表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
19/47

第十九話

 ある日ダンジョンができた。


 ダンジョンの謎に再び挑むため、俺たちは豊洲ダンジョンのいつもの場所に屯していた。


 今回は最初からブルーシートを敷いているが、どちらかといえば花見のように地べたへ座るためだ。車座になり、今日の検証を開始する。


 俺はまずカードを切って配り始めた。


 最初は軽く数字抜きだ。ジョーカーは入れていない。


 これこそ運ゲームの醍醐味である。


 淡々とゲームを進める。


 最初は俺が負けた。


 その後も……満遍なく勝ったり負けたりを繰り返し、勝負は続く。


 そして、また新しいゲームを始める。


「あのー」


「なんだ。次は大富豪だぞ」


「そうじゃなくて、これ、何のスキル用なんでしたっけ。よく考えたら、目的を意識しないとダメですよね?」


「そこからか。アッキー、このでかいのに教えてやって」


「き、きっと回り回って、トランプスキルなんじゃないかな」


「カードを投げたりね」


「ハハ、案外運が上がったりして」


「下がるかもな」


「!!」


「こわっ! なんてことさせてるんすか!」


「なんとなくだが、プラスにだけ働く気がするんだ。だから、運をたくさん使う方法がいい」


「ビタミンみたいに言わないでよ」


「そ、それなら『戦争』っていうゲームがいいかも。二人でやるんだけど、単純に運任せなんだ。


カードを二人に分けて、切ったあと裏向きに積むの。


せーので一番上のカードをめくって、エースが一番強くて、次にキング。二が最弱なんだけど、強い方が場のカードを取る。


それだけなんだけど、ひたすら運の勝負を繰り返すゲームなんだ」


「さすがアッキー。それは効率的だ」


「効率的、時短イコール苦痛、という法則にも適合している」


「ふふ、嫌な法則ね」


 俺たちはまず俺とアッキーで戦争を始めた。


 のどかとユッキーはサイコロで似たようなことを始める。単純に交互で振り、出目の大きい方が勝ちのようだ。


 こっちも十分苦痛そうである。


 なんとなく気が遠くなっていく。


 運試しが完全な作業へ移行してから、一時間ほど経っていた。


「き、きたかも」


 俺と戦っていたアッキーが、最初に兆候を見せた。


 アッキーがカードを切り、俺と分けていく。


 せーので出すカードが、十枚連続でアッキーの勝ちだった。


「よし。俺はコインに移行する。アッキーはこの黒い杖で、優しく、弱ーく魔法を使う練習をしてみてくれ」


 俺はコイントスを始める。


 表か裏かを宣言し、ひたすら投げ続ける。


「や、やばそう。なんかこれ、ちょっと力の込め方を変えるだけで、とんでもない魔法になりそう。


ちょーっと込めまーす」


 アッキーの杖から極太のファイアーボールが飛び出した。


「あ、ヤバ」


 俺はダブルマホガニーテーブルを取り出し、ユッキーへ渡す。


「いや、全然持ててますよね」


「もう一個あるんだ」


 テーブルを並べて壁を作る。


 着弾と同時に轟音が響き渡った。


 のどかはカードやグッズを慌てて守っている。


「アッキー、やりすぎだよ」


「だ、ダメだった。これ、のんちゃんも使ってみて。またまたダンジョン革命かも・・・」


「ハハ、おそろしい」


「ていうか、あんた最近、その色々出てくるスキルを隠そうとしてないよね。もはや」


「どーこーでーもーつーくーえー」


「いやいや、そっちじゃないですし。あれ、じゃなくもないのかな」


「前にも言ったとおり、危険な要素がはっきり解消できていない。

これに関しては公開を自主規制している。

皆にはあえて言うが、非常にリスキーだ。

俺でないとコントロールできない可能性があるし、どう代替できるかイメージできるまではな。

えーっと、常にドヤ顔とセットになってしまう。

すまん」


「アッキー、それ貸して。そのドヤ顔ぶっ飛ばす」


「だ、だめだよ。そのテンションだとみんな吹っ飛ばされるから」


「ハハ、そっちの問題なのね」


 少し脱線したので軌道修正を図る。


「とりあえず、皆で運を上げよう。議論はそれからだ」


「なんか無理やりまとめに入りやがった」


「まあ、とっとと終わらせましょう」


「い、いいのかな」


 どうやら軌道修正は成功したようだ。


 のどかはユッキーと再びトランプの戦争を始めた。


 俺もコイントスへ戻る。


 アッキーは杖を見つめながらブツブツと言っている。


 やがてのどかも来たようで、ユッキーがカードを持って俺のところへやって来た。


 二人で戦争を始める。


 のどかは魔石のナイフを手に取り、じっと眺めていた。


「梶、刃物って作っても法律に引っかからないの?」


「よく見てみろ。刃がないだろ」


「ほんとだ。細いだけだ」


 先ほど熱を防いだテーブルへ近付き、角をナイフで削ろうとしている。


 そのまま切ろうとしてもへこむだけだったが、のどかが首を傾げながらもう一度試すと、急にスパンと切れた。


「ちょっと! 梶、これもまたヤバいよ。このナイフ、魔法みたいな感覚で『切れる』って考えながら使うと、めちゃくちゃ切れるんだけど」


「おー、いいね。あとは耐久度かもしれん」


「魔石のなんちゃらシリーズは、大変なことになるかもしれないね」


「梶さんフィギュアでさえ、モンスター貫通しますしね」


 何故か最後まで残った俺は、カードを恣意的に数字の大小で分ける。


「ユッキー、こっちを持って」


「え、イカサマでもいけるんでしょうか」


「たまたまいいカードを掴んだってことだ」


「えー」


 そうこうしているうちに、なんとなく来た気がした。


 どうやら俺も運のスキルが上がったらしい。


「ハハ、これでいいのか」


「いいんだよ」


 魔石の杖とナイフで、のどかとアッキーは交互に試している。


「あ、あの、ナイフでも魔法は増幅しますし、杖でも切れ味が上がります。


杖の場合は刃がないので、突いてみたら板に刺さったんです」


「なるほど。それ以上は普段使いしてみないと検証が難しそうだな。


ナイフはユッキーが使うか?


杖はどっちが使う?」


「俺、大剣使いのはずが・・・。でも使ってみます」


「杖はアッキーが使ってみて」


「え、いいの? のんちゃんも使えるでしょ?」


「あたしはカードを貰っていい?」


「ん? いいよ。

ていうか貸すだけな、貸すだけ。

贈与税がかかるだろうが」


「あら、カードが一番高いの?」


「ああ。カードが二百万だからな」


「単純な大きさではないのね」


「ああ。カードが一番手間かかってるしな。

投げてキャッツ○イごっこをしてもいいけど、無くなったらトランプとして遊べなくなるから、ちゃんと回収しろよ」


「はあい」


 俺たちは荷物をまとめ、帰路につく。


「ハハ、今日のことを公開したら、ダンジョン攻略が様変わりしてしまいそうです。

どう進めますか?」


「とりあえず、あのおそろしい研究所を完全に取り込み、流出を制限する。

特許取得後、プレミアムを付けて販売だ。

ただ、機構側や警察、軍隊への配備が先だろうな。

そうじゃないと犯罪や戦争の道具になりかねん。

うーん、政府案件か?」


「そうですね。この辺りの武器は保留で。異議ないです」


「仲間内で遊びましょ」


「のんちゃん、カードだけじゃないでしょ」


「いやいや」


 のどかはカードを一枚指に挟んで構えると、雷撃を飛ばした。


 極太である。


「これ、形が違うだけで全部同じものだわ」


「ハハ、欠陥品なのかな?

いや、ある意味完成品と言えるのかな」


 ⸻


 今回のリザルト


「強運?」


 魔石グッズは、形状以外すべて同じ性能。


 その後、俺が研究所へ増資を持ちかけ、主要株主となったのは言うまでもない。


 研究所の株主、探索者、本業。


 まさに探索者が副業と言える状態であることも、言うまでもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ