第10話:三人暮らし始まる
◇◇◇
#1 蒼真の家 — 深夜。地獄の幕開け。
戦いと情報量で脳を焼かれた蒼真は、自宅の玄関に到着するや否や、へたり込んだ。
蒼真
「……助かった……家って……偉大……
俺の布団……俺の味方……」
永瑠(後ろから覗き込む)
「……ここがあなたの家?」
蒼真
「う……うん。
(え……来るの!?いや帰れよ!?なんで付いてきてるの!?)」
永瑠は平然と靴を脱ぎ揃える。
永瑠
「泊まる。」
蒼真
「なんで!?当然のように!?
なんで今靴揃えた!?」
永瑠
「外は危険よ。
あなたが死んだら“私の計画”全部台無し。」
蒼真
(計画!?なんか物騒な単語出てきた!?)
……と、そこへ。
空気が“さらり”と揺れた。
ノアが、当然のように玄関に立っていた。
光と共に。
土足と共に。
ノア
「では、私もここに滞在します。」
蒼真
「来たァァァァァァ!!!
なんで!?なんで当然のように家に入るの!?
え!?テレポート!?家の鍵とは!?!?」
ノア
「宿がありませんので。」
永瑠
「じゃあ帰れば?」
ノア
「帰れません。監視する必要があります。」
永瑠
「……はァ?」
蒼真
「いや俺が“はァ?”だよ!!」
ノアは淡々と指を折りながら言う。
ノア
「① 蒼真さんの力は未熟。
② 明確な襲撃が予測される。
③ あなた(永瑠さん)は吸血衝動が強すぎる。
——以上です。」
永瑠
「あ”あ”あ”あ”ぁ!?!?」
蒼真
「怒った!!永瑠怒った!!逃げてノア!!」
ノアは微笑む。
ノア
「事実を述べただけです。」
永瑠
「てめぇ……聖女ぶりやがって……!」
蒼真
「喧嘩はやめろ!!!俺の家!!壊れる!!」
◇◇◇
#2 蒼真の部屋 〜 争奪戦 〜
ノア
「では蒼真さん。
寝室はどこですか?」
蒼真
「え、寝室……?」
永瑠
(すっと蒼真の前に立つ)
「なにその質問?
この家で寝るのは私だけよ?」
蒼真
「いやお前も帰れよ!?
どの面下げて当然みたいになってんの!?」
ノア
「永瑠さんは危険です。
夜、蒼真さんの血を吸います。」
永瑠
「吸わないわよ!!
……たぶん。」
蒼真
「いや“たぶん”って言った!!
こいつ絶対信用できねぇ!!」
ノアは静かに提案する。
ノア
「では蒼真さん。
私と一緒に寝ましょう。」
永瑠
「はあああああああああああああ!?!?!?!?」
蒼真
「ノア!?!?!?
お願いだから言い方考えて!?!?
俺の理性のHPが死ぬ!!」
ノア
「安心してください。
睡眠中のあなたの心拍や呼吸を監視するだけです。」
蒼真
「余計怖いんだよ!!!!」
永瑠
「絶ッッ対にダメ!!
こいつは私が見張るの!!!」
ノア
「あなたは吸血衝動が強いので却下です。」
永瑠
「それは……否定できなくて悔しい……!」
蒼真
「もう俺ソファで寝るから!!
2人とも俺の部屋には入らないで!
お願いだから!!」
永瑠
「……じゃあ、ソファの前で私が番する。」
ノア
「では私はソファの後ろで座ります。」
蒼真
「やめろォォォォ!!
挟むな!!俺を挟むな!!
なんでダブルガードなんだよ!!」
◇◇◇
#3 深夜 —— 謎の声
結局、蒼真はソファ。
永瑠はそのすぐ横の床。
ノアは蒼真の頭の後ろのスペースで、正座。
蒼真
「(なんだよこれ……
俺の家がハーレムじゃなくて監視施設になってる……
眠れねぇよ……)」
永瑠(布団を被りながら)
「血……吸いたい……」
蒼真
「寝ろ!!!!!!」
ノア
「蒼真さん、呼吸が乱れています。
落ち着いてください。」
蒼真
「お前が原因だよ!!!!!」
その瞬間——。
——ズズッ……ズズズ……
世界の“向こう”から、
重く沈むような“響き”が聞こえた。
永瑠が飛び起きる。
永瑠
「……来た。」
ノア
「“歪み”が拡大しています。」
蒼真(寝ぼけ声で)
「え……?なんで夜中にイベント始まってんの……?
俺……学校……明日……」
永瑠
「立ちなさい蒼真。」
ノア
「戦闘です。」
蒼真
「睡眠時間返してぇぇぇぇぇ!!!!」
三人は玄関へ走る。
夜の神楽市——再び、裂けようとしていた。




