第37話:共同生活、危険度S
◇◇◇
#1 雪村家リビング — 午前6時02分
蒼真は、夢と現実の境目にいた。
蒼真(心の声)
「……朝……?なんか……重い……?」
目を開けると——視界いっぱいに、
永瑠の寝顔があった。
しかも距離 3センチ。
蒼真(心の声)
「………………ッ!?!?!?」
永瑠の長いまつ毛が揺れ、肺がゆっくり上下している。
その首筋には、赤く淡い光が脈動していた。
そして蒼真は気付いた。
永瑠が、完全に胸の上に乗って寝ている。
蒼真
「いやいやいやいやいやいや待て待て待て!?!?!?」
永瑠
「……ん……(寝返り)」
蒼真
「うわあああああッ!? 重っ……いや、軽いけど!!近い!!いや違う!!」
完全にパニック。
永瑠は目を開け、ぼんやりとした顔で蒼真を見つめた。
永瑠
「……あなたの匂い、落ち着くから……」
蒼真
「落ち着くな!!乗るな!!心臓止まる!!」
永瑠
「……不死の人間じゃないの?」
蒼真
「オレは不死じゃねぇ!!」
永瑠
「……あ。そうだったわね。忘れてた。」
蒼真(心の声)
「忘れるな!!命にかかわる!!」
◇◇◇
#2 ノア、朝からやらかす
キッチンから爆音。
ノア
「観測完了! この家、爆発しませんでした!! 大成功です!!」
蒼真
「なにした!?」
ノア
「電子レンジに金属のスプーンを入れてはいけないという“現代知識”を忘れていただけです!」
蒼真
「忘れんなぁぁぁ!!!」
永瑠
「……蒼真、心拍が上がってる。落ち着いて。」
蒼真
「お前のせいもある!!」
永瑠
「……そう。ごめんなさい。」
蒼真
「ちょ、素直!?逆に困るっ!?」
永瑠
「……あなたに迷惑は、かけたくないから。」
蒼真(心の声)
「……っ!?」
ノア
「はい恋愛ポイント観測入りました〜!」
蒼真・永瑠
「黙れ!!」
◇◇◇
#3 緊急作戦会議(でも全員ずれてる)
テーブルにつく三人。
永瑠はミステリアスな顔でパンをつつき、
ノアは食パンに何故か醤油をかけ、
蒼真は頭を抱えている。
蒼真
「……で、なんで二人とも泊まってんだよ……」
永瑠
「あなたの家が“交界点”だから。」
蒼真
「は?」
ノア
「はい、観測結果を発表します!」
タブレットを広げ、どや顔。
ノア
「この家、異世界・古代世界・現代の三層が重なる“魂環軸の中心点”です!」
蒼真
「何その重要施設!?オレんち一般家庭なんだけど!」
永瑠
「あなたが焔生を手にした瞬間、ここに古代世界の“位相”が定着したの。」
蒼真
「俺のせいかよ!!」
ノア
「つまり、ここから世界を救うのです!!」
蒼真
「重ぇよ!!設定が!!」
永瑠
「……でも、あなたがいなきゃ世界が壊れる。」
蒼真
「言い方も重い!!」
◇◇◇
#4 共同生活ルール
(成立しない)
蒼真
「まずルール決めよう。勝手に人の布団入るの禁止!」
永瑠
「……あなたの匂いが、安定するから……」
蒼真
「理由攻撃やめろ!!弱いとこ突くな!!」
ノア
「わたしはドアを壊さないよう努力します!」
蒼真
「努力じゃなくて守れ!」
永瑠
「蒼真が危険な時は、わたしが“血”で回復するから」
蒼真
「ちょ……吸うなよ!?絶対吸うなよ!?」
永瑠
「……少しでいいから」
蒼真
「信用できねぇ!!」
ノア
「はい、記録しました。蒼真さんは“噛まれるのはNG”。覚えました!」
蒼真
「当たり前だ!」
◇◇◇
#5 観測結果更新
突然、永瑠の表情が硬くなった。
永瑠
「……蒼真。ひとつだけ言っておく。」
蒼真
「ん?」
永瑠
「昨夜の怪物……あれは、まだ“前触れ”にすぎない。」
蒼真
「……」
永瑠
「この家を襲ったのは偶然じゃない。
あなたの刀——焔生を“探しに来た”。」
蒼真
「……!?」
ノアも真剣な顔になる。
ノア
「観測結果更新。
あと38時間で、世界は臨界点に達します。
それまでに、魂環の本当の因果を解き明かさなければ……何があるかは……観測不能です。」
永瑠が蒼真を見る。
永瑠
「……蒼真。戦う覚悟は、ある?」
蒼真、深呼吸一つ。
胸には、まだ永瑠が寝ていた痕跡の温もりが残っている。
蒼真
「……あるさ。ここが……俺の家なんだから。」
永瑠の瞳が、わずかに揺れた。
ノア
「観測完了! 主人公らしい名台詞です!」
蒼真
「お前はちょっと黙れぇぇ!!」
――こうして、
神楽市最重要拠点「雪村家」での
共同生活&世界救済ミッションが、本格的に始まる。




