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カレーは醤油 ~インドの記憶~   作者: そらら
醤油はカレー

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1896/1899

2023年6月22日(木) 柴又で起きた異変

6月22日(木)


 プルルルル……プルルルル……


 昨日、俊介の話を聞いて、さち江さんの身になにかあったのかもしれないと思うと、居ても立ってもいられなかった。


 いつもなら朝の仕込みを行う日本時間8時はインドで日の出前の4時半であるが、さち江さんのワッツイットに電話をしていた。


 プルルルル……プルルルル……


 しかし、2回ほど長めに電話をしてみたものの、残念ながらさち江さんの応答はなかった。


「やっぱり、さち江さんの身になにかよからぬことが起きたんだわ……」


 不安に駆られるが、インドにいてはどうしようもない。


 しかし、その時、さち江さんから折り返しの電話があったのです。


「さち江さん! 大丈夫ですか?」


「プリヤンカ。大丈夫って、あなたどうしたの?」


「どうしたの? じゃないですよ! 先日、俊介が柴又帝釈天に行ったら、亨貞院日敬様が『帝釈天様なき守り札に、幾ばくの神力も宿ってはおらぬわ』って、お守りを売ってくれなかったんです。しかも、その後ではやし家を訪れたら臨時休業で……俊介は『柴又でよからぬことが起き始めているんじゃないか』って言ってました。さち江さん、今、柴又でなにが起きてるんですか?」


「あら……あなたって本当に帝釈天と心が通じ合ってるのね。そうなの。今、柴又で大変なことが起きてるのは事実よ。先日、はやし家にいきなり『理性の女』と名乗る女が来てね、カレーの醤油和えのカレー抜きをオーダーしたのよ。ライスに醤油をかけただけなんだけど、カレーを排除することに意味があるって。そして綺麗に食事したと思ったら、いきなり大富豪ウォーレン・パフェットが振り出した3兆円の小切手を亨貞院日敬様に渡して、帝釈天を譲れと。なに言ってんだ! って、揉めてたら理性の女が誰かに電話し、ものの数秒後に最高裁判所の人が来て、『帝釈天を譲らないと帝釈天をお取り潰しにすると岸田首相とアメリカ合衆国バイデン大統領が決定した』って令状を見せたの。成す術なく、亨貞院日敬様は柴又帝釈天をある意味守るためにその要望に屈することになったのよ。その先のこと、私は見てないから分からないけど、その日から明らかに柴又の雰囲気が変わったわ。ご加護が消え去ったっていうのかな。今まで溢れんばかりいた参拝客はめっきり減り始めてね。お店を開けてても反って仕込んだ料理が無駄になっちゃうから、しばらく臨時休業にしてたのよ。でも、それも昨日でお終い。今日からしばらく団体客の予約が入ってるの。その仕込みをしてて、あなたの電話に気付かなかったのよ。また忙しくなるわ」


 インドラが、奪われたんだ。


 そんなことを仕出かす理性の女って、あいつかもしれない。


「さち江さん。その理性の女って、白い上下のスーツに、白のシルクハットを被ってませんでしたか?」


「その通りよ」


 やっぱり、あの時、柴又帝釈天ですれ違ったあの女。


 忌々しい醤油の香りを漂わしていた、あの女。


 今度会ったら、絶対に頭からカレーぶっかけてやる。

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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