


蒼真

(ひぃっ……人の気配を“する”とか言う女初めてだ……)


永瑠

「……だから、来た。」


蒼真

(理由、雑~~~ッッ!!)


永瑠は蒼真の全身を見渡し、微かに眉をひそめた。


永瑠

「まず質問。あなた、昨日……どうして“死ななかった”の?」


蒼真

「俺も聞きたいよ!!?」


永瑠

「……普通はあれで死ぬ。内臓が破裂して、骨が砕けて、頭蓋も……」


蒼真

「言わなくていい!!」


永瑠

「でもあなたは生きてた。

その刀の力?それとも……あなた自身?」


蒼真

「いや、知らんって!!俺、ただの高校生なんだよ!?スポーツもしてないし、友達もそんなに……」


永瑠

「……友達の話はしていない。」


蒼真

(なんでそこでさりげなく刺すの!?空気読めないの俺だけ!?いや君も読めてない!!)


永瑠の視線が再び刀へと向かう。


永瑠

「その刀……近づくと胸が痛む。

……私の“血”に反応している。」


蒼真

「血!?」


永瑠

「私の正体を知りたい?」


蒼真

「いや、逆に知らずに済むならその方が――」


永瑠

「――私は不死のネオヴァンパイア。」


蒼真

「自己申告早ッ!!?」



◇◇◇



#3 永瑠の唐突すぎる“告白”


永瑠

「あなたの動きは素人じゃなかった。

昨日の斬撃は、歴戦の戦士の技と同じ。」


蒼真

「俺そんなに動いてたの!?

逆上がりで転落した男だよ俺!?」


永瑠

「……嘘。あなたの匂いは“人間”。」


蒼真

(匂いって何!?俺そんなに匂う!?今日風呂入ったけど!?)


永瑠

「だから気持ち悪い。」


蒼真

「言い方ァ!!」


永瑠

「人間なのに、戦士の技。戦士なのに、人間の魂。魂は深くて、脆くて、冷たい。

……でも昨日、戦う時だけ――あなたの魂は“熱かった”。」


蒼真

「な、なんだよその詩的な分析……」


永瑠

「……私は好きよ。そういう魂。」


蒼真

「急に距離近い!!?」


永瑠

「刀も言ってた。“選ばれた者”って。」


蒼真

「刀が言ってた!!?」


永瑠

「あなたが話してた。」


蒼真

「聞いてたのおおおおおお!!!?」


永瑠はほんの少しだけ口元を緩めた。


永瑠

「……変な人間。」


蒼真

「お前が言うな!!」



◇◇◇



#4 共闘の予兆とラブコメの地雷


永瑠は真剣な表情に戻る。


永瑠

「……蒼真。

私たち、昨日の件で“同じ渦”に巻き込まれた。」


蒼真

「……渦?」


永瑠

「違和感。因果。魂の匂い。

全部混ざって、狂って、壊れかけてる。」


蒼真

「なんでそんなサラッと怖いこと言えんの?」


永瑠は蒼真をまっすぐ見つめ、静かに言った。


永瑠

「協力し合うしかない。お互い、わからないことが多すぎる。」


蒼真

「……だよな。」


永瑠

「ただし――」


蒼真

「ただし?」


永瑠

「私、あなたのこと「まだ好きじゃない」。」


蒼真

「「誰もそんな話してない!!??」」


永瑠

「……普通、こういう時言うんでしょう?人間は。」


蒼真

「どこの学習データだそれぇぇ!!」


永瑠

「でも、嫌いじゃない。

あなた……生き物としては面白いから。」


蒼真

「それ褒めてる!?今の褒めてる!?褒めてる???」


永瑠

「……わからないなら、これから学べばいい。」


蒼真

(いや可愛いな!?え、可愛いの!?この子可愛いの!?でも“生き物として”って何!?)


永瑠は一歩近づき、静かに宣言した。


永瑠

「雪村蒼真。

――しばらく、あなたと行動する。」


蒼真

(……マジで!?

こんな夜中、女の子が家の前に立ってて、

しかもヴァンパイアで、しかもめちゃ美人で、しかも一緒に行動!?

俺死ぬ?今日死ぬ??いやすでに一回死にかけてたけど!!)


永瑠

「……まずは情報交換から。明日の放課後。」


蒼真

「お、おう……!」


永瑠

「忘れたら噛む。」


蒼真

「脅し!!?」


永瑠

「冗談。」


蒼真

(どっちだよ!!)


永瑠は闇に溶けるように姿を消した。


蒼真は刀を見つめながら深いため息をついた。


蒼真

「……すげぇやつに関わっちゃったな……」


《……汝の選択。》


蒼真

「しゃべったぁぁぁああ!!」

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