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妖精の国の姫、氷の国へ留学する  作者: 紙絵
第一部

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5

 放課後、職員室へと向かうオーレリア。

 教室を出る時も他の生徒に質問攻めだった……

 辿々しくも答えられてほっとした。しかし、少し遅くなってしまった。


「失礼します。一のAのオーレリア・セイブルです。レース先生……」

 最後まで言い終わらないうちに、名前をまだ覚えていない先生がオーレリアに向かってダッシュしてきた。

「オーレリアさん! やっと来た! こちらへ!」

「あっあの?」

 手を引かれ、すごい速さで会議室へと送り届けられた。

「失礼します! 彼女がオーレリア・セイブル様です。では、私はこれで!」

 素早く帰っていく先生。

 呆然と見送っていると、会議室の中からレース先生の声がした。

「オーレリアさん、こちらへ」

「はい! 失礼します」

 中には大人が何人かいる。

 レース先生、知らない顔が二人、護衛らしき二人……


 知らない顔の一人が話し出した。

「初めまして、私は、アレクサンダー・ラグーナ。この国の国王だ」


 こくおう?


 オーレリアは心臓が止まるかと思った。

 そしてはっと我にかえる。


 すぐさま跪く。

「国王陛下! 氷の国から参りました。オーレリア・セイブルです。ご無礼をお許しください」

「面をあげて下さい。急にこちらに来たのは私です。無礼などではないですよ」

 優しい声である。

 銀色の髪の毛に長いまつ毛、瞳も紫で面影がエイラと似ている。

「氷の国はどうだい? 君は妖精の国でも優秀だったと聞いた」

 優しい眼差しで話す国王だ。

 妖精の国の国王は遠目でしか知らないが、こんなに穏やかだったっけ?

「はい。とても充実しております。自国にない事ばかりで、全てにおいて勉強させていただいております」

「それは良かった。可能であれば、氷の国にもその知識を活かしてほしいものだ」

「国王陛下、お時間がありますので本題に入っても?」

 隣の従者らしき男が口を開く。

 白い長髪を一つに結び、鋭い目つきで眼鏡をかけている。見るからに頭がきれそうな顔だ。

「そうだね。エミール話してくれ」

 国王が指示すると、従者が話し出した。

「オーレリア様、氷の妖精王を召喚したとお聞きした。急な事だが、今ここで召喚していただきたい」

 エミールが頭を下げる。

「頭を上げてください。承知しました」

 人に頭を下げる事はあっても、下げられる事はほとんどなかったオーレリアである。そんな態度をとられると焦ってしまう。

「ありがとう。恩にきるよ」

 国王がそう言って微笑む。

「もったいないお言葉です!」


 やめてくれ! 寿命が縮む!


 心臓をおさえながら、召喚呪文を詠唱する。

 床に魔法陣が現れ、光が溢れる。


 オーレリアは、一度使った魔法は全て覚えてしまうのである。

 補助しようとしていた、レース先生も驚きである。

 ちなみに、本人は自分が秀才なのを自覚していない。


 氷の妖精王が現れる。

「どうした? 我が主人よ」

 なんだか眠そうだ。お昼寝中だったなら悪いが、国王の頼みは断れない。

「あの、グレイス様にお客様でして」

「初めまして、氷の妖精王。私は氷の国、国王アレクサンダー・ラグーナです。お目にかかれて光栄です」

 国王が跪く。


 国王が跪くなんて!


 オーレリアは絶句した。そんなすごい人だったのか!


「氷の国王よ、面をあげよ。我が名は、氷の妖精王グレイス。人の国王に会うのは百年ぶりか……

 私の気まぐれで召喚されたのだ、そんなにかしこまらなくていい」

 周りを見ると、オーレリア以外皆跪いている。


 えーーー!


 心で叫ぶオーレリア。

「我が国の妖精王に会える日が来るなんて……」「昔話ってほんとだったんだなぁ」

 周りから感嘆の声が聞こえる。


「で、国王よ。私に何か用なのか?」

 グレイスが国王に訊ねる。

 レース先生がそっと部屋から出ていく。


 機密事項なのだろうか?

 私も出て行きたい……


 ドアの方を見ると、従者のエミールが首を振る。私はこの場にいていいらしい。


 まぁ、召喚してるの自分だしな。


「はい。この国の気候についてです。どんどん冬の期間が長くなっている件について教えていただきたく」

 皆真剣な表情で妖精王を見ている。

 オーレリアは初耳だ。


 冬が長くなっていたとは! 父が言っていた事も、あながち間違いではなかったのかもしれない。


「ふむ。そうだな、確かに以前より長くなった気がする。私の力は昔から変わらないから、原因は太陽の力が弱まっているという事だ」

 グレイスが考えながら話す。


「太陽の力……」

 隣国の太陽の国とこの氷の国、昔は一つの国だったと聞いた事がある。

「太陽の国より王族の方を度々迎えておりますが、それだけでは足りないのですね」

 国王が口を開く。

 政略結婚というやつだ。

 爆笑していた第二王子レックスも、母親が太陽の国出身だった。

「そうだな……力がある者が、太陽の国に縁のある者に嫁げば変わるかもしれん」

 グレイスが呟く。

「横から失礼します。それは具体的にどうすれば?」

 エミールが口を挟む。

 グレイスはニヤッとしてオーレリアを見た。


 何を考えている?


 オーレリアは嫌な予感がした。

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