夏の終わりのコミカルストーリー(中編)
少し時間をさかのぼる。
「さーて、お子さまランチを食べてくるぞ~♪」
あの時、私はテレビ局の食堂には行かなかった。
また、テレビ局の外にも出ていない。ファミレスに行ったなんてウソだ。私は夜ごはんを食べていない。口にしたのは、缶コーヒーのブラックだけ。
あの時、私が他の二人と一緒に向かったのは、アサガオの全滅部屋だった。
もっと前の『読書感想文』の時、ディレクターがスタジオを留守にしたタイミングで、その場にいる番組スタッフたちに説明していた。サプライズをしかけたい。絵日記のページを差し替える。
私の予想では、五時間で書けるのは、おそらく十五日分だ。
となると、最初からノルマが十五日分だと、このサプライズは不可能になる。
だから、十日分に減らすために、スタッフたちに協力してもらった。
そんなわけで、差し替える予定なのは五日分だ。どんな内容なのかは、すでにスタッフたちには伝えている。
私が子ども時代につくった『夏休みの絵日記』、それを一部分だけ再現するのだ。
スタジオにあるのとは別の机を、アサガオの全滅部屋に運び込んで、せっせと作業をこなす私。
ここなら、外に「関係者以外は立ち入り禁止」の紙が貼ってあるので、邪魔は入らないはず。
といっても、あまり時間をかけすぎると、ディレクターが騒ぎ出すだろう。
また、ニセモノを含む十日分、あっちが完成しなくても、このサプライズは成立しない。
茨の道になるだろうと覚悟していたけれど、想像していた以上の厳しさだった。
でも、ちゃんと目標地点にたどり着いたぞ。
私が指定した箇所に新たな五日分を差し替えると、ディレクターが『夏休みの絵日記』を読み始めた。




