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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第一部

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7/23

7

 学園の食堂はとても豪華だ。

 朝から色々な料理が並んでいる。


 このパン美味しい〜

 焼きたてだ! ここで作ってるのかな〜


 翌日、一人で美味しく朝ごはんを食べていると声をかけられた。

「お隣よろしいでしょうか?」

 エイラ御一行である。

「どうぞ」

「ありがとう」

 隣に座るエイラ。

「昨日お父様が急にいらしてね」

「!」


 危ない! 吹き出す所だった。


「まだ初日だというのに『エイラが心配で』なんて、絶対違うと思うの。何しに来たのかしら?」

「そっ、そうなんですかー」

 オーレリアの目が泳ぐ。国王の従者エミールから内密にと言われている。娘相手だろうと話すわけにはいかない。

「オーレリア様は嘘が下手でいらっしゃいますね」

 エイラが微笑む。

「うっ」

 さすが王女である。

「氷の妖精王の事かしら?」

「エイラ様、申し訳ございませんが私の口からは……」

 オーレリアは完敗である。

「ふふ。大体分かったわ。困らせてすみません。それとオーレリア様、私とお友達になっていただけませんか?」

 突然の進路変更に、取巻きは驚いているようだ。

 エイラが上目遣いにこちらを見ている。

 なんて可憐な!

「はい。喜んで」

 オーレリアはエイラの手を取った。

 思わずプロポーズを受けた時のような返事をしてしまった。


 エイラはやはり、よく喋る姫だ。と、同時にこちらの様子もよく見ている。

 オーレリアは感心した。


 小さい時から王女なんてやってると、人を見る目が育つんだなあ。


 休み時間、エイラとオーレリアは休憩がてら中庭に出た。雪がうっすら積もっている。まだ冬だ。

 エイラの取巻きは、本当にただの取巻きだったようで、エイラに聞くと「勝手に着いてきてるだけ」との事。この寒い時期に、外までは着いて来なかったようだ。


「従者はいないのですか?」

 オーレリアは疑問に思う。

 この国の第一王女に護衛もいなくていいのだろうか?

「いるわ。護衛兼、従者兼、クラスメイトが。今はオーレリアがいるから、きっと遠くで見守っているんじゃないかしら?」

 エイラが遠くを見てニヤッとする。

「一緒にいても私は構いませんよ?」

「本当? だそうです。こちらへいらしたら?」

 エイラが呼びかけると、木の上から人が飛び降りた。


 え? 三メートルはある木だけど……


「オーレリア姫、お心遣い感謝致します。

 カイル・ハウザーと申します。エイラ様の従者です」

 短髪黒髪に、青い瞳のクラスメイトである。

 騎士らしい動きで、何ともなさそうだ。ピンピンしている。

「宜しくお願いします」

 オーレリアも挨拶する。正直、名前を覚えていないので自己紹介は、有り難い。

「国王より、オーレリア様の護衛も兼任するようにとお話しがありましたので、お二人でいてもらうと大変助かります!

 まあ、オーレリア様は召喚獣が強力なので、俺がいなくてもいい気がしますけど!」

 ニコニコしながら、結構な機密事項を話している。

「カイル、そう言う事はあまり話すものではないわよ?」

 エイラが嗜める。

「そうでしたか。申し訳ございません」

 しゅんとしている。子犬みたいだ。

「そういえば、オーレリア様の護衛の方もよければご一緒に……」

 エイラがオーレリアに微笑みかける。

「私は本当に一人で来ましたので!」

 オーレリアが顔の前で手を振る。

「そんなまさか……だって王女なのに」

 エイラの顔が青くなる。

「本当にオーレリア様はどなたも連れて来なかった、と言う事なの?」

 エイラがか細い声でつぶやいた。信じられない、という顔でこちらを見る。

「私は第六王女ですが、ほとんど平民同様の暮らしでしたので、自国にいた時から従者はおりません」

 オーレリアが告白する。エイラには信じられない話だろう。

「そうだったんですね……驚きました。

 こんなに力があって、秀才でいらっしゃるのに、妖精の国は勿体無い事をしましたね」

 そう言うとにっこり笑った。


 きっと励ましてくれているんだ。


「ありがとうございます。エイラ様」

 オーレリアはそう言うと、ふと、雪の下にトゲトゲした草を見つけた。

「エイラ様がお優しいので、私ちょっとしたお礼をしても宜しいでしょうか?」

「お礼?」

 エイラとカイルは首を傾げる。

 オーレリアは手を組み魔力を足元に注ぐ。

 トゲトゲの草が光ると、瞬く間に薄いピンクの花が咲いた。

「わあ!」「凄い!」

 感嘆の声。

「芝桜の葉があったので、咲かせてみました。少し早い春です」

「オーレリア様すごいです! 感動致しました!」

 エイラは興奮している。

「これが妖精の国の魔法……!」

 カイルが驚愕している。


 中庭一面の芝桜が咲いていて、薄ピンクの絨毯のようだ。

 外を見た生徒が驚いて足を止めている。

 そこだけ見ると春のようだが、木の上、歩道の隅には雪が残ったままである。


 鐘が鳴る。

「お二人共、教室に戻りましょう」

 オーレリアが二人を促す。

 エイラとカイルは、後ろ髪をひかれながらも中庭を後にした。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

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