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花と罵倒
通り抜けたら大きな池に出た
赤く不自然に透き通っていた
たくさんの人形が漂っていた
池には赤以外に所々白い珠が浮いていた
それは人の目玉だった
各々が赤い涙を流していた
池に手を浸してみた
人形の阿鼻叫喚が聴こえた
『お前のせいだ』
『お前が悪いんだ』
『お前がいたから』
阿鼻叫喚は声になって
誰かを責めたてた
人を貶めて自分を正当化していた
踵を返し池を視線から外した
足元には花が咲いていた
健気に咲く花を見つめていた
池から罵倒が飛んできた
罵倒は花の首を締めつけ
罵倒が花を踏み潰す
無垢な花はまた咲こうとするが
また切り裂かれる
風が吹いた
花はバラバラになり
吹き飛ばされた




