↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/66

15話 クラス交流戦5 〜集う実力者たち〜

……ジン!?


現れた白髪の少年、ジンは、群衆の間を通り抜けマコモのもとに駆け寄った。

「……また「潜在能力《ちから》」を使ったのか………。」

そう言うと彼はマコモを抱き上げ歩いていき、彼女を壁のあたりに下ろした。すると、集まった人々に向かって大声で言った。


「この娘の手当ては必要ない。治療は敗者の方にだけ施してくれ。」

「……お、おう……」


その言葉を受けた群衆は、テトラの方へと向かった。

ただ俺は、マコモとジンの方へ駆け寄った。


「本当に何も治療しないでいいのか!?……ん?」

「………すやすや。」


マコモはぐっすりと眠っていた。


「……どういうこった。」


「過熱《オーバーヒート》、だな。」

俺の疑問に対し、ジンは答えた。

「マコモは今の戦いで己の中に秘められた力の一部を解放した。そのため体が負担に耐えきれず、自動的に体が休止状態に入ったんだ。」


………。


「……要するに「疲れて寝てる」ってことだな?……何にしろ保健室のベッドで寝かせた方が良いんじゃないか?」


「それもそうだな………あぁそうだ、最後にひとつ。」


「ん?」


「俺たち二人はいつでも死神に追われている。」


「ぶっ!……………くく……」


突然の発表に不意を突かれたが、何とか表情を変えずに耐えた。


「今後一切関わらない方が良い。関係のない人間にまで悪運を及ぼしたくはない……。」


そう言うと彼はマコモを背負って水星館を出ていった。


「さすがA組1位………ブレないな。」

この学園に入って初めて、絡んでみたいと思える奴に出会えた気がする。




放課後、校長に今日のテトラの行動について報告し終え学園を出ると、テトラが噴水の前に立っていた。


「あっ……怪我とかはもう大丈夫?」

彼女がマコモに突風を跳ね返され、壁に激突するまでの一部始終を見ていたので、心配せずにはいられなかった。


「背中の打撲だけ。普通に動けるわ。」


「そう……良かったな。」


「……何よ。自分から聞いといてそのリアクション。」


元ノーリアクション女王の彼女《テトラ》にだけは言われたくない。

「……そう言えば何でこんな所につっ立ってんだ?」


「何でって……今日も特訓するわよ?『剣士』目指してるくせに『振り逃げ』とか、見てて腹立つから。」


「…………。」


何の進展もなかった俺の『振り逃げ』に昨日、少しだけ光が見えた。

昨日の彼女の特訓のお陰なのは言うまでもないのだが………あの地獄のようなキツさを味わった上で「特訓したい!」なんてとても言えなかった。


「ん〜、今日はちょっと体調が……んぐっ!」


俺が彼女の脇を早足で通り抜けようとした瞬間、首が絞まった。

テトラにがっちり制服の襟を捕まれてしまった。


「ぃいやぁあああぁぁあぁだぁああぁ!!!」


「それだけ叫ぶ元気があれば大丈夫ね。さ、行きましょ。」

問答無用で彼女は、俺を引きずって例の特訓場所へ向かった。



本日も曇天のため、特訓会場の空地(?)は荒野ような雰囲気を醸し出していた。


空地の入り口に差し掛かった所で、俺を引きずるテトラの足が止まった。

「………………。」


彼女が黙って立ち尽くしているので、俺も何とか首を回して彼女の視線の先を見た。

暗くなってきているためよく分からないが、誰かがいる。


「先客か?顔がよく見えな…」


「しっ………!」

彼女が俺の言葉を遮り、草むらの中にしゃがんだ。俺も彼女を真似て草むらに隠れる。

何かぶつぶつと独り言のようなものが聞こえる。あの人の声であることは確かなので、俺とテトラは耳を澄ました。



「……生暖かい風だな……。」

その人はそう言い、曇り空を見上げた。

「何かが………起こりそうだ。」



(……どこかで聞いたな……この語調。)

俺が記憶を探っている間にだんだん暗闇に目が慣れてきた。すると、あの謎の人物の容姿がはっきり見えてきた。


キリッとした表情、流れる白髪、片方の目に付けられた眼帯……


「ジン!?」

俺は思わず立ち上がって叫んだ。


「ちょっ!エイユウ!」

テトラも俺の行動に驚き、立ち上がる。

ジンはゆっくりとこちらを見た。

「………俺に関わるなと言っただろう。その方が身のためだ。」

相変わらずの中二っぷりだ。


「いやっ、そのー…たまたま居合わせちゃっただけでな……」


俺が弁解していると、テトラが前に出てきた。

「ねえ君。私、ここでこいつの特訓しなきゃならないの。ちょっと退いてて。」

テトラは有無を言わさない口調でジンに言い放つ。


「でもテトラ!先に来てた人を追っ払ってまで特訓する必要はないんじゃないかなぁ!?」


「何?……『剣士』になりたいんじゃないの?」


「はいそうですごめんなさい。」


この流れで特訓を中止させようとしたが、一瞬でテトラに黙らされてしまった。

あとはジンの返答にかかっている。

(頼む!一回しか喋ったことないけど、俺とお前の仲だろ!?助けてくれ……)

俺は勝手に仲良し設定を作って祈った。


するとジンが俺の方を向き、話した。

「そう言えばお前……『振り逃げ王子』か?」


「へ……?そうだけども。」


「ちょっと!あんた私の話聞いてる!?」

盛大にスルーされたテトラは怒ったが、ジンは構わず独自の世界を展開した。


「逃げ続ける運命《さだめ》に抗い、剣士《ミーレス》になろうというのか……愚かだな。……俺の能力《さだめ》は、人を不幸に陥れる「地獄の業火」。俺は生まれた瞬間に、呪われた存在として生きることを定められた……」


ジンの独創的すぎる世界観に、テトラは唖然としていた。

そうだジン、何かもう中二病の範疇を越えている気がするがその調子で時間を稼いでくれ……!


「武藤エイユウ、運命というものに抗えるほど人間は強くな…」


ゴスッ


突然鈍い殴打音が響いたかと思うと、ジンは突然倒れた。

「おっ、おいっどうした!?……ん?」


倒れたジンの後ろから、小柄な銀髪の少女が現れた。


ご拝読ありがとうございます。色々書き直してたら時間がかかっちゃいました。

評価、感想よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。