第21話:聖女ノアの登校。神楽高校の平穏、終了のお知らせ
◇◇◇
#1 翌朝の神楽高校――平穏終了
神楽高校・正門前。
春風が吹き、桜が舞う。
平和そのものの朝。
……の、はずだった。
蒼真(心の声) (俺の平和は、もう昨日で終わった……。)
昨夜。
永瑠とノアの言い争いに巻き込まれ、まともに眠れなかった。
重いため息をつきながら校門をくぐる。
(今日は静かでありますように……。)
その願いは、一秒で砕け散る。
「蒼真さん!」
校門前で、大きく手を振るノア。
制服姿なのに、なぜか後光が差している。
風が吹き、銀髪がスローモーションでなびく。
女子生徒A 「今日も光ってる……。」
男子生徒B 「朝日じゃなくて本人が発光してない?」
蒼真
「なんで毎朝ラスボス演出なんだよ!!」
ノア
「朝は元気にご挨拶です!」
蒼真
「光量を抑えろ!!」
◇◇◇
#2 普通に登校したいだけなのに
ノアは当然のように蒼真の隣へ並ぶ。
ノア
「一緒に登校しましょう。」
蒼真
「目立つから離れて。」
ノア
「護衛対象から半径二メートル以上は離れられません。」
蒼真
「そんなルール聞いてない!」
そこへ。
ひやり、と空気が冷える。
永瑠
「……おはよう。」
蒼真
「ひぃっ!」
ノア
「おはようございます。」
永瑠
「近い。」
ノア
「護衛です。」
永瑠
「私も護衛。」
ノア
「では共同警備ですね。」
永瑠
「却下。」
蒼真(心の声)
(朝から始まった……。)
◇◇◇
#3 教室、大注目
二年二組。
教室へ入ると、
全員の視線が蒼真へ集中した。
男子
「来たぞ。」
女子
「今日も両手に美少女……。」
ケン
「雪村。」
蒼真
「なんだ。」
ケン
「刺される前に遺言書いとけ。」
蒼真
「なんでだよ!」
席へ向かう蒼真。
ノアも当然のようについてくる。
蒼真
「いや、自分の席行け。」
ノア
「はい。」
返事だけはいい。
だが。
二秒後にはまた隣にいる。
蒼真
「戻ってきた!」
ノア
「確認です。」
蒼真
「何の!?」
◇◇◇
#4 聖女、普通ができない
授業開始。
教師
「では教科書三十二ページ――」
ノア
「蒼真さん。」
蒼真
「なんだ。」
ノア
「ノートを忘れています。」
蒼真
「あ。」
ノア
「鉛筆もありません。」
蒼真
「あ。」
ノア
「消しゴムも。」
蒼真
「全部忘れてる!!」
教師
「雪村ぁ!!」
教室が笑いに包まれる。
ノアは自分の筆箱を差し出した。
ノア
「どうぞ。」
蒼真
「助かるけど恥ずかしい!!」
永瑠
「……世話が焼ける。」
蒼真
「なんで二人とも保護者目線なんだよ!」
◇◇◇
#5 今日も平穏ではなかった
昼休み。
ノアは机にプリンを三つ並べていた。
蒼真
「なんで三個?」
ノア
「一つは蒼真さん。」
永瑠
「一つは私。」
ノア
「そして最後の一つは非常食です。」
蒼真
「プリンを非常食扱いするな!」
永瑠
「没収。」
ノア
「阻止します。」
二人が同時にプリンへ手を伸ばす。
蒼真
「プリンで戦争するな!!」
教室中が爆笑する。
ケンは机に突っ伏しながら笑った。
「雪村……。」
「お前の高校生活、毎日アニメだな。」
蒼真は天井を見上げ、大きくため息をつく。
「……誰か、普通の日常を返してくれぇぇぇぇ!!」
教室には笑い声が響き渡る。
その頃、誰も知らない場所では、新たな異世界の裂け目が静かに開き始めていた――。
-次回予告-
第22話:神楽高校、異世界文化祭に巻き込まれる(被害者)




