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カレーは醤油 ~インドの記憶~   作者: そらら
醤油はカレー

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1895/1899

2023年6月21日(水) 帝釈天様なき守り札に、幾ばくの神力も宿ってはおらぬわ

6月21日(水)


「プリヤンカ。久しぶり。俺様がいなくても、ちゃんとユーチューブ頑張ってるじゃん」


 平日の昼間っから私のワッツイットにビデオ通話してくる暇人なんて、大体限られている。


「最高よ。毎日訳の分からない出来事に遭遇するんだから。俊介の方はどうなの? ちゃんと勉強してるの?」


 予想通り、俊介だった。


「おいおい、久しぶりに連絡したのに、お母さんみたいに小言かよ~。そんなんじゃ、プリヤンカも直ぐにおばちゃんになるぜ」


「なによ! ピチピチのギャルを目の前に、よくそんなことが言えるわね。俊介。ひょっとして、あなた、受験勉強に苦戦して、現実逃避しようとしてるんじゃない?」


「おいおい、この俊介様に向かってなにを言ってるんだ? 先月、予備校で定期テストがあったんだけど、そこで4位になったんだ。これで今月の学費が90%割引になったんだぜ。俺の周りには数多の浪人生がいるけど、俺ほど親孝行な浪人生はいないと思うぜ。ちょっとはその点、褒めてほしいし、感謝してほしいよ」


「へー、それはおめでとう。でも、そんなの二浪の分際で言うべきじゃないと思うわよ」


「だよな~」


 スマホの向こうで頭をかく俊介の姿が容易に想像できる。


「ところで、昨日のことなんだけど、来週から麗子が高校時代の友達と台湾旅行するっていうから、塾の休みを利用して柴又帝釈天へ旅行安全お守りを買いに行ったんだ。すると、マジでびっくりする出来事があったんだよ。それをプリヤンカに伝えたくて、連絡したんだ」


 私の全身に冷たい緊張が走る。


「お守りを売ってくれなかったんだよ。目の前にお守りがあるのにだぜ。せっかくここまで来たのに、なんで~と思ってたら、ちょうどその時、亨貞院日敬が拝殿から出てきたんだ。そこで『なんでお守りがあるのに売ってくれないの』って詰め寄ったところ、こんなことを言ったんだよ」


 - 帝釈天様なき守り札に、幾ばくの神力も宿ってはおらぬわ -


「その表情があまりに深刻なんで、冗談でしょ? なんて言える雰囲気は1㎜もなかった。しかも、その後にはやし家に寄ったら、臨時休業中の看板が掲げられてて、さち江さんに連絡しても電話に出てくれないし。俺、絶対に柴又で大変なことが起こってるとしか思えないんだ。幸い、俺の勉強は順調だから、それをネタに1本だけプリヤンカのユーチューブネタを作ろうかと思うんだけど、どう?」


 私が日本へ一時帰国した際にすれ違った、あの女。


 たぶん奴がなにかを仕出かしたに違いない。


 さち江さんのことが気になって仕方ないが、なんせ私はインドのチェンナイにいる身。


 その真実に迫るのはあまりに分が悪い。


「俊介。気持ちはありがたいけど、あんたは4位になっただけで満足してるの? 予備校でトップになるようでなきゃ、俊介じゃないでしょ。気持ちはありがたいけど、今は目の前にあることに集中だよ。帝釈天のこととか、さち江さんのことは暇人の私に任せなさい。じゃあね」


 そうして一方的にワッツアップを切ったはいいが、帝釈天、いや、インドラの身になにかが起きたことは間違いだろう。


この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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