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グレイスが口を開く。
「例えば、うちの主人くらいの魔力を持った王女が、そちらの太陽の国ゆかりの王子と結婚したら、太陽の力がだいぶ強まるとは思うぞ」
ざわつくオーディエンス。
「おお!」「なるほど!」「それはすぐに確認しないと」
ちょっと待て、私が嫁ぐ?
「ちょっと待ってください!」
急に話題の中心にされたオーレリアは、反論しようと手を挙げる。
「私は第六王女です。王女なんて名ばかりの、ほとんど平民です! それに妖精の国には魔力の多い姫が他にもおります!」
「ほほう。それは本当か?」
グレイスが楽しそうに確認する。
「魔力量は正直知りませんが、多少はあるかと!」
ちょっと訂正するオーレリアである。
「まぁ、そこは氷の国王が確認してくれるだろう。
人間よ、話はそれだけか?」
グレイスが周りを見ると、それに反応するように皆跪いた。
「はっ! 有難き助言をいただき、感激至極でございます!」
エミールが堅苦しい挨拶を返す。
「では、我は帰ることにする。オーレリア、またな」
そう言うと、氷の妖精王グレイスは光に包まれて消えた。
なんてこった……
オーレリアは国王がいるのも忘れて、頭を抱えた。
私の気ままな植物ライフが危機である。
「早急に諸外国も含めて、魔力量の多い姫を探すようにしましょう」
国王とエミールが話している。
「太陽の国ゆかりといえば、レックスだな。他には……弟は幾つだったか?」
「まだ五つ程だったかと」
「それは流石に早すぎるな!」
「エイラ様の婿はやはり太陽の国の者だな……」
聞いてはいけない話な気がする。
「あの……恐れ入りますが、私はこれで失礼致します」
オーレリアはそぅっと出て行きたい。
「オーレリアさん! 本当に感謝します。これで我が国の危機を脱する事ができそうです」
国王自ら私にお礼とか、やめてくれ!
「とっとんでもありません!」
「妖精王に宜しくお伝えください。また、この話はどうかご内密に」
エミールに挨拶と共に釘を刺され、オーレリアは小さくなりながら退出した。
言うわけないだろ!
グレイスめ、余計な事を!
内心毒づきまくっていたオーレリア。周りが見えていなかった。
階段を降り、一階に移動する。寮に戻っているつもりが、自分がいる場所が分からなくなった。
校舎からは出られた? ここは寮?
迷子なんて最悪だ……誰かいないか?
窓の外を眺める。美しい夕日が見えた。
雪の白に反射してとても綺麗だ。
窓を開けて窓枠に肘をつく。
「はあ」
ため息をついてしまった。なんだか疲れた。
早く自分の部屋に帰って、植物達に囲まれたいのに。
「どうした? ため息なんて」
外から声がする。
驚いて下を見ると、オーレリアが開けた窓のそばにレックスが立っていた。
げ!
「なんだよその顔!」
顔に出てしまったようだ。
「いや、すみません。顔に出やすいタイプで」
「それ、謝れてないから! まあ、俺がさっき爆笑したからだろ? 悪かったよ」
レックスはバツが悪そうに下を向いた。
「……レックス様はここで何を?」
「様いらない、同じ王族だろ。少し走ってた。オーレリアは迷子?」
「うっ……なぜ分かった」
つい口に出てしまった。急いで口を押さえるがもう遅い。
「ふっ! 当たりか! 面白いよ本当」
レックスがまた吹き出した。
また笑われた。それを睨む自分……デジャブだろうか?
「そんなに笑わなくても! この学園広いし、誰だって一度は迷うでしょ?」
もう開き直った。
「そうか。俺はまだ迷ってないが。どこに行きたいんだ?」
「女子寮に……」
小さい声で伝える。
レックスが立ち上がり、軽々窓から中に入ってきた。
「おいで、案内する」
オーレリアの前を歩いていく。夕日に照らされて赤毛がキラキラしている。颯爽と歩く姿はとても様になっている。多くの乙女がときめく瞬間だろう。
しかしオーレリアは少し引いていた。
なぜ女子寮を知っている?
案内してくれるのは有り難い。非常にありがたいのだが……
モヤッとした気持ちを抱えつつ、レックスを追いかけるのだった。
無事、寮に到着した。
「ここまで来れば分かるだろ?」
レックスは寮が見える位置で止まった。
「おお! 凄い、着いた」
正直、どこをどう来たのか分からない。
「じゃあ、俺はこっちだから」
男子寮の近くが女子寮だったらしい。失礼な事を思ってしまった事をこっそり詫びる。
「ありがとう! レックス」
オーレリアの言葉にレックスは少し驚いた顔をした。
「また迷ったら言えよ」
捨て台詞が失礼である。
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