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第十話

前回までのあらすじ


 俺は、人類の危機を救うべく、アメリカのダンジョンまでやってきた。


 俺が命を燃やし鍛えた神剣阿修羅は、クノイチのさゆりに託すことになった。


 米軍は最終手段として核を用意した。


 終わりへのカウントダウンが刻まれる中、ネバダが人類終焉の地となるのか、奇跡の始まりの地となるのかは、さゆりの手に委ねられた。


「委ねないでよ、そんな怖いの。訳さないからね」


 ネリス基地の外れにある、士官用のバーに改めて集合した。


『ここは貸切だ。楽にしてくれ。

テイラーとレイチェルからは報告を受けている。

想像を超えた奇跡を体験できたようだ』


 リーブス中佐が口火を切った。


 ブルックス少佐が続く。


『カジからは、マジックの種明かしもあると聞いている。イリュージョンについて解説をお願いしたい』


「レイチェル。俺が傘を出した後の動画を投影してくれ。撮影できている可能性がある」


『レイチェル。梶さんが、動画の投影を指示しています。梶さんが傘のマジックを披露した時です。

機械の目であれば、撮影はできているかもしれません』


『わかったわ。わたしもあれを見て、どう考えたらいいか解説が欲しかったの』


 レイチェルがPCをセットし、動画を投影し始める。


 俺が傘を広げ、くるりと回す。


 会話の後、俺は傘を飛ばした。


 周りの目線は傘へ向いているが、カメラはずらさず俺を映している。


 傘を投げた後、俺はそのままそこにいて、ゆっくりと移動を開始していた。


 俺はヒヤリとした。


 後で先日の面々に、急ぎでチャットしようと決める。


 スキルはカメラを欺けない。


 そして、次の瞬間。


 俺は消えた。


 数秒後、また俺が現れた。


 ドヤ顔がアップになる。


「ぷっ」


 ぐぬぅ。


 さゆりが笑いやがった。


 チームアメリカはスルーだ。


 欧米の皆から見ると、日本人の表情はわかりにくいようだ。


『少し戻し、スローにします』


 結局、消えるところは同じだった。


「まず、傘のトリック後、皆の目から見えなくなるのは、俺の検証上、隠密スキルだ」


「隠密スキル」


「そうだ。割と身につけやすいスキルだ。

今回のミッションでは絶対に必要になる。

俺はモンスターを一匹も倒さず、ゴールにたどり着きたい」


「・・・」


「こら。通訳、通訳」


 さゆりなりに何か目的があるのだろう。


 気を取り直し、皆に説明する。


 今度はきちんと通訳したようだ。


『それが、ニンポー』


 エヴァが前のめりだ。


「なんとなく、今回は俺一人で行った方がいいのかな、とは思っている。

ただ、一日もらえれば、一人くらいであれば超人に仕上げ、同行できるようになるかもしれない」


「わたしは?」


「こら、仕事をしろ。お前は、そうだな・・・。

お前がお前のために力を使うなら許可しよう。


国家とか、なんだかわからん組織のために力を振るうとなると、間違いなく俺の敵になる気がする。


そうなると、俺はまあ、日本を出ていく羽目になることだろう」


「・・・」


「よく知っていそうだが、俺は普通の日本の会社員で、副業探索者なんだぜ?世界云々は荷が重い」


「わかりました。わたしは、わたしのためにニンジャになります」


『今、ニンジャって言った!わたしもニンジャになりたい!』


「ならねーよ!」


 そんなこんなで意図は伝わった。


 ミッションの性質から、身の軽いエヴァが選出された。


 世界の平和は、チームアメリカに任せるつもりだ。


 とはいえ、全ての開示は諸刃の剣。


 まずは一人を育てて、プローブとしたい。


 俺も命は惜しい。


 まあ幸い、NDAは俺の生活費程度だろう。


 盛大に破るといいさ。


「それでは明日は特訓だ。またネリスダンジョンへ入りたい。

明日の結果を踏まえるが、最速で明後日、プロボダンジョンへアタックしたい」


『明日はダンジョンブートキャンプだ。楽しみにしておけ。

明後日には、ダンジョンの謎が解けるだろう』


 さゆりも調子が出てきたようだ。



今回のリザルト


 ニンジャが増えるらしい。

 


 おじさんたちの圧力が凄まじい。どうやらエヴァは相当大事にされているようだ。


 まあ、俺の予感では、そろそろダンジョンに俺のノウハウがバレる気がする。


 大幅なアップデートが予想されるわけだ。


 のどかをはじめとした検証仲間には、カメラに映るので、覗きなどリスクある行為は禁止と注意喚起したのは言うまでもない。


 今回のミッションの終わりまでの間に、できる検証は進めるように指示したのも言うまでもない。

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