第26話:王の間にて
◇◇◇
#1 エリオスとリサ
城の最奥、玉座の間。
そこには、二つの荘厳な姿が立っていた。
玉座に座るのは、白銀の鎧を纏った国王。
国王 エリオス・スノウ。
静かな眼差しと、その場を支配する強い佇まいを持つ、まさに王の風格。
その隣には、淡い雪光のようなローブを纏う王妃、リサ・スノウ。
凛とした優しさと、全てを包み込むような慈愛の気配を漂わせている。
ノアは、玉座の前まで進むと、深く膝をついた。
エリオス
「よく帰ったね、ノア。」
ノア
「……お父様。」
リサは立ち上がり、娘を抱きしめた。
「おかえりなさい、ノア」
ノア
「……お母様。」
蒼真
「マジか……。」
永瑠
「ノアお姫様だったんだ……。」
蒼真は慌てて、畳もない石の床に正座した。
エリオス
「ようこそ異界の勇者殿。私はこの国の王、エリオス・スノウ」
リサは優しく微笑んだ。
「リサと申します。娘の友として、遠い世界から来てくださって、心から感謝します。」
蒼真
「え、えっと……こちらこそ、お邪魔して申し訳ありません……!」
◇◇◇
#2 衝撃
ノア
「お父様、蒼真さんは――私の友であり、そして、計り知れない力を持っています。
この国のピンチをきっと救ってくれるはずです!」
王は、その報告に対し、玉座から降りると、蒼真と永瑠に向かって、深く頭を下げた。
エリオス
「娘がお世話になったね、ありがとう。」
王に頭を下げられた蒼真は、身体が震えるのを感じた。
エリオス
「話は聞いているよ、蒼真君。今、この国に危険が近づいている。」
リサ
「スタンピード……。未だかつて無い危機が近づいています。」
エリオス
「私はこの国を守る王でありながら、今、自ら剣を取ることができない。オルド王国が持つ最大の危機に、私は戦士として立ち上がることが叶わないのだ。」
国王は、その深い無念を滲ませながら、頭を下げた。
エリオス
「すまない……、君たち二人の……異界の勇者の力を、このオルド王国へ貸してほしい。」
永瑠
「スタンピード……魔物の群れ……」
ノア
「勇者蒼真だから大丈夫です!」
蒼真
「拉致しておいて、異世界転生ものみたいな通常の手順を踏んでいただけませんかねーーっ!!!」
◇◇◇
#3 城下が揺れる
国王の言葉が終わるか終わらないかのその時――
ドォンッ!!
城全体が激しく揺れる爆音が響き渡った。
玉座の間の扉が開き、一人の騎士が血相を変えて飛び込んでくる。
兵士
「報告!魔物大群、東門に迫っています!!
魔導障壁、限界まであとわずか!!」
エリオス
「……ついに来たか」
ノア
「情報解析……スタンピードです!次元の裂け目からの魔物の大群……昨日戦った歪曲体の比ではない」
永瑠は、戦闘モードでヴァンパイアの翼を展開する。
ノアは、王女のローブの裾から、白銀の杖を構えた。
蒼真
「……帰りたい……。俺、帰りたいよぉぉぉ……。」
しかし、蒼真は一足先に、帰る支度をしていた。




