差別
学食は昼休みの生徒達で賑わっていた。
黎夜は雅人と雅美と共に席を探していた。
「空いてるな」
「窓際取ろうぜ」
雅人が指を差した瞬間だった。
「君が転校生かな」
声がした。
振り向く。
そこには三人の男子生徒が立っていた。
中央の男子は整った顔立ちをしている。
制服も着崩していない。
だがその目には妙な自信があった。
「霧崎黎夜だ」
「私は桐生蒼真」
その名前を聞いた瞬間、周囲がざわつく。
雅人が小さく舌打ちした。
「また来たか」
「有名人か?」
黎夜が聞く。
「二年A組首席」
雅美が答えた。
「騎士名門・桐生家の次男坊」
「へぇ」
黎夜の反応はそれだけだった。
蒼真の眉が少し動く。
「随分落ち着いているな」
「そうか?」
「私の名前を聞いても何も思わないのか」
「初めて聞いた」
周囲が静かになった。
雅人が吹き出しそうになっている。
蒼真は笑顔を保っていた。
だが額に青筋が浮いていた。
「皇星学園では成績も実力も重要だ」
「そうだろうな」
「私は首席だ」
「凄いな」
言葉だけ聞けば褒めている。
だが興味がまるでない。
蒼真は初めて調子を崩された。
「君は何位を目指している?」
「卒業」
「……」
「それが目標だ」
雅美が笑いを堪えている。
雅人は既に限界だった。
「ぶっ!」
吹き出した。
蒼真は数秒沈黙した後、肩を竦めた。
「面白い奴だ」
そう言い残して去っていく。
だが去り際。
黎夜へ向ける視線だけは鋭かった。
「気に入られたな」
雅人が言う。
「そうなのか?」
「ライバル認定だろ」
「困るな」
黎夜は本気でそう思った。




