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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第一部

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6/23

6

 グレイスが口を開く。

「例えば、うちの主人くらいの魔力を持った王女が、そちらの太陽の国ゆかりの王子と結婚したら、太陽の力がだいぶ強まるとは思うぞ」

 ざわつくオーディエンス。

「おお!」「なるほど!」「それはすぐに確認しないと」


 ちょっと待て、私が嫁ぐ?


「ちょっと待ってください!」

 急に話題の中心にされたオーレリアは、反論しようと手を挙げる。

「私は第六王女です。王女なんて名ばかりの、ほとんど平民です! それに妖精の国には魔力の多い姫が他にもおります!」

「ほほう。それは本当か?」

 グレイスが楽しそうに確認する。

「魔力量は正直知りませんが、多少はあるかと!」

 ちょっと訂正するオーレリアである。

「まぁ、そこは氷の国王が確認してくれるだろう。

 人間よ、話はそれだけか?」

 グレイスが周りを見ると、それに反応するように皆跪いた。

「はっ! 有難き助言をいただき、感激至極でございます!」

 エミールが堅苦しい挨拶を返す。

「では、我は帰ることにする。オーレリア、またな」

 そう言うと、氷の妖精王グレイスは光に包まれて消えた。


 なんてこった……


 オーレリアは国王がいるのも忘れて、頭を抱えた。

 私の気ままな植物ライフが危機である。


「早急に諸外国も含めて、魔力量の多い姫を探すようにしましょう」

 国王とエミールが話している。

「太陽の国ゆかりといえば、レックスだな。他には……弟は幾つだったか?」

「まだ五つ程だったかと」

「それは流石に早すぎるな!」

「エイラ様の婿はやはり太陽の国の者だな……」


 聞いてはいけない話な気がする。


「あの……恐れ入りますが、私はこれで失礼致します」

 オーレリアはそぅっと出て行きたい。

「オーレリアさん! 本当に感謝します。これで我が国の危機を脱する事ができそうです」


 国王自ら私にお礼とか、やめてくれ!


「とっとんでもありません!」

「妖精王に宜しくお伝えください。また、この話はどうかご内密に」

 エミールに挨拶と共に釘を刺され、オーレリアは小さくなりながら退出した。


 言うわけないだろ!

 グレイスめ、余計な事を!


 内心毒づきまくっていたオーレリア。周りが見えていなかった。

 階段を降り、一階に移動する。寮に戻っているつもりが、自分がいる場所が分からなくなった。


 校舎からは出られた? ここは寮?

 迷子なんて最悪だ……誰かいないか?


 窓の外を眺める。美しい夕日が見えた。

 雪の白に反射してとても綺麗だ。

 窓を開けて窓枠に肘をつく。

「はあ」

 ため息をついてしまった。なんだか疲れた。

 早く自分の部屋に帰って、植物達に囲まれたいのに。


「どうした? ため息なんて」


 外から声がする。

 驚いて下を見ると、オーレリアが開けた窓のそばにレックスが立っていた。


 げ!


「なんだよその顔!」

 顔に出てしまったようだ。

「いや、すみません。顔に出やすいタイプで」

「それ、謝れてないから! まあ、俺がさっき爆笑したからだろ? 悪かったよ」

 レックスはバツが悪そうに下を向いた。

「……レックス様はここで何を?」

「様いらない、同じ王族だろ。少し走ってた。オーレリアは迷子?」

「うっ……なぜ分かった」

 つい口に出てしまった。急いで口を押さえるがもう遅い。

「ふっ! 当たりか! 面白いよ本当」

 レックスがまた吹き出した。

 また笑われた。それを睨む自分……デジャブだろうか?

「そんなに笑わなくても! この学園広いし、誰だって一度は迷うでしょ?」

 もう開き直った。

「そうか。俺はまだ迷ってないが。どこに行きたいんだ?」

「女子寮に……」

 小さい声で伝える。


 レックスが立ち上がり、軽々窓から中に入ってきた。

「おいで、案内する」

 オーレリアの前を歩いていく。夕日に照らされて赤毛がキラキラしている。颯爽と歩く姿はとても様になっている。多くの乙女がときめく瞬間だろう。

 しかしオーレリアは少し引いていた。


 なぜ女子寮を知っている?


 案内してくれるのは有り難い。非常にありがたいのだが……

 モヤッとした気持ちを抱えつつ、レックスを追いかけるのだった。


 無事、寮に到着した。

「ここまで来れば分かるだろ?」

 レックスは寮が見える位置で止まった。

「おお! 凄い、着いた」

 正直、どこをどう来たのか分からない。

「じゃあ、俺はこっちだから」

 男子寮の近くが女子寮だったらしい。失礼な事を思ってしまった事をこっそり詫びる。

「ありがとう! レックス」

 オーレリアの言葉にレックスは少し驚いた顔をした。

「また迷ったら言えよ」

 捨て台詞が失礼である。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

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