第四十三話
ある日ダンジョンができた。
俺にできる社会貢献とは何か。
ダンジョンの恩恵と、逆にその制御とは。
あの練馬での拘束は何だったのか。
「お前なんかしたのか?」
貧弱ダウナー系美人教授に気怠げに問われる。
そう、こういうときは有識者に尋ねるべきと、例の通達についても探りを入れるべく研究局にやってきていた。
「なんかって?」
「変な通達流れてきたぞ」
「変な通達って?」
俺はとぼけて聞く。
「詳しく伝えるのは禁止されているのが、女子はお前には気をつけろ、という話が最初で、次にもっと気をつけろ、最後は男子も気をつけろ、に更新されている」
「ど、どういうこと?」
「誰もが近づくなってこと。もし接触の際は、第三者を同席させること、とのこと。
そこの鈴木のように」
「わたしはいないものとしていただいて大丈夫です」
「いや、おるやろうが」
どうやらねじれにねじれ、ただのアンタッチャブルになったようだ。
「元に戻っただけ? ってことかな。
うーん、待遇は改善されたというべきか? 実は改善されていたのに自分から改悪させたというべきか」
うーん。まあいい。
「今日相談したかったのは、ダンジョンの外でのスキルや強さの減衰方法なんだよ」
「ええ!」
鈴木が声を上げる。
「おい、空気が発言するな」
教授の突っ込みに鈴木が頭を下げながら言う。
「すいません、つい先程まで内部で話し合っていたテーマでしたんで。読心スキルとかないですよね?」
「そのスキルは興味深いですね。今度挑戦してみます」
「や、藪蛇」
研究局も検討しているなら話は早い。
「いずれにせよ、俺のような危険分子がウロウロしているのが、機構としても、日本国としても、もっと言うと世界中の危機なわけだ。
俺も俺みたいなのがウロウロしていたら、怖くて外を歩けんわ」
「それでお前はどうするんだ?
両手両足を縛って外出するのか? それとも爆発物のついた首輪でもつけるのか? 私的には首輪が楽だな」
「スイッチは教授が持っていてくれるんだろ? それならいいかな」
俺はじっと教授を見つめる。
鈴木が腰を上げる。
「ちょっとお手洗いに・・・」
ガシッと教授が鈴木を掴む。
「まあ待て、これから本題だ」
「なんで。いい雰囲気になりそうじゃないですか」
「鈴木、よく考えろ。服務規定違反で罰則だぞ、お前も」
「ええ、そんなに厳しいの? 俺の人権は?」
「爆発物には人権はないさ」
「生き物ですらない件について」
前振りはともかく、俺は考えていたアイデアを話していく。
「俺は練馬で確かにほとんど動けなくなるような、拘束なのか、妨害にあった。
おそらく主の力だと思うが、拘束であれば主があんなに弱いのに矛盾している。
だから俺は減衰させる方法があると思うんだ」
「なるほど。スキルの発動を抑えるのか?」
「どちらかというと、ダンジョンの力を抑える、ってのが近い気がするな」
教授は顎に手をやり考えだす。
「梶さんは何か検証しているんですか?」
鈴木が聞いてくる。
「いや、これから検証したい。できるなら力を借りたい」
そこで教授が思いついたようで、聞いてくる。
「お前、宇宙でスキル発動すると思うか?」
「宇宙!・・・どうかな? ぜひ試したい。
プールも試したい。減圧室も試したい」
「なるほど。物理的な何かの干渉を隔絶すれば、スキルが減衰すると思っているんだな」
「流石に真空に出れば、死ぬと思うんだよな。
もしくはやり方によってはそれもクリアできるようになる、がゴールだったりして」
「道は長いぞ。酸素が不要、気圧でやられない、太陽光に焼けない、極寒に負けない」
ロボットかな。無理でしょ。
「壮大だが、まずはプールとか減圧とか、現実的な線で実験したい。被験者としてでもどっちでもいい。
そこは教授に任すよ」
「それはつまり、お前の血液からバイタルやら何から何まで確認していいってことだな。
これはちょっとすごいかもしれん」
「そうだな。解剖とかしないならな」
「やった、聞いたか鈴木。
ゴジ○の検査が自由にできるぞ!」
「もうちょっと色っぽい話になるかと思ったのに」
鈴木は少しガクッとしている。
わーいと喜ぶ教授に思わずほっこりした。
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今回のリザルト
実験の検体
ついでに健康診断もお願いした。
業務に寄せようとしたのは言うまでもない。
検体友達を追加してもらうお願いをしたのも言うまでもない。




