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8/12

差別

学食は昼休みの生徒達で賑わっていた。

黎夜は雅人と雅美と共に席を探していた。

「空いてるな」

「窓際取ろうぜ」

雅人が指を差した瞬間だった。

「君が転校生かな」

声がした。

振り向く。

そこには三人の男子生徒が立っていた。

中央の男子は整った顔立ちをしている。

制服も着崩していない。

だがその目には妙な自信があった。

「霧崎黎夜だ」

「私は桐生蒼真」

その名前を聞いた瞬間、周囲がざわつく。

雅人が小さく舌打ちした。

「また来たか」

「有名人か?」

黎夜が聞く。

「二年A組首席」

雅美が答えた。

「騎士名門・桐生家の次男坊」

「へぇ」

黎夜の反応はそれだけだった。

蒼真の眉が少し動く。

「随分落ち着いているな」

「そうか?」

「私の名前を聞いても何も思わないのか」

「初めて聞いた」

周囲が静かになった。

雅人が吹き出しそうになっている。

蒼真は笑顔を保っていた。

だが額に青筋が浮いていた。

「皇星学園では成績も実力も重要だ」

「そうだろうな」

「私は首席だ」

「凄いな」

言葉だけ聞けば褒めている。

だが興味がまるでない。

蒼真は初めて調子を崩された。

「君は何位を目指している?」

「卒業」

「……」

「それが目標だ」

雅美が笑いを堪えている。

雅人は既に限界だった。

「ぶっ!」

吹き出した。

蒼真は数秒沈黙した後、肩を竦めた。

「面白い奴だ」

そう言い残して去っていく。

だが去り際。

黎夜へ向ける視線だけは鋭かった。

「気に入られたな」

雅人が言う。

「そうなのか?」

「ライバル認定だろ」

「困るな」

黎夜は本気でそう思った。


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