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第16話: 蒼白の雪原

◇◇◇



#1 封印室が白銀に染まる


封印室の扉が開けられた瞬間、室内の空気が一変した。家の中とは思えないほどの冷気が押し寄せ、吐く息が白く凍りつく。体感温度は一気に真冬まで低下する。


永瑠は扉の先を見つめ、静かに息を吐いた。


永瑠

「来るわ……“魂の雪”が」


ノアは小声で蒼真に確認を取る。

「蒼真さん、来ますよ。準備はいいですか?」


蒼真は青ざめた顔で絶叫した。


蒼真

「心の準備!心の!!」


ノア

「間に合いません」


永瑠

「受け入れなさい」


蒼真

「いや強制参加!?俺の意思ぁああああ!!」


抵抗も虚しく、強烈な光が辺り一面を包み込んだ。



◇◇◇



#2 魂の雪原 ―― “最初の記憶”


視界は真っ白に弾け飛び、次に気づいた時には、自身が広大な雪原に立っていた。


そこは白い世界、雪は降っていないのに、空気だけが異常なほど冷たい。


蒼真

「ここ……夢?

違う……身体が軽い、いや、軽すぎる!!

これ仮想空間!?……てか足埋まってる!!」


足もとを見れば、雪ではなく、キラキラと光を放つ記憶の結晶が敷き詰められていた。


カツ、カツ、カツ……


一定のリズムの靴音が近づいてくる。


蒼真

「……誰だ?」


現れたのは、白銀の鎧をまとった青年だった。背は高く、髪は蒼光を帯びた白。瞳は深い湖のように澄んだ青をしていた。


蒼真は目の前の青年の異様なまでの美しさに、思わず言葉を失った。


青年は蒼真を見据え、静かに告げた。


「やっと……来たか」


蒼真

「……え、誰?モデルか?K-POP?俳優??」


「ウィンター・セラフィスだ」


蒼真

「えっウィンター!? キャラデザインやばっ!?顔面偏差値高すぎるだろ!!」


ウィンター

「時間がない。“現代”の異変は、すべて過去の因果の再現だ」


蒼真

「いきなりストーリーの核心!?もっと段階踏んでよ!?」


ウィンター

「お前が段階を踏んでいない」


蒼真

「すみませんでした!!!!」



◇◇◇



#3 ウィンターの真実


ウィンターは、頭上の雪原の空を見上げた。そこには、ガラスのように小さな裂け目が走っている。


ウィンター

「聞け。異変の原因は、未来でもなく現代でもない……“私とルシェルの決着がつかなかったこと”だ」


蒼真

「え、負けたの!?ウィンター的にそれ言っていいの!?いきなり負け確!?」


ウィンター

「負けてはいない。ただ――互いに致命傷を与えた」


蒼真

「それ負けじゃん!!!」


ウィンターは、感情を露わにせずにいるが、その声のトーンが僅かに下がった。


ウィンター

「違う。私は死んだが、あいつは死ななかった」


蒼真

「あ、ごめん……それは負けだ……」


ウィンター

「お前、喧嘩売ってるのか?」


蒼真

「違いますすみません!!!」


ウィンターは再び冷静な表情に戻る。


ウィンター

「今、君に起きている事は“二つの偶然”が重なっている。いや、宿命と言った方がいいか……」


ウィンター

「まず、一つ……私の魂は君に転生した。今見ているのは、君の心、自分自身だよ」


蒼真

「何そのスピ設定!もう、自分がこわい……!?」


ウィンター

「そしてもうひとつは、その刀だ」


蒼真

「刀……?」


ウィンター

「本来なら、ルシェルを討つはずの刀だった」


蒼真

「まったく意味がわからん!!!」


ウィンター

「闇の魔王、ネオヴァンパイア・ルシェル。

……永瑠の父だよ」


蒼真

「いや、永瑠の父が敵ってどーいうことだよ!!!!」


ウィンター

「永瑠は、ネオヴァンパイアハーフだ」


蒼真

「ネオヴァンパイア“ハーフ”……って事は母親は人間?」


ウィンター

「ルシェルは不死だ、まだ死んでいない。

そして……どこかに潜んでいる筈だ」


蒼真の背筋に、冷たい雪原とは別の寒気が走った。


蒼真

「永瑠……」


ウィンター

「そうだ。あの少女はルシェルの娘。そして、君の“宿敵の娘”だ」


その瞬間、雪原は淡い蒼光に染まり、足もとの記憶の結晶が音を立てて崩れ始めた。


ウィンター

「戻れ。“彼女”が、お前を待っている」


蒼真

「……ウィンター。俺はこれからどうすればいい……?」


ウィンターは、別れ際に少しだけ微笑んだ。優しく、静かな笑みだった。


ウィンター

「簡単だ。“死ぬな”。それが、お前の最初の使命だ」


蒼真

「いや重いよ!!!!」


強烈な光が走り――蒼真の視界は現実へと戻された。



◇◇◇



#4 現実に帰還 ―― 家の外で“地獄絵図”


目を覚ますと、そこは冷気を放つ封印室の中だった。


その時、眼前に広がっていたのは、地獄絵図だった。


永瑠が闇の鎖を玄関前で展開し、ノアが蒼銀の障壁を張って、辛うじて家を守っている。


その障壁の外側――侵蝕体インヴェーダーが約40体、雪村家を取り囲んでいた。


蒼真

「いや増えてるぅぅぅぅぅ!!!?」


永瑠

「起きた?遅い」


ノア

「今すぐ戦闘に入ります。蒼真さん、あなたの“魂環(こんかん)”……本気で使いますよ」


蒼真

「いや待て!!俺まだ説明の余韻が!!

ウィンターの顔の良さのショックが!!!」


永瑠

「いいから構えろ」


蒼真

「ブラック企業の先輩かよ!!!」


永瑠

「来るわよ――蒼真」


ノア

「“魂環交界ソウルリンク”開始」


次の瞬間、侵蝕体の群れが一気に雪村家へと襲いかかった。



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